「貧しい患者からはお金をとらない」

国籍を持たず、「六本木の赤ひげ」とも呼ばれた医師・エフゲニー・アクショーノフさんが、8月5日に90歳でお亡くなりになられました。東西冷戦という時代に翻弄されながらも、温もりのある診療にたどり着いたアクショーノフさん。生前のインタビューをまとめましたので、どうぞご覧ください。
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訃報:アクショーノフさん90歳=医師「六本木の赤ひげ」(毎日新聞) ow.ly/A3Hhw 「貧しい患者からはお金をとらない」エフゲニー・アクショーノフ(WEDGE Infinity) ow.ly/A3H2B 2010年のインタビュー。

2014-08-07 21:18:04

Eugene Aksenoff(エフゲニー・アクショーノフ) 1924年ハルビン生まれ。43年に来日、48年に東京慈恵医科大学専門部卒業。53年にインターナショナル・クリニックを開業。 写真:田渕睦深

アクショーノフさんのインタビュー記事(※抜粋)

英語を話せる医師が少なかった時代にあって、アクショーノフは近隣の大使館、高級ホテルなどから頼られてきた。フランスのシラク元大統領(当時パリ市長)や歌手のマイケル・ジャクソンら著名人の往診に応じ、一方で場所柄、出稼ぎ青年や娼婦たちもクリニックにやってくる。彼らの中には不法滞在者も少なくないから、パスポートの提示を義務づけるとクリニックに来なくなる。だからアクショーノフは一切を不問にし、のみならずお金がない患者からは治療費をとらずに診察してきた。

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「パスポートなんか、私もないんだもん。病人に、人種も国籍も宗教も関係ありません。病気なら治してあげるのが私の任務です。いま私は、お金は問題ない。…だからお金のない人は、ただで診てあげます」 ow.ly/A3HXS エフゲニー・アクショーノフ

2014-08-07 21:19:18
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「お金が倍あっても、今晩食べるものは決まっています。お金がもらえなくても、病気を治す勉強になります。それに評判がよくなって、患者も増えます」 ow.ly/A3I4X 「貧しい患者からはお金をとらない」エフゲニー・アクショーノフ

2014-08-07 21:20:37
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20年近くアクショーノフのもとで働く看護師の山本ルミは「リーマン・ショック以降、患者さんは減りました。去年は赤字だったかもしれません。それでもドクターは自分を頼ってくる人がいる限り、ポケットからお金を出してでも、診療を続けるでしょう」 ow.ly/A3Ip0

2014-08-07 21:23:07
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山本は「患者さんに喜ばれることがドクターの喜び。お金を払ってもらえなくても、その満足感でちゃらになってしまうようです」。アクショーノフも「苦しんでいた患者さんが楽になる。うれしいですよ。あの世で会っても、私、恥ずかしくない」と言う。 ow.ly/A3JrP

2014-08-07 21:25:13
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アクショーノフはまた、患者とのコミュニケーションを楽しんでいるのだと思う。5分ほど病気の話をした後身の上話を25分する、そんな診療が普通のようだ。次に来院した時「赤ちゃんは生まれましたか?」などと話しかけるから、患者は感激してしまう。 ow.ly/A3KQO

2014-08-07 21:27:50
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懺悔に来る患者も少なくない。酒を飲んで怪我した亭主とやってきた女性が「ドクター、何とか言ってやってください」と訴え、反省する亭主にアクショーノフが「頑張りましょう」と語りかける。神父さながらの役回り。 ow.ly/A3LYt 貧しい患者からはお金をとらない

2014-08-07 21:30:46
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感謝される喜びや、会話する楽しさ。こんな感情によって他人とつながることが何よりも心地よいのが、アクショーノフという人なのだろう。だからお金は、生活できること以上の価値を持たない。純粋にそう思っているから、人が集まってくるのではないか。 ow.ly/A3MIS

2014-08-07 21:32:52

アメリカのスパイだと疑われて、地下室に入れられました

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アクショーノフは東西冷戦に翻弄されてきた。CIAからのアプローチ。「『先生、収入を倍にしませんか』と言うから、『明日の心配をせずによく寝るためには、お金がないと困るけど、あなたのお金をもらったら不眠症になってしまう』と断りました」 ow.ly/A3NjP

2014-08-07 21:36:49
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アクショーノフ「CIAの人と食事しているのを撮られ、今度はソ連に行った時、飛行機の中でKGBに逮捕されました。アメリカのスパイと疑われ、6時間も地下室に」逆に、無線機を隠し持ったソ連のスパイだと、日本の警察に逮捕されたこともあった。 ow.ly/A3NGx

2014-08-07 21:39:34
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「『誰にも捕まらなかった偉大なスパイ』という小説でも書こうかな」と笑いを誘うが、「あれはうれしいことではありませんでした」と振り返る語り口の静かさから、当時の怒りを感じとることができる。 ow.ly/A3O3z 貧しい患者からはお金をとらない/アクショーノフ

2014-08-07 21:41:37
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心の奥の気持ちをあまり語らないアクショーノフだが、度重なるスパイの濡れ衣は国家というものに失望を抱かせるに十分だったろう。もとより国籍もない。ならば一人の人間として地に足つけて立っていこうとする決意に至ったとしても、不思議ではなかろう ow.ly/A3OjP

2014-08-07 21:44:27
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自分も裸の人間だからこそ、患者もまた、人種も国籍も、財力も名声も関係ない、裸の人間として診ようとするのではないか。アクショーノフが温もりある感情によって人とつながることを欲する背景には、こんな人生行路をたどってきたこともあるように思う ow.ly/A3OLr

2014-08-07 21:46:25

インタビューの全文

リンク WEDGE Infinity(ウェッジ) 貧しい患者からはお金をとらない 国や時代に翻弄され、数奇な人生を歩む無国籍医師。人種も国籍も財力も問わず患者と接する氏に気づかされる、人が人とつながることの意味。

記事に寄せられたコメント

whitebook25@ゲーム制作奮闘中 @whitebook25

在日ロシア連邦大使館 で報道が来たアクショーノフ氏ってすごい人だったんだな 貧しい患者からはお金をとらない インターナショナル・クリニック院長 エフゲニー・アクショーノフ WEDGE Infinity(ウェッジ) wedge.ismedia.jp/articles/-/1068

2014-08-07 21:27:54
Seymore Butts @usagi_company

最近この人の日常を綴った漫画を読んだばかり…。合掌。  貧しい患者からはお金をとらない インターナショナル・クリニック院長 エフゲニー・アクショーノフ WEDGE Infinity(ウェッジ) wedge.ismedia.jp/articles/-/1068

2014-08-07 21:35:06
涼月(Κλήμης) @suzutuki1980

承前)聖堂に参祷された際の、温厚さと重厚さと気品を備えられた背の高いお姿が、強い印象を残される方でいらっしゃいました。エフゲニー・アクショーノフ兄に永遠の記憶をお祈り申し上げます。 #永遠の記憶 wedge.ismedia.jp/articles/-/1068

2014-08-08 00:01:54