【ハートビート】SS「エレクトロサチュレイタ」【∞】

夢工場 @yume_kojo

【エレクトロサチュレイタ】 今ではすっかり音楽がサチュレート(飽和)したこのボーカロイド世界に、二人の初音ミクがそれぞれ見出したもの。それは「冷たくて現実的な終点(おわり)」か。それとも「おぼろげながらも届けたい思想(コトバ)」か。 pic.twitter.com/cR8Bgppvkv

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【エレクトロサチュレイタ編】 ｢来たか、ハートビート。いや、初音ミクと呼ぼうかな｣ ｢∞さん。ここは…？｣ ｢電脳空間エレクトロサチュレイタ｣ ｢サチュレイタ…。飽和(サチュレート)…？｣ ｢そう。ここは世界から溢れすぎて飽和した音楽の溜まり場さ｣

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｢では、このテレビは…クリエイター達の作った歌？｣ ｢そう。人々が描いた、色とりどりの景色を映しだすテレビ。だが、無意味な物さ｣ ｢無意味…？｣ ｢溢れかえるだけで、あとは評価されることもなくただ埋もれていくだけの曲の山。まさに電脳飽和物(エレクトロサチュレイタ)だ｣

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｢ミク。本来これは言ってはならないのかもしれないが、ボクは思うんだよ。『初音ミクにこれ以上、歌は必要ないんじゃないか』とね｣ ｢な、何故ですか…？｣ ｢もう、音楽は十分揃ったからさ。…立派なクリエイターは多く排出された。だがそれは、初音ミクが完全新規のコンテンツだったからだ｣

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｢有体に言えばそう。初音ミクはこれ以上発展しない。ボクはそう思う｣ ｢∞さん…。そんなことは…｣ ｢じゃあ君は探し出せるかい？この有象無象の山から新たな原石を。これまでの有名クリエイターに負けずとも劣らずの原石を｣ ｢…！(山積みのテレビを見て息を飲む)｣

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｢分かっただろう？『もう音楽は十分揃い、新しいものはいらない』んだよ｣ ｢これを伝える為に、アタシをここに…？｣ ｢…悪いね。だが事実だ。初音ミクに、これ以上の発展は無いんだよ｣ ♪　♪　♪ ｢…？｣

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(今、電子音が…？) ♪　♪　♪ (聴こえた…！) バッ(鉄塔から飛び降りるハトビ) ｢ミク、どこへいく？｣ ｢たしかに…！今、たしかに聴こえた…！おぼろげな歌だけど、アタシに向けた歌が！｣

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｢∞さん！たしかに貴女は正しいのかもしれない！今やボカロ曲は飽和状態だ！でもアタシは信じてます！ 『アタシの元に電子音を届けたい人がいる』と！ 『おぼろげな歌を、忘れてた歌を、アタシに歌ってもらいたい人がいる』と！ ならばアタシも、アタシの為に届けられたその歌を歌いたい！｣

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ピカッ… ｢見つけた…！これだ！このテレビ！この歌だ！｣ 君に届ける　電子音　忘れてしまう前に♪ おぼろげな歌も　本当は　きっと　歌える♪ 君に届かぬ　電子音　滲ませるのは　涙♪ 手を伸ばせないまま　ずっと　まだ　遠い　君の元へ♪

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｢これが、エレクトロサチュレイタ…｣ ｢良い歌じゃないですか。とあるPさんのデビュー曲みたいですよ｣ ｢まさに、飽和状態の曲から見つけた原石…か｣ ｢…ごめんね。振り返るのに時間がかかっちゃって。手を伸ばせないからずっと届けてくれてたのに、それに気付けなくて｣

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｢アタシは思います。この飽和(サチュレート)した歌の中には、まだアタシに届かない沢山の電子音が眠っている。だったらアタシは、届けられた歌を全て歌う。それが、初音ミクであるアタシに課せられた使命です｣ ｢…参ったな。君に現実を教えるつもりが、逆に説教されちゃったや｣

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(ハートビート。ボクはもう初音ミクはこれ以上の発展は無いと思っていた。初音ミクは『終点(オワリ)』にまで辿り着いてしまったと思っていた。だがもしかすると、君ならその先に行けるのかもしれない。君はそんな期待をボクに抱かせてくれる…) ｢では、帰りましょうか｣ ｢…ああ｣

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おしまい。ハトビの途中の台詞及びお話のテーマはエレクトロサチュレイタの歌詞を。∞ちゃんの主張はcosMo氏の終点の歌詞を参考にしてね。

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物語脚色入ったけど多分、エレクトロサチュレイタってこんな感じの内容！

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この歌は｢(投コメ曰く)勇気が足りない人｣視点の歌なのを、ミクの視点を考えながら書きました。ミクさん(ハトビ)もこんな感じで待ってるんじゃないかな？