忍殺二次創作【ユージュアル・アンラッキー・デイ】（原文のみ）

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

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◇客◇ドーモ、シカナです。これよりニンジャ二次創作の短編を投下します。TLの流速が心配、ヨウジョスレイヤーを見たい！ という方は遠慮なくタグ #4215tk をミュートしよう。なお、このタグは実況にも使えるハイ・テックなシステムです。なおこの短編にはゲストがいます◇演◇

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【ユージュアル・アンラッキー・デイ】 #4215tk

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「キィエーッ！」暗雲立ち込めるネオサイタマの一角。その路地裏にて、カラテシャウトが木霊した。1 #4215tk

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「ウナーッ！？」突然頭上から降ってきたそれを振り仰ぐことすらせず、女は側転退避！頭に装着された猫耳型ウェアラブル端末とネコめいたサイバネ尻尾が忙しなく揺れる。「襲撃な」「わかってるよ！」端末からのアラートに、女は毒づいた。即座に態勢を立て直し、カラテを構える！2 #4215tk

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彼女の視線の先には、ラバースーツめいて体にフィットした水色装束の人影がうずくまっている。チョップの形をとった手が、地面にヒビを入れていた。女は眉間にしわを寄せる。こんな真似ができる人間はいない。つまり。「ドーモ、はじめまして」水色の人影が涼やかな声を発した。3 #4215tk

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ゆらりと立ち上がった影が、そのままアイサツを繰り出す。ナムサン！女のニンジャなのだ！「ローレライです」「ドーモ、ローレライ=サン」対する女にも動揺は見られない。何故か？彼女もまたニンジャだからだ！「グラスキャットです」「先ほどのアンブッシュを避けるとは」4 #4215tk

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ローレライが緩やかに構えた。「中々の手練れと見える。流石はあの男の仲間と言ったところか」「仲間？」グラスキャットが眉をひそめた。彼女はフリーのニンジャだ。ビズ以外で他のニンジャと組むことなど滅多にない。加えて最近は評判のチキン・ショップ食べ歩きを敢行中。つまり。5 #4215tk

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(人違いかよ)グラスキャットの顔がしかめられた。チキン・ショップへの移動中に感じた妙な気配も、このローレライなのだろう。意図がわからず、わざとおびき寄せたのだが……「あのさ。あんた、たぶん勘違いを」「キエーッ！」その言葉が終わるより早く、ローレライが踏み込む！6 #4215tk

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グラスキャットは回避しようとして……目を見張った。体が動かぬ！「ンアーッ！？」かろうじて両腕で防御！そこにローレライのカラテ・パンチが突き刺さる！少なからぬ衝撃だ！「キエーッ！」ガードをかいくぐらんとするローレライの左フック！「い、イヤーッ！」7 #4215tk

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グラスキャットはその一撃をぎこちなくしゃがんで回避！彼女は心中で舌打ちした。普段の自分ならもう少し動けているはずなのに。しかし文句を言っても始まらぬ！「イヤーッ！」グラスキャットはそのまま足払いをかける！「イヤーッ！」ローレライはバックステップ「ンアーッ！？」8 #4215tk

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不意にローレライがバランスを崩し転倒！その隙にグラスキャットは五連続バック転で間合いを取る！いったい何が起こったのか？サイバネ尻尾である！グラスキャットは足払いが避けられることを見越し、さらに体を捻った。そしてローレライの足に尻尾を巻きつけ、転倒せしめたのだ！9 #4215tk

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(やれやれ、アブナイとこだ)グラスキャットはカラテを構え直し、ローレライを見据える。相手は既に復帰済み。逃げるのに充分な時間は稼げなかったか。(しかしあたしはどうしちまったのかね？)グラスキャットは訝しむ。先ほどは問題なく体が動いたのだが。その時である。10 #4215tk

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「警告な」(ん？)不意に端末からのアラート。「有害音波を感知」(……音波？)グラスキャットは首を傾げた。「やってくれる……！」ローレライが憎々しげに呟き、再び構える。「有害音波再感知な！」同時に端末からのアラート！グラスキャットは気づく。(あいつの声か！)11 #4215tk

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グラスキャットは状況判断する。どうやっているか知らないが、ローレライの声には僅かな有害音波が含まれている。カラテシャウトの時にはそれが増幅されるのだろう。一瞬相手の動きを止める程に！なんたるサイバネティクス無しでは気づきようのない狡猾なトリック！12 #4215tk

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しかし種が割れてしまえばこちらのもの！グラスキャットは相手に悟られぬように端末に触れ、操作する。「有害音波シャットダウンな」端末からのメッセージ。それと同時に「キエーッ！」ローレライが仕掛けてくる！「イヤーッ！」グラスキャットはそれをブリッジ回避！13 #4215tk

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「何」ローレライが目を見開く。ブルズアイ！動ける！「イヤーッ！」グラスキャットはそのままバック転で飛び離れる！反撃はなしだ。何故か？理由は二つ。まずグラスキャット自身がカラテ巧者ではない。そもそもこのイクサのきっかけも向こうの勘違い。相手にする必要はない。14 #4215tk

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ではもう一つの理由は？ローレライの構えの正体に思い至ったからだ。あれはアイキドー。相手の勢いを自身のカラテに巧みに利用する油断ならぬ格闘術！下手にカラテを放てば、それを利用され手痛い反撃を受けかねない。故にグラスキャットは様子見のため間合いを取ったのだ。15 #4215tk

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「どうした。先ほどから逃げてばかりだな」ローレライが挑発する。しかしその声に余裕はない。「仕掛けてきたらどうだ？」「冗談」グラスキャットは肩を竦める。「あんたのイクサに付き合う義理はないよ。……そもそも、あんたの言ってる奴をあたしは知らないんだ」16 #4215tk

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「知らない？そのなりで？そうとは思えんな」しかしローレライは強情だ。グラスキャットは眉根を寄せる。この格好がどうかしたというのだろうか？「……わかったよ」彼女は溜息をつき、カラテを構える。「次はこっちから行く。手加減はできないからな」「もとより不要」17 #4215tk

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不敵に言い放つローレライを見据え、グラスキャットは全身にカラテを漲らせる。ただならぬアトモスフィアを感じ取ったか、ローレライの表情が険しくなった。数秒の睨み合い。そして！「ウナーッ！」グラスキャットが打って出た！その全身から眩い光が放たれる！「ンアーッ！？」18 #4215tk

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予期できなかったか、ローレライが目を抑え悶絶！ゴウランガ！これぞグラスキャットの得意とするヒカリ・ジツだ！「加減できないって言ったろ？それじゃ、オタッシャデー！」グラスキャットは悠々と逃走開始！「アアアーッ！アアアアアーッ！」ローレライの叫びが背後に響く！19 #4215tk

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「やかましいやつ」グラスキャットは呟き、路地裏の奥へと駆ける。ローレライを撒くためだ。往来へ出るのは目立ちすぎる。しかし彼女自身この辺りの地理に詳しいわけでもない。「……地図を表示」「表示な！」端末を声で操作し、周囲の地形を確認。逃走経路を目算する。20 #4215tk

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相手のしつこさとカラテによっては、知り合いに連絡を行う必要があるか。グラスキャットはIRC連絡先リストを「システムシャットダウン」「シャットダウンな」「エッ」表示させるより早く、端末が機能を停止した。何故？背後から聞こえた、自分そっくりの音声指示のためだ。21 #4215tk

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「ずいぶんとハイ・テックだな、その端末。音声操作もできるのか」背後の声が足音とともに近づく。その声色は、グラスキャットのそれから、聞き覚えのあるそれへと変貌していく。ローレライの声へ。「だが好都合だ。利用させてもらったぞ」グラスキャットは恐る恐る振り向いた。22 #4215tk