#完全ノープラン艦これ与太話 新春タノシイまつり特別企画：【ネイビー・アライヴ・インポッシブル】再放送

春魔解丼 @vespiking

――翌日、鎮守府執務室！ #KZNPLN

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「ゆだんするな、そろそろ『猫』が来る」総司令北上は張り詰めたアトモスフィアの中、来るべき敵襲に備えカラテを研ぎ澄ませる。「現在出撃中の艦隊は？」「第151海域における『過激派』鎮圧補助です」「旗艦は」「阿賀野＝サンです」「遣独隊は」「当日帰還予定です」 #KZNPLN

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「遣独部隊はゴーヤの指揮よ」眼鏡の戦艦、霧島が述べる。「あいつはカラテに向いてない。帰投のタイミングを迎撃されると危険ね」「うん。阿賀野＝サンの帰投はまだ？」「もうすぐだわ」黒髪の航空戦艦が時計を見る。「よし。阿賀野＝サンが帰投し次第、入渠ドック奪回作戦だ」 #KZNPLN

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『猫』とは、我々の知るネコ科の哺乳類とは別種の概念存在である。『猫』は時空の歪み、世界のバグから生まれ出る超常の災害であり、生物と言えるかすら危うい。そして現在。この鎮守府は『猫』大量発生による大規模災害に見舞われていた。 #KZNPLN

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大多数の艦艇は既に避難が完了。蛻の殻となり、『猫』に蹂躙されるがままの鎮守府の奪回。それが北上の直面している任務である。前日、ついに伊８の助力によって正門を破壊。執務室への道を開いたが、『猫』による完全包囲を受け撤退。入渠ドックに逃げ込むも、そこも占拠された。 #KZNPLN

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北上は再度、少数精鋭部隊を編成し突入した。『猫』にはテリトリーがある。一度奪回した執務室への道は、不気味なほどに平和であり、だが、いつ猫の侵食があるかもわからぬ。活性化する時間帯があるのだ。北上は魚雷を構える。 #KZNPLN

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執務室に集結したのは『最高戦力』、即ち北上を筆頭とし、空母飛龍、戦艦霧島、重巡羽黒、航戦山城、駆逐艦夕立の6隻に夕張を加えた精鋭艦隊。ここに帰投した阿賀野を迎え、ドックを急襲。奪回したのち、工廠奪回に向かうのが今回のプランだ。 #KZNPLN

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ここで夕張の生存を不可解に思われる読者諸氏もおられることだろう。夕張は以前、南西諸島海域における海戦でいちど死亡している。その時、死体をベースにバイオテック改造手術を施され不死身のサイボーグ艦娘として蘇生。入渠ドックで修復すれば、陸上でなら何度でも復活するのだ！ #KZNPLN

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「今日はタタキのめしてやりますよ。昨日とは違う」「ゆだんするな。猫はひかるし、つよい」夕張の軽口を、北上が諌めた。「ぽい」夕立も殺気を滾らせ、警戒する。帰投時刻が近付く。『はーい！阿賀野、帰投でーす！』スピーカーから声。直後！『グワーッ！』「阿賀野＝サン！」 #KZNPLN

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北上は窓から身を乗り出した。正面玄関で阿賀野が猫に襲われてる！アブナイ！「阿賀野＝サン！」「アーッ！ンアーッ！」戦闘で痛んでいた阿賀野の軍服が偶然にも『猫』の攻撃で破れる！とても肉づきのよい肢体があらわだ！「ワオーッ！ワオオーッ！」夕張興奮！電撃的速度で跳躍！ #KZNPLN

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「アッ！コラ！早まるな！」「フィーヒヒヒ！阿賀野型フィーヒヒヒ！」夕張が色つきの風めいて壁を走る！一直線に！阿賀野のもとへ！群がる猫をチョップで殺す！「イ、イヤーッ！」阿賀野もハイキックで猫殺害！偶然にも夕張はローリング回避し阿賀野の脚の下へ！「ギャーッ！変態！」 #KZNPLN

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阿賀野の鮮烈な踵落としが夕張の後頭部を打つ！「グワーッ！」ナムアミダブツ！常人なら死ぬ！「イヤーッ！」同時に左右へ砲火！猫破壊！「ウゴオオ！ウゴオオオ！」夕張がのたうち、イモムシめいて転がる！夕張は兵装の過剰搭載により質量が大きい！猫轢殺！「ニャー」「ウナー」 #KZNPLN

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「阿賀野＝サン！阿賀野＝サンは今とても傷付いていてアブナイです！このまま私が入渠ドックへエスコートします！私についてきて！私を！この私めを！」転がる夕張の艤装が展開しジェットパックが出現！推進力を回転に変え飛び跳ねる！パンジャンドラム！「イヤーッ！イヤーッ！」 #KZNPLN

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「いいぞ夕張＝サン！そのままドックを奪回するんだ！」北上が叫ぶ！「イヤーッ！」阿賀野もチョップで猫を薙ぎ払い、パンジャン夕張を追う！無差別大量破壊兵器となったパンジャン夕張も猫を撃ち、殺害！阿賀野ヘッドバット！夕張爆雷！猫が死ぬ！サツバツ！ #KZNPLN

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「ウニャー」「ンアーッ！」中型猫の強襲！阿賀野の背が打たれ、竜骨が砕ける！「阿賀野＝サン！」夕張は電撃的速度で反転、阿賀野を抱えジェット飛行！ばらまく爆雷が猫を殺し、阿賀野の豊満なバストが夕張の視界を奪う！だが夕張は決して阿賀野を離さない！力強く仲間を支える！ #KZNPLN

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夕張はそのまま入渠ドックへ突入！静寂が訪れた。「……だ、大丈夫かなあいつ……」山城はおずおずとドックを見た。不気味なほどの静寂。「彩雲、飛ばすよ」飛龍は山城と並び、弓を構えた。彩雲の上部には30mm機関砲。夜間戦闘機仕様だ。 #KZNPLN

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外海より遥かに狭い母港における夜戦。超長距離での昼戦を主体とする空母にとっては最悪のシチュエーション。自分は戦闘に参加できない。ならば、索敵だ。飛龍は彩雲を放った。その僅かな軌道のブレを、山城は見逃さない。飛龍は焦っていた。 #KZNPLN

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「落ち着きなさいよ。どう？」彩雲は入渠ドックをぐるりと回る。「……入渠ドック周辺、異常なし。内部は……」飛龍は一瞬口ごもり、深呼吸した。「異常なし」「チョットマッテ、本当に？」霧島が勘付く。「私は何も見ていない！」「夕張はうちの部下ですので！現状把握の義務が！」 #KZNPLN

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「そういう猥褻談義はやめて、サッサと次行ってくださいよ次」黒紫の重巡、羽黒が2隻の間に入る。今の彼女は機嫌がとても悪い。彼女は四大鎮守府の一角、呉鎮守府が伝統的に行う2月14日のチョコレート製造儀式に呼び出された不運な艦艇の1隻なのだ！ #KZNPLN

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「なにが勝利のチョコレートだ！もうマグロはいやだ！ウオオーッ！」「グワーッ！」羽黒が霧島を殴る！サツバツ！チョコレートの原料に使用するマグロ油のトロ成分により闘争本能が刺激され、殺気が高まっているのだ！「ウオーッ！なぜ私なんだ！妙高型だからか！ウオーッ！」 #KZNPLN

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マウントで殴られる霧島を一旦捨て置き、飛龍と山城は工廠を睨んだ。「工廠、異常なし……」その時！「ウニャー！」闇を裂く怒号！『応答願います飛龍＝サン！中型の猫です！猫確認！よ、妖精の死体を喰って……アバーッ！』彩雲妖精の通信が無慈悲に寸断！「キエーッ！」 #KZNPLN

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彩雲撃墜の爆発音が届くより先。夕立は窓枠を蹴り工廠へ跳んだ！眼下には、蠢く死猫の葬列。ナムアミダブツ！猫は音も無く忍び寄り、既に司令室を包囲しつつある。弾丸めいて射出された夕立は空中で獣のように身を捻り、着地と同時に『猫』の頭を掴み叩き伏せた！ #KZNPLN

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敵は１ｍ級一匹。『猫』はヌルリと夕立の掌から頭を滑らせ、互いに一撃必殺には一歩届かぬ間合いで威嚇し合う。べちゃり、と足元の血が跳ねる。血と混じり、足元から立ち昇る赤い瘴気。砲口に、魚雷管に、両目に収束し、その視線すべてが敵一匹へ収束する。眼前の猫に。「アブナイ！」 #KZNPLN

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ＫＡＢＯＯＯＯＯＯＭ！北上の叫びを掻き消すように、工廠が爆発！巨大な『猫』が地下から現れる！その巨体たるや、ゆうに７ｍはあろうか！「ぽいぽい！応答しろ、ぽいぽいーっ！」北上が無線機に叫ぶ。応答はない。「そんな……」「総司令！下よ！」サーチライト照射！ナムサン……！ #KZNPLN

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鎮守府本棟をぐるりと取り囲む、影のように、闇に紛れた……黒い『猫』が！おびただしい量の『猫』が地面を這っている！否！地面から……下から湧いて出てきているのだ！索敵の目の死角を縫って！「しまった！地下か！」 #KZNPLN