#完全ノープラン艦これ与太話 【メリークリスマス・デビルダム】#5～#6

春魔解丼 @vespiking

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#完全ノープラン艦これ与太話 【メリークリスマス・デビルダム】#5 #KZNPLN

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（これまでのあらすじ：無所属の深海棲艦を受け容れる根無し草のヘイブン、サメワニ沖自治区にも異常気象による雪が降り、クリスマスが訪れる。だが南方の銀世界に紛れ、サメワニ沖に恐るべき違法アンコ汚染の影が忍び寄る） #KZNPLN

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（行方不明となった北方棲姫メルカトルを捜索する自治会の港湾棲姫モルワイデと離島棲鬼ブラックピーコックは、泊地棲姫ミルメコレオの裏切りをうけ囚われる。アンコ汚染の黒幕、スシ補給艦の伊良湖。その裏の顔は、恐るべきオミナントのニンジャ幹部、スウィートポイズンであった！） #KZNPLN

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「キエーッ！」スウィートポイズンはサイケデリック三連続側転で階段を上り、監視室にエントリーした。身に纏うはサンタクロースめいた真紅のニンジャ装束に、純白の衛生メンポ。あたかも雪に滲む鮮血の如き禍々しさを湛えた紅白の悪魔は、ヒクヒクと笑いながら通信機を握る。 #KZNPLN

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「アー、ドーモ、ケムトレイル＝サン。スウィートポイズンです。ヒヒ！」『ドーモ、伊良湖＝サン。望月です。バカ、不用意に名前を出すんじゃねえ。通信が漏れても知らねえぞ、オハギ・ジャンキーめ』通信機を挟み、濃い雑音に紛れた気だるい声がスウィートポイズンに届く。 #KZNPLN

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「件のガキはBポイントに設置したから。手筈通りに頼むよ、ヒヒヒ」『アイ、アイ。今向かってるよ、安心しな。西太平洋のド真ん中上空、マッハ1で順調に飛行中だよ』「ヒヒヒ！アリガトウ！お礼に伊良湖の特製モナカ、あげちゃおうかなァ」『アホか。パイロットにオハギ勧めんなよ』 #KZNPLN

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「ヒ！ヒ！ヒ！じゃ、ヨロシクねェ」『アイ、アイ。ヨロシクしてやるよ。じゃアな』ブツリ。暗く肌寒い室内に、静寂が戻る。スウィートポイズンは受話器を置いた姿勢のまま、全神経を血中のアンコに委ねるように、深く息を吸い、吐いた。ぎらりと双眸が輝き、直後。「イヤーッ！」 #KZNPLN

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スウィートポイズンは背後へ三連続スリケン投擲！ハヤイ！甲高い金属音が三度鳴り、鎖が高速で擦れる音がそれをかき消す。「イヤーッ！」スウィートポイズンは背後へハイキックを放つ！ＣＲＡＡＡＳＨ！鎖に繋がれた巨腕が、弾かれる！「キエーッ！」電撃的スプリント！ #KZNPLN

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モルワイデはスウィートポイズンの突進に、伸ばしていない右腕を真正面から撃ち込んだ！「イイイヤアアアーーーッ！」チェーン巨腕での牽制中に溜め込んだジキ・ツキだ！「グワーッ！」ガードするが、だがしかし、重い。「ギギギギ！やるなァ！」スウィートポイズンは背後に跳躍退避。 #KZNPLN

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「ハァーッ！ハァーッ！……イヤーッ！」モルワイデは息を切らし、巨腕艤装でデスクを打ち砕いた。「Bポイントとか言ったな……ここだな」砕けたデスクの見取り図から、件のポイントを視認する。「盗み聞きかァ？シツレイ！」「あれだけデカイ声で話して、盗み聞きも何もないだろう」 #KZNPLN

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「イヤーッ！」モルワイデは右腕を背後へ放ち、廊下の壁を掴む。「逃がすか！キエーッ！」「イヤーッ！」左の巨腕がトビゲリを受け、その衝撃と右肘の巻き取り機構に乗り、モルワイデの巨体が背後に引き摺られる。「悪いなニンジャ。テメェと遊んでるヒマは無い」 #KZNPLN

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「イヤーッ！イヤーッ！」「キーッ！待て！」スウィートポイズンがモルワイデを追う！だが、勢いが出ない。「……ああ、オハギが切れちゃう……摂取しなきゃ……」スウィートポイズンの股下に、黒い塊がボトリと落ちた。体内で生成したアンコだ。彼女はそれを床から嘗め取った。 #KZNPLN

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「……アー……アーイイ……」スウィートポイズンがアンコを補給する隙を突き、モルワイデは巻き取り機構を用いた最大戦速でBポイントへ向かう。時間がない。先の通信相手もそうだが、それ以上に。「グワーッ！」着地に失敗し、全身を打つ。為すべきを為さねば。この身体が動く内に。 #KZNPLN

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モルワイデは這うように身体を起こし、最短経路から少々外れたルートに入った。攪乱の為、戦闘時間短縮の為だ。細く入り組んだ通路、肩を壁に預けながら気配を殺し、進む。かつてポートワインを支配した彼女が今の自身を見れば、そのブザマな姿を恥じた事だろう。だが今は関係ない。 #KZNPLN

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「……返せ、返せ……全部だ。全部……」うわ言のように繰り返す。そうだ。取り戻すのだ。浦風から託された平穏を。この地を、ブラックピーコックの、メルカトルの、安住の地を。モナカごときに、ニンジャなどに奪われてなるものか！その為ならば、どんなブザマな泥でも啜る。 #KZNPLN

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正面の空間が開けた。警戒し、壁から注意深く広間を見るモルワイデの視界に、白と黒のコントラストが映り込んだ。その者は倍ほどもある巨体で悠然と立ち、明らかにこちらを視認できる位置にいながら、だが腕を組んで動かぬ。その姿に、モルワイデは己と同種の決意を見た。 #KZNPLN

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「ドーモ、ミルメコレオ＝サン。モルワイデです」敵の待ち構える広間に堂々とエントリーした彼女の愚行は、仲間へのソンケイと信頼の証だ。共にこのサメワニを築いた、仲間との絆の証だ。「ドーモ、モルワイデ＝サン。ミルメコレオです」敵もまた、それに応え、深くオジギした。 #KZNPLN

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（ #完全ノープラン艦これ与太話 【メリークリスマス・デビルダム】#5続き） #KZNPLN

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｢返して貰うぞ、このサメワニ沖を｣そう先に口にしたのは、ミルメコレオだった。｢……同じく。こちらも奪い返すつもりだ。サメワニ沖も、何もかも｣モルワイデは低く、明確に敵対を告げた。｢それでいい。お前は、それでいい。だが、誰かがやらねばならんのだ。誰かが手を汚さねば｣ #KZNPLN

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｢やりようッて物が、あンだろ｣モルワイデが踏み込む。｢メルを攫って！オハギをバラ撒いて！コソコソと、オミナントなんぞと通じて！それがお前の言うサメワニ沖の姿か！｣｢そうだ｣ミルメコレオの艤装が踏み出す。｢なら、何故｣モルワイデがさらに一歩。｢お前だけで、やった｣ #KZNPLN

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｢モルワイデ＝サン。お前は手を汚すな。お前はブラックピーコック＝サンとの繋がりが深過ぎる。わかるな｣｢わからねェよ！｣｢必要なんだ。治世には、手の汚れてない者が、その勢力が。それが最大でなければならん。ブラックピーコック＝サン1基には荷が重い。お前もそこに必要だ｣ #KZNPLN

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｢手を汚していいのは、最大勢力から外れた小悪党でなければならん。つまり、私が適任だ。裏のカネ周りと勢力基盤は、私が根回しする。そうせねば、いずれ平定軍に下る者が出る。ここは呉鎮守府の警戒領域だ。連中が我々を敵と看做せば、サメワニ全体を容易く滅ぼす。そうはさせん｣ #KZNPLN

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｢それで！その為に！メルを、テルビウム＝サンを売るのか！｣｢……安心しろ。すべての罪はオミナントが持つ。そういう契約だ。サメワニを資金源と看做す限り、連中は我々を切り捨てない。世の中、クズほど信頼できる｣｢そういう問題じゃ！ねェだろ！｣モルワイデが腕を振り抜いた。 #KZNPLN