なベアダーさんのチビッ子祭り(そして三緑水その後)

三緑水の制作配布、感想会の主催と激動の二ヶ月。 笑顔の連鎖はありがとうの連鎖ですね。 なベアダーさんのツイートで笑顔の天下への道筋が少し見えてきた気がします。 そして三緑水その後の素敵なお話…。
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なベアダー @nabeada

自分で決めてももクロを追っているのではなかったか?どうしてこんなにウジウジと。俺はどうしたい。俺は、水を、あの子に渡したい。ありがとうと言いたい。言いたくてここまで来た。そうだ、恥をかくのが怖くて、拒絶されるのが怖いくらいなんだ。そんな自尊心なんて糞くらえ。

2015-03-15 23:17:06
なベアダー @nabeada

推しを信じよう。感謝を返しに行きたい。

2015-03-15 23:17:43
なベアダー @nabeada

たくさん息を吸い、意識して肩を落とした。腹に力を入れると意識が冴え渡った。僕はこの葛藤の中ちょっとした走馬灯をみました。初めて彼女を見た時の事を思い出しました。薄暗い部屋の小さなディスプレイのなかで小さな彼女は歌っていたんです。それが僕の推しの始まりです。

2015-03-15 23:18:14
なベアダー @nabeada

ノフの仲間、LV、オフ会。そして人とのつながり、思い出。熊本での初ライブ。三緑水。そんな事を思い出したんです。その一つでも欠けたら、今日この日は訪れなかったのです。その事を思い出しました。伝えたい。この想いを伝えたい。そう心に決めました。

2015-03-15 23:19:07
なベアダー @nabeada

まずは歩け、近づけ。あぁ杏果の声が聞こえる。こんなに近い。でも見えないのです。カメラマンやスタッフ、ファンの人垣に小さな彼女は隠れてしまいます。そこで見つけたのが壁の薄いスタッフの正面。カメラマンとSPが二人で立つ端の方でした。その正面に立ちます。肩の隙間から彼女が見えました。

2015-03-15 23:19:51
なベアダー @nabeada

人生で最も意識を制御できている自覚がありました。意識して肩の力を抜きました。SPの方と目があいました。彼はその双眸で僕の手の平を凝視してきました。ひやりとしました。流石にまずいか?しかし彼はすっと目を逸らして、その場を離れました。彼を含むスタッフが動きました。

2015-03-15 23:20:24
なベアダー @nabeada

気がつくと右端の最前でした。これは、チャンスがあると確信しました。じっと、その時を待ちます。その時、ふと足元に気配を感じました。左隣には大人がいたのですが、その後ろに小学生ほどの女の子がいました。懸命に僕の脇から杏果を見ているようでした。

2015-03-15 23:20:51
なベアダー @nabeada

決して誇示するわけではありません。この話に少女は大いに関係します。

2015-03-15 23:21:34
なベアダー @nabeada

僕の前においで。と少女に言いました。少女ははにかんで下を向きました。彼女の肩を押して僕の前に押し出しました。プッシュのコスプレをした子でした。その時、杏果さんはありがとう言いながら、ばいばいと行って後ずさり始めたのでした。僕は焦りました。焦りしかし声を押さえ、杏果と呼びました。

2015-03-15 23:22:42
なベアダー @nabeada

ですがそれは誰もが同じなのです。そこにいる誰もが杏果さんの名前を呼びました。そんな中僕の声は届きませんでした。彼女は一歩一歩後ずさって行きます。姿は良く見えるのに、こちらを見てはくれません。僕はもう一度名前を呼びましたが、やはりこちらを見てはくれませんでした。

2015-03-15 23:23:08
なベアダー @nabeada

その時でした。澄んだ、それでいて力強く、しかし純真無垢な想いのこもった「ももか!」が響きました。僕の足元からでした。少女の声に、優しい杏果さんは姿を探して手をふりました。その時、僕にもその正直な瞳が向いたのです。体が浮く様な感覚がしました。しかし意識は信じられないほど明確でした。

2015-03-15 23:24:09
なベアダー @nabeada

「有安さん、ダメかな?」そう言って僕は水を差しだしました。彼女は「ん?」と不思議そうな顔をしました。僕はもう一度「これを、ダメかな?」そう言いました。まるで主語の無い、それでいて懇願するような言い方をしました。でも冷静でした。僕は彼女を前に、まるで平静を保っていました。

2015-03-15 23:24:33
なベアダー @nabeada

君は、今帰ろうとした道を戻って来てくれた。君は俺の方へ、小さな歩幅で歩み寄って来てくれた。いつも遠くから見ている君が、いつもすぐに遠ざかってしまう君が。歩み寄って来てくれる。心がこれ程ときめいた事はない。時がこれ程長く感じた事も無い。鮮明な俺の夢の中に君がいる様だった。

2015-03-15 23:25:06
なベアダー @nabeada

君は僕が両手でさしだした水を覗き込む様に見つめた。「あ、手渡しは駄目だよね」そう言いながら僕はスタッフの方に水を差しだしました。すると杏果さんは「ううん。いいよ」そう言って両手に抱えていたパックのジュースをスタッフさんに手渡しました。先程子供たちから受け取っていた物でした。

2015-03-15 23:25:41
なベアダー @nabeada

それから君は、俺が両手で持った水を、両手で持ってくれました。その振動が、君と言う存在が、三緑水を通して明確なモノになりました。

2015-03-15 23:26:05
なベアダー @nabeada

三年かかりました。小さな画面で、映画館で、ついにライブで、そしてレスをもらい、とうとう推し事を褒めてもらい、情けない心を救ってくれた。僕は君に恩返しがしたい。直接ありがとうを言う事こそ、僕の夢の一つになった。それは永遠に叶わなくとも、いつか叶えると心に誓った、夢でした。

2015-03-15 23:26:46
なベアダー @nabeada

「え?凄い!なにこれ!」 君は優しく水を受け取り、俺の顔を見上げた。硝子玉のような深い茶色の瞳。マスカラが普段より少し濃かった。手を伸ばせば届く事が怖いと思った。まるで裸でいる様な気分だった。

2015-03-15 23:27:35
なベアダー @nabeada

「チビッ子祭りの時に熊本のみんなで作ったんだよ。有安水をマネしたの」 「マネしたんだ(笑)」 君が笑うと、周りの人も一緒に笑った。俺は一緒に笑いながら、周りを見渡した。そうして一度君から目を逸らした。君を見つめるのってすごく勇気がいるんだ。

2015-03-15 23:28:35
なベアダー @nabeada

「そうマネしたの(笑)熊本に来てくれて、本当にありがとう。今度はさ、大きい人も入れるライブをしてよ」 「うん?」 言葉を聞き取れ無くて君が聞き返した。イントネーションの方言がきつくて聞き取れないと、日ごろからモノノフ仲間に怒られてるんだ。ごめんね。

2015-03-15 23:29:12
なベアダー @nabeada

「大きい人。チビッ子じゃなくて、普通のライブ(笑)」 「うん!」 困惑の顔から、理解した君が見せる満面の笑みが眩しかった。薄い唇が横いっぱいに広がった。小さな身体からは想像も出来ないほど大きな瞳が、白い瞼の中に埋もれて細くなった。不揃いの可愛い下の歯の白さが印象的だった。

2015-03-15 23:29:50
なベアダー @nabeada

「いつまでも待ってるからさ。待ってる」 「ありがとう!」 感謝の言葉を、俺は君から何度もらえば慣れるのだろうね。この時、泣き崩れるかと思った。グッとお腹に力を入れて耐えたんだ。君のありがとうは俺には強すぎるんだ。

2015-03-15 23:30:38
なベアダー @nabeada

君は思い出した様に俺の足元の少女を見た。少女の片袖を小さな手で掴んで、凄いねーお母さんに作ってもらったの?なんて話して。俺は可愛いよね。なんて言って。ありがとーなんて少女と話してる。君はもう、歩幅程も離れていないほど近くに居る。こんなに近くに居る。普通の女の子だった。

2015-03-15 23:31:14
なベアダー @nabeada

ついに君は歩き出した。ありがとうと言いながら遠ざかって行く。俺はまた名前を呼んだ、君は俺の目を見てくれた。いろいろ言いたい事はあるのだけれど、やっぱり最後に行き着くモノノフの言葉が出てきました。

2015-03-15 23:31:40
なベアダー @nabeada

「ももか。いつもありがとう。これからもよろしくね」

2015-03-15 23:31:58
なベアダー @nabeada

君は笑いながら、ありがとうを言いながら、その小さな歩幅で、少しづつ遠ざかって行きました。

2015-03-15 23:32:24
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