ヘイトスピーチの法規制を考える

イヌノオー＠ @inunohibi

@zetuboutouin まぁそこは難しいと思います。ヘイトスピーチ規制に賛成する人は、｢ヘイトスピーチは言論・表現ではない｣といいますし、私もそう思います。しかし「表現の自由」という権利の意味は.. togetter.com/li/804797#c184…

イヌノオー＠ @inunohibi

「ヘイトスピーチはいい」などということは、開き直ったネット右翼くらいしか言わない。ほとんど誰もがヘイトスピーチは悪いというが、法的に規制する事については判断が分かれる。ヘイトスピーチ規制に名を借りた、権力による言論弾圧を招かないか、という危惧が存在する。

イヌノオー＠ @inunohibi

しかしこれも程度問題だろう。殺人や強盗を法的に取り締まることに、「国家権力の暴走を許すから反対」というものはいない。

イヌノオー＠ @inunohibi

昔は「警察は国家権力の手先で、支配者が民衆を弾圧するための道具だ」という共産主義者やアナーキストがいたが、国家の消滅したユートピアの展望もなくなった今、警察の役割を全否定するものは居ない。

イヌノオー＠ @inunohibi

我々が殺人・強盗を取り締まることに文句なく同意するのは、殺人・強盗を市民の話し合いで解決するのは負担があまりにも重く、コストが耐え難いからだ。

イヌノオー＠ @inunohibi

「市民の良識で解決すべき」という意見は、解決できるという楽観のほかに、「法の力を借りるほど大したことではない」という見立ても存在している。

イヌノオー＠ @inunohibi

何が市民の良識で解決する「程度」で、何が法的強制力を持つべき深刻なものかは、市民の合意で決まる。もっともヘイトスピーチのように民族少数者が絡む問題の場合、政治的権利の問題もあるし、多数派のような数の力がないといった課題もある。

イヌノオー＠ @inunohibi

ヘイトスピーチを尊重しろ、というものはいないが、「表現の自由は絶対尊重すべき」という人はいる。アメリカではそういう主張のリバタリアン（自由至上主義者）が無視できない勢力を持っているが、アメリカ以外で影響力はあまりないようだ。

イヌノオー＠ @inunohibi

功利主義、自由主義、共同体主義といった過去の政治哲学を検討した、マイケル・サンデル｢これからの正義の話をしよう｣でも扱いは小さい。アメリカ的伝統に根強い考えだが、それ以外の文化圏の人間としては、直感的にいって「何か変だぞ｣と思わせる。哲学的深みがあるようには見えない。

イヌノオー＠ @inunohibi

本場アメリカでは、軍隊の民営化や、警察活動も民間の警備会社にゆだねるべきと主張する過激派がいるが、日本ではそこまで極端な思想は受けないので、ロリコンエロマンガを愛するオタクとか、ヘイトスピーチの自由を制限されたくないネット右翼が、中途半端に「表現の自由」を擁護している。

イヌノオー＠ @inunohibi

ヘーゲルは「自由とは社会的に保障されて成り立つ」と考えた。たとえば経済活動の自由を可能にするのは、私有財産を保護する政府があってこそだ。表現の自由というのも、「表現を受け取る他人」がいて成り立つのだから、自然から人間に与えられた権利でもなんでもなく、

イヌノオー＠ @inunohibi

社会的に承認された活動なのだ。ただしここでも、「自然な権利」と考えたほうが、世の中がうまく行く場合もある。形式主義と同じだ。「よい表現」と「悪い表現」をいちいち吟味するような、社会主義国家の悪夢はいうまでもない。

イヌノオー＠ @inunohibi

とはいえ自由主義に他人を傷つける自由、他人を侵害する自由はない。だから自由主義にも、「他人を尊重せよ」という道徳的命令が存在する。リベラル哲学の大御所ロールズも、異論を受けるとすぐに手直ししてそれは隠さなくなった。

イヌノオー＠ @inunohibi

だから「表現の自由」とだけいっても、問題は解決しない。法規制がなくとも、大抵の民主主義社会でヒトラーを賛美する自由、金日成を個人崇拝する自由は制限されているし、社会のモラル感覚が強まれば、安倍首相をヒトラーになぞらえて風刺する自由、

イヌノオー＠ @inunohibi

安倍首相の人形の首を切り落としたり、燃やしたりする自由も「ふさわしくない」と制限されるかもしれない。