獣人探偵の事件簿

陣営:同盟 出自:異界の血 経験1:許嫁 経験2:絶技 信念:美学 続きを読む
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ただのつける @kinoakira

協力者を増やす必要がある。 信憑性の高い情報をより多く、より多面的に、教えてくれる人間が必要だ。 そうは言っても、自分のこの胡散臭い身の上に信頼を置いてくれるような大人物は稀なわけだが。 #dtv_pod

2015-05-17 01:22:52
ただのつける @kinoakira

行き着く先は足で稼ぐこと。 …まあその他にも奥の手を幾つか使ってはいるのだが。 行き着いた先はどこからどう見ても普通の民家。 そろりと音も立てずに近づき、素早く針金を鍵穴に差し込み開錠する。 #dtv_pod

2015-05-17 01:25:40
ただのつける @kinoakira

幸い、錠前は比較的簡単なもので簡単に侵入することができた。 が、一歩建物内に入った瞬間にウィリアムは落胆に肩を落とした。 埃が積もり、一目でここ最近は拠点として使われていないらしいことがわかった。 黴臭い匂いの中に、ふと嫌な腐臭のようなものを感じ取る。 #dtv_pod

2015-05-17 01:30:38
ただのつける @kinoakira

床を這い回るように、家具を舐めるように。 一つ、一つ、調べて回る。 幾つかの手がかりを懐に仕舞い、最後に残った腐臭が流れてくる部屋へ足を踏み入れる。 「これは……」 大切そうに箱を抱えたままの乾いた骸が一つ。 無造作に転がっていた。 #dtv_pod

2015-05-17 01:34:01
ただのつける @kinoakira

しかし、おかしなことが何点か。 目撃情報などからして、少なくとも1ヶ月前には人の出入りがあったはずの建物に、ひどく乾燥した骸。 おかしい。 おかしすぎる、これも”混沌”の影響なのだろうか。 ウィリアムは死体を注意深く、検分する。 #dtv_pod

2015-05-17 01:36:51
ただのつける @kinoakira

外傷はなく、襤褸のローブを体に巻きつけた男は後生大事に箱を抱えている。腕を開こうにも余程離したくなかったのか、一向に外れる気配がない。 そして、箱に目をやれば表面に何かが嵌りそうな窪みが二つと『希望の箱』という文字が掠れて記されていた。 「希望の箱…ねえ」 #dtv_pod

2015-05-17 01:39:50
ただのつける @kinoakira

話には聞いたことがある。 何が入っているのかわからない、あかずの箱。 特殊なアイテムが必要なのは解ってはいるが、いかんせん。 そのようなものは持ち合わせがない、かと言って骸ごと運ぶわけにもここに置いていくのも危険すぎる。 #dtv_pod

2015-05-17 01:42:27
ただのつける @kinoakira

「…そんなに縋りたい希望があったんですかねえ」 白刃を鞘から抜き払う。 骸がその鍵となるアイテムを持っていなかったことから察するに、彼は箱だけもって其れを開けようと躍起になっていたのだろう。 どうやっても開かない其れを誰にも渡すまいとしながら。 #dtv_pod

2015-05-17 01:44:44
ただのつける @kinoakira

「希望っていうのはね、重箱の隅を啄いてほじくり出すものなんですよ。誰かが持ってきてくれるわけでも、ましてそんな箱に入ってるはず、ないじゃあないですか」 誰に言い聞かせているのか、ウィリアムは言葉を紡いだ。 「それに、箱に入ってる希望が良いものか。わかりませんし」 #dtv_pod

2015-05-17 01:47:42
ただのつける @kinoakira

男の腕の中、その箱に刃を突き立てた。 頑丈な刃は『希望の箱』を貫き、乾いた音を立てて粉砕させた。 「…何も入ってないじゃないですか」 やはり正規の手段でなければ失われる『なにか』が入っていたのだろうか。 幾つかの木片を拾い上げて思案する。#dtv_pod

2015-05-17 01:50:09
ただのつける @kinoakira

「眠ってるとこ、起こして悪かったですねえ。お詫びに、そのうちこの辺が管轄の騎士団に連絡しますから、どっかの墓地にでも埋めてもらえますよって」 ウィリアムは静かに骸に言った。 箱は壊してしまったが、次につながる収穫はあった。 また、追いかけよう。 事件を探しに。 #dtv_pod

2015-05-17 01:56:12
ただのつける @kinoakira

【パ/戦闘/調査点5】黒衣の魔法師がウィリアム@同盟に、調査から手を引けば見返りを渡すと囁く。了承するならHP+20、これ以降あなたは調査点を得られず、使えない。断るならHP-6、SP+4。 appli-maker.jp/analytic_apps/… #グランクレスト大戦 #GC2_POD

2015-05-18 01:59:16
ただのつける @kinoakira

名前:ウィリアム・ナインテイル 所属:同盟(ただしパンドラ追跡のため他勢力との協力は辞さず) クラス:アーティスト(ライカンスロープ/アンデッド) HP:67 SP:16 調査点:35 #GC2_POD

2015-05-18 19:57:03
ただのつける @kinoakira

【パ/危機/調査点4】ウィリアム@同盟を突然襲う友軍部隊! 撃退後、指揮官が別人に入れ替わっていたことが判明。HP-8、SP+6。支援を得られれば調査点+1。支援した者はHP-2、調査点+3。 appli-maker.jp/analytic_apps/… #グランクレスト大戦 #GC2_POD

2015-05-20 00:02:40
ただのつける @kinoakira

名前:ウィリアム・ナインテイル 所属:同盟(ただしパンドラ追跡のため他勢力との協力は辞さず) クラス:アーティスト(ライカンスロープ/アンデッド) HP:56 SP:22 調査点:43 #GC2_POD

2015-05-20 00:25:51
ただのつける @kinoakira

ウィリアムの逗留している宿の部屋は、それはもう酷いものだった。 どう見ても二、三日しか逗留しているようには見えないほどに散らかっていた。 机も椅子も、床にさえ。 地図、気候図、様々な街で手に入れた機関誌。 あるいは情報屋から巻き上げたメモの束。 #dtv_pod

2015-05-20 02:16:05
ただのつける @kinoakira

紙、本、図面に所狭しとマーキングもしてある。 もはやそれらが侵食していない箇所は寝台の上のみだ。 その寝台の上に、ウィリアムは胡座をかき、新たな考察を紙に書き付ける作業に没頭していた。 そこへ、粗末なドアをノックする音が聞こえた。 #dtv_pod

2015-05-20 02:18:18
ただのつける @kinoakira

「はい、はいっと」 その体からは意外なほどな身軽さで、床に散らばった紙の上をぽん、と飛び越えウィリアムは扉を開けた。 「えーっと、うぃりあむさん?」 小さな少年が、紙切れを持って立っていた。 彼には見覚えがある、宿の御用聞きだ。 「はい、そうですが」 #dtv_pod

2015-05-20 02:20:53
ただのつける @kinoakira

紙片をウィリアムに差し出した。 「ほかのお客様からです。その場所で、待っていると」 「ありがとうございます」 取り出した駄賃をそれと引き換えに渡しながら礼を言う。 「どんな方でしたか?」 少し色の付けられたそれを目を輝かせながら受け取った少年は元気良く答える。 #dtv_pod

2015-05-20 02:23:02
ただのつける @kinoakira

「ええっと、マダムでした。凄く、綺麗な」 再度、礼を述べ少年を送り出したあと、改めて紙片を検める。 上等な紙、珍しい香水の匂い、一文字一文字違う人間が書いた筆跡、インクに怪しい気配はない。 『月が真上に輝く頃、お待ちしております』 「…デートのお誘いですかねえ」 #dtv_pod

2015-05-20 02:26:27
ただのつける @kinoakira

深夜、ざっくりとした時間通りに宿から出れば。 果たして、そこに待ち人はいた。 ヴェールで顔は見えないが、手袋をし、僅かに見える口元の皺から彼女の年齢はあまり若いとは言えないとわかる。 着ている洋服は上等だが、草臥れ、擦り切れが目立った。 #dtv_pod

2015-05-20 02:30:44
ただのつける @kinoakira

「お待たせいたしました」 ウィリアムはわざとらしく、勿体ぶった口調で彼女に挨拶をした。 「いいえ…私も今来たところですので。でも、あなたも建前などは不要でしょう」 「我々の進路妨害はやめていただきたいのです」 女の手に魔法が渦巻いた。 杖を使わない、それの行使。 #dtv_pod

2015-05-20 02:34:06
ただのつける @kinoakira

「あなたに益の無いことですよ。ご覧なさいな。今の状況を、様々な時空から様々な方が来ています。彼らの中にはこのまま進んだ先に絶望しか待ち受けていない方も、おります。それに、もはやパンドラの力は大きい。もう、直ぐなのですよ」 ウィリアムは黙って先を促した。 #dtv_pod

2015-05-20 02:36:41
ただのつける @kinoakira

「正義などという不確かなものを追いかけるのですか。見えない大衆に奉仕し続けるのですか。国に、民衆に。愚かなそれらはあなたに何も返してはくれませんよ」 それに、と女は微笑む。 「あなたの婚約者だって、此方に来た方が早く帰ってくるかもしれませんよ?」 #dtv_pod

2015-05-20 02:38:53
ただのつける @kinoakira

知らず知らずのうちに、ウィリアムは自らの獣じみた歯を剥きだした。 「言いてえことは、それだけですか?」 「はい?」 ゆっくりと、手をぶら下げたまま距離を詰める。 「別に誰に感謝されたくてこんな業深い稼業やってるわけじゃないんですよ。あたしも」 #dtv_pod

2015-05-20 02:42:03
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