デッド・バレット・アレステッド・ブッダ #3

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「「スッゾコラー!!!」」」エージェントが懐のチャカ・ガンへと一斉に手を伸ばす!何故エージェントが邪魔を!?だがここで1秒でも余計な思考をしていると命取りになる!思考を停止させヘッドショット殺だ!「死ね!」「庶子!」BLAMBLAMBLAMBLAM!!「「「アバーッ!」」」43

2015-04-16 00:52:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエエエ!何だお前らは!?」銃を持った立てこもり犯を発見!「止まれ!ブッダを殺すぞ!どうなるか解っているのか!」その頭はサイバーヘルムで覆われ、ヘッドショットを阻む!ならば胴体へと一斉射撃だ!「死ね!」「庶子!」BLAMBLAMBLAMBLAM!!「アバーッ!」射殺! 44

2015-04-16 00:59:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハァーッ!ハァーッ!全部殺したな!」ススムとジェイクが銃を全方位に向けクリアリングを行う。息があるのは四人のアウトローと、麻袋を被された哀れな人質だけ。「クウェルト555=サン、ハッキングして内側からロックしろ!セキトリ=サンはゾンビーを食い止めろ!その間に3億円を探す!」45

2015-04-16 01:08:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ブッダは……ブッダは無事か!」途切れがちなセキトリの声が廊下から聞こえる。「生きてるぞ!」「やったな!」ススムとジェイクがロッカーやチャブを荒々しく蹴り飛ばしながら家捜しする。だが見つからない。焦りが苛立ちを、苛立がさらなる焦りを生む。いつマッポとゾンビーが来るか解らない。46

2015-04-16 01:15:22
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「何処に隠しやがったこのクソ野郎!時間がねえんだよ!ファック!」ススムが頭を掻きむしりながら、立てこもり犯の死体を蹴る。だが死体は何も語らぬ。この凶行の意味も。3億円の在処も。「ファーック!」ススムが鉄ブーツでさらに死体を蹴る。「これか!?」ジェイクが物陰にケースを発見! 47

2015-04-16 01:18:32
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「開けて確認!」「硬い論理鍵!」ジェイクが舌打ちする。強引に破壊すると運搬が難儀。「クウェルト555=サン!」「システムハック中」ハッカーが首を振る。彼は既に制御UNIXに直結中だ。「並列しろ!時間がねえ!」「AYE」「ドーゾ!」ジェイクが重いケースをハッカーに投げ渡す! 48

2015-04-16 01:26:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

セキトリは入口付近でゾンビーの侵入を食い止めている。徐々にその波は緩やかに。「何秒でケース開く!?」ススムが死体から銃と弾を補給しつつ問う。「50」現金ケースのLAN端子と並列直結したハッカーが鼻血を垂らし、前頭葉の引きつったような痙攣を起こしながら、甲高い電子音声で答えた。49

2015-04-16 01:32:31
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ごく短い補給時間が訪れた。ラッキー・ジェイクは銃弾と武器を目敏く発見して回った。それから血塗れの手をシャツで拭うと、懐からニューロンを加速させる違法トロ粉末を取り出しSNIFFし、さらにZBR煙草を咥えて疲労を癒した。「フゥーッ」煙を吐きながらコンクリ壁に寄りかかり、座る。 50

2015-04-16 01:39:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

まだ現金ケースの論理錠は開かない。ニューロンが加速し、1秒の待ち時間もまどろっこしく感じ始めた。ススムは念入りに家捜しを続け、他にも金目のものが無いかせわしなく動き続けている。「ブッダ、あんたも大変だよな」ジェイクはふと、隣にいる人質に目をやった。「50%の確率でブッダ……」51

2015-04-16 01:42:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ワケがわからねえよ」ジェイクは煙を吹かした。ブッダなどどうでも良かった。後少しで3億円が手に入る。そして逃げ、祖国に帰るのだ。具体的プランはまだ無いが、自分はラッキーだから、金さえあればどうにかなる。「アイエエエエ……たふけて……たふけて…」猿ぐつわを噛まされた人質の声。 52

2015-04-16 01:45:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フゥーッ」ジェイクはZBR煙草の煙を吹かす。長いようで短かった、ネオサイタマでの美しく神秘的な経験……イミテーション桜コリドー、寺観光、猥褻な店、ツキジのスシ、ネオ・ロポンギのネオンカンバンの海、ハッカーカルトサイバネ屋のシソの香の臭い……「……たふけて……たふけて……」 53

2015-04-16 01:53:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

もう1個くらい何かあってもいい。ジェイクはそう思った。「クジビキしてみるか。ブッダかどうか、50%」彼は銃をザラついたコンクリート床に置いた。それから灰色のツナギを着た人質の横に行き、頭に被せられたコケシマート麻袋に手を掛けて、首の結び目をほどき、ゆっくりと引き上げた。 54

2015-04-16 02:00:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それはコナミ。ブロンド髪とライムグリーン髪がソフトクリームめいて入り混じった、ホットな女。目の下には溶け落ちたアイシャドウと深い隈。「前後しなさい……」ジェイクは唖然としていた。2年程前……ネオ・ロポンギのカラテドージョーに通っていた頃、アソビ・パブで出会ったオイランだった。55

2015-04-16 02:07:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「開いた!」「イエス!聖徳太子!」ハッカーとススムが叫んだ。現金ケースの解錠に成功し3億円を確認したのだ。それを聞き、ジェイクは電流が走ったように入口を振り向いた。スモトリが部屋に入ってくる所だった。「アァ……?前後ほ?」女は眉間に皺を寄せて言った。「あんは……ジェイク?」 56

2015-04-16 02:20:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウープス」ラッキー・ジェイクは女の頭に麻袋を被せ直した。そして耳打ちした。「いいか、黙ってろ。お前はブッダだ」「あのは、ジェイク、トロ粉末持っへない?」「いいから何も喋るな。何も喋らなけりゃ助かる」ジェイクは、身を屈めて戸口を潜る血塗れのブッダ狂信者を見た。「たぶんな」 57

2015-04-16 02:28:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ブッダは……?」セキトリがよろめき、壁に寄りかかって腰を下ろした。「大丈夫だ、ここにいるぞ」ジェイクが袋をかぶせた人質を見せる。「ジェイク=サン!作戦成功だ!反対側のエレベータを使う!3億持って逃げるぞ!」ススムとクウェルト555が現金ケースを抱え、脱出準備を進めていた。58

2015-04-16 02:38:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ああ、準備できてるぜ」ジェイクは二梃拳銃を握り直し、立ち上がった。そしてススムたちを見た。彼らの顔には、1秒たりともここに留まる気は無いと書いてあった。ゾンビーの波が引いたこの機会を逃さず、疲弊し切った瀕死の狂人セキトリと足手纏いの人質をここに置いて逃げる事を意味していた。59

2015-04-16 02:47:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((そういうビズだろ、ラッキー・ジェイク。俺たちゃ3億を。狂ったスモトリはブッダを。そういうビズだ。ニンジャもいつまた出てくるか解らねえぞ)))ジェイクは少しだけ顔をしかめ、残される2人を見た。「何してやがる!ジェイク=サン!」ススムが苛立ち、銃に手をかけて思い止まる。 60

2015-04-16 02:55:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一触即発。全員の視線が交錯し、アトモスフィアが張りつめる。ハック&スラッシュで最も危険な瞬間。今夜初めて出会ったばかりの四人のならず者ども。ジェイクも、ススムも、クウェルト555も、手に銃。尻に火のついた明日無きアウトロー。3億。取り分は多いほど望ましい。だが、死ねば終わり。61

2015-04-16 03:04:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼らはハック&スラッシュにしては愚かな判断をした。「俺はこいつらと行く」ジェイクが言った。「あんたもイカれたか?」とハッカー。「たぶんそうだ」ジェイクが笑った。「行っちまうんだな」「ああ」ススムがケースを開け、適当に3分の1ほど札束を放り出した。「ジェイク=サン。お前の分だ」62

2015-04-16 03:16:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「感謝」ジェイクが言った。「……でも俺はラッキーなんだよ、本当に。俺と来た方がいいと思うが、行くんだよな?」「ああ、時間がねえんだよ」とススム。「ハッキング無しで脱出は……」クウェルト555が言いかけて、留まった。ジェイクの顔には、知っていると書いてあったからだ。 63

2015-04-16 03:20:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

自動フスマが閉じた。部屋にはジェイクとセキトリとブッダが残された。「嬉しいよ」セキトリが頭から火花を散らしながら微笑んだ。ジェイクは煙草を吹かして聞いた。「何が?」「あんたもブッダを助ける正しい道に戻れたからさ。最後の最後で」「あいつらは?」「あいつらも、いい奴さ」と笑った。64

2015-04-16 03:32:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【デッド・バレット・アレステッド・ブッダ】#3終わり 最終セクションの#4へ続く

2015-04-16 03:32:56