【艦これif】古鷹型重巡洋艦古海エピローグ
「……広くなったね、ここも」 「うん……」 撤収作業が行われている鎮守府のドッグで、わたしと妙理(みょうり)は慌ただしく働く作業員さんを眺めていた。 妙理「うーちゃん」 羽海「なに?みーちゃん」 妙理「……ここが人でいっぱいだった時のこと、覚えてる?」 羽海「もちろんだよ」
2015-02-28 10:31:54羽海「……私の小さい頃は、お姉さんたちがいっぱい居て……ドッグが足りないって言って、しょっちゅう工事をやってたんだ」 妙理「そうなんだ」 羽海「いつからかな……艦娘に、謎の病気が出始めたのは」 妙理「……」
2015-02-28 10:35:36羽海「最初は、疲れが抜けない、くらいだったんだ。それから、関節が動かしづらくなったり、身体のあちこちが調子悪くなったり」 妙理「……老化?」 羽海「そう。それにしては若過ぎたんだけどね……後で分かったんだ。艦娘は、テロメアがみじかいんだって」 妙理「?」
2015-02-28 10:38:36羽海「簡単に言えば……遺伝子の寿命。細胞は毎日新しく生まれて、死んでいく。細胞は新しく生まれるたびに、テロメアが少しずつ短くなっていく」 妙理「……それがなくなったら?」 羽海「もう、新しい細胞は生まれない。老いて、死ぬだけ」
2015-02-28 10:40:43妙理「じゃあ、テロメアが短い、っていうのは」 羽海「そう。定められた時間が、人間よりも短い、ってこと」 妙理「……パパが早く逝っちゃったのも、そのせい?」 羽海「そう。……私のお母さんはもっと特殊でね。私が5歳の時に……」 妙理「……遺影、若かったよね」
2015-02-28 10:43:54羽海「わたしも、うっすらとしか覚えてないんだ。でも……お母さんの匂い、ぬくもり、手の感触……そういうものが、私の心の深くに残ってる」 妙理「……」 羽海「みーちゃんは……どう?」 妙理「わたしは……もっと覚えてない」 羽海「そっか」
2015-02-28 10:46:46羽海「ねぇ、みーちゃん」 妙理「なぁに、うーちゃん」 羽海「……私達に遺された時間は、あとどのくらいかな?みーちゃんはお母さんが人間だけど、わたしは……あと何年、こうしていられるのかな」 妙理「……」 羽海「私のお葬式には出てよね」 妙理「もちろんだよ」 羽海「……約束、だよ」
2015-02-28 10:49:59……いつしか作業員の人はいなくなって、カラになった倉庫には夕日が差し込んでいました。私たちは、影法師を踏みながら、家に帰りました。
2015-02-28 10:52:29羽海「……見事にシャッター街だねー」 妙理「コンビニあるし、ショッピングセンターだって出来てるんだよ?車ないひとしか来ないって」 羽海「そうかなぁ。わたしは好きだけどなぁ、こういうアーケード」
2015-02-28 16:07:32羽海「……まるで魔法だね」 妙理「そう?良かったら教えよっか?」 羽海「いいよ、必要になったらみーちゃんにやってもらうから」 妙理「なにそれー」
2015-02-28 16:13:08春はお花見して、夏は海水浴とキャンプ、秋は月見や焼き芋作って……冬が訪れる頃、羽海が体調を崩しだす……妙理は医者から全てを聞かされるんだけど、知らないふりをして振る舞う、本人も自分の身体のことを知ってるけど気丈に振る舞ってる、でも…みたいな1クールアニメでよろ。
2015-02-28 16:19:10今までアナログカメラに興味も持たなかった妙理が、羽海が倒れたことでそのフィルムを現像してみたら、綺麗な風景と自分たちの笑顔しか写っていないことに気がついて涙するとか。
2015-02-28 16:26:21故人の日記を遺された者が読む、っていうの、いいよね…日記を書けなくなった次の日からずーーーーーーーーっと真っ白なページが続くのって…
2015-02-28 16:29:59