ほしおさなえさん(@hoshio_s)の140字小説37

ほしおさなえさん(@hoshio_s)の140字小説37 今回は変則的に、その376~その379でまとまってます。 その370~その375はまとめ36にありますのでそちらでどうぞ。 続きを読む
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ほしおさなえ @hoshio_s

そして、tumblrで140字小説の音読を公開しているのですが、このたび注目のブログとしてピックアップしていただきました!「作家」というカテゴリーにはいっています。 tumblr.com/spotlight/writ… 音源も少しずつ公開しているので、こちらもよろしくお願いします!

2014-09-18 08:40:36

ここから140字小説です。今回は4編となっています。370番台前半はまとめ36でどうぞ。

ほしおさなえ @hoshio_s

140字小説その376。

2014-10-13 23:17:27
ほしおさなえ @hoshio_s

台風の夜、大きな鯨になって、空を渡って行く夢を見た。びゅうびゅううなる風のなかを、どっどど、どっどど、飛沫をあげて進んで行くのだ。仲間といっしょに進んで行くのだ。こんなに大きな鯨になれば、地球は一瞬で渡って行ける。そうして宇宙に飛んで行くのだ。どっどど、どっどど、飛んで行くのだ。

2014-10-13 23:17:58
ほしおさなえ @hoshio_s

140字小説その377。

2014-10-15 10:16:19
ほしおさなえ @hoshio_s

雨の中、ふいに金木犀の香りに包まれる。身体に香りがはいりこんでくるような、わたしが空気に溶け出すような、どちらか定かではないが外と混ざってしまう気がして、目を閉じる。雨の音、金木犀の香り。わたしも匂いを発しているのだろうか。生きてるものはみんな待ってる。寂しく外に漏れ出している。

2014-10-15 10:17:33
ほしおさなえ @hoshio_s

140字小説その378。

2014-10-20 18:38:54
ほしおさなえ @hoshio_s

銀色に光る水たまりの、中に映る雲を踏んで、鳥か風かなにか空を舞うものに少しずつ近づいていく。飛んで空から逆さまに世界を見てる。人間なんていつ死ぬかわからないのに、世界の謎なんて解けないで終わっちゃうかもしれないのに。なんでこんなにどきどきするの。弾けていく。雨のように弾けていく。

2014-10-20 18:39:26
ほしおさなえ @hoshio_s

140字小説その379。

2014-10-21 20:51:05
ほしおさなえ @hoshio_s

年をとると知り合いが死んだ人ばかりになってね、とその人は言った。じいちゃん、ばあちゃん、親に兄弟、友だちもだんだん死んだ人の方が多くなって、幽霊なんてもう全然怖くない。人より幽霊に近いのかもしれないよ。歌うように言って笑っている。午後の陽射し。影が長い。秋が少しずつ深まっている。

2014-10-21 20:52:01