#twhihyo 【一覧】リレー小説「遠慮がちに生きる」
#twnovel 「遠慮がちに生きる」姉妹と金と愛を等しくかけて育ててもらえどプレゼントに安価な物を要求する子どもだった。欲しいものも黙ってその前に立ち気付かれるのを待っていた。寄ってきた恋人が浮気しても追ったりしない。突然変異のごとく私だけ道徳はあっても愛がわからないからだ。
2009-11-12 11:21:30#twnovel 「遠慮がちに生きる」欲しい物は常に最初に手に入れる姉。憧れの先輩は姉と恋仲になった。後から甘えて欲望を満たす妹。恋人未満の親友は妹の物になった。たまに5人で出かけることもある。真ん中で笑みを浮かべる私の心は特に波立たない。一歩後を歩く私の目は只何かを待っていた。
2009-11-13 01:27:17#twnovel 「遠慮がちに生きる」私の右前を先輩と私の姉が寄り添って歩く。先輩の手は時々姉を離れ、私にひらひらと信号を送る。私の左前を親友が私の妹と並んで歩く。親友の目は時々妹を過ぎて、私にちらちらと信号を送る。それらは私の望むものではない。私の顔は微笑のまま微動だにしない。
2009-11-18 13:05:40#twnovel 「遠慮がちに生きる」ひらひらちらちらと送られる信号。右から左から、ひらひらちらちら。これは何?私の微笑に疑問が浮かぶ。盗み見る二人の顔が異質なものに感じられてくる。盗み見る二人の眼が、異様な色に浮かんで見える。その口元にいびつな歪みが刻まれる。ひらひらちらちら。
2009-11-23 22:20:22#twnovel 「遠慮がちに生きる」 ひらひらとちらちらは真ん中でぶつかり、七色に光る蝶々の羽になった。蝶々は私の目の前で鱗粉を振り撒いた。私はその鱗粉を大事に包む。私はこれだけでじゅうぶん。蝶々は空に飛んでいったかと思うと、二つに分かれて消えてしまった。
2009-11-24 00:03:51#twnovel 「遠慮がちに生きる」ある朝姉は結婚することを私に言った。私は素直に喜びを示したが姉の表情には陰りがあった。義兄になる人は挨拶の時も不可解な合図を私に送り続けている。今でも彼は私の憧れ、だけどこの表情は好きにはなれない。そして「キミはこれでいいのかい」と言った。
2009-11-25 01:24:16#twnovel 「遠慮がちに生きる」ある夜妹は結婚することを私に告げた。私は素直に歓びを伝えたが妹の表情には翳りがあった。義弟になる人は挨拶の時も奇妙な視線を私に投げかけている。今でも彼は私の親友、だけどこの視線は直視できない。そして「オマエの気持ちはどうなんだ」と言った。
2009-12-03 03:00:48#twnovel 「遠慮がちに生きる」その反面彼女は上手く世を渡っていった。いざという時に上手にねだって欲しいものを手に入れ、人によって見せる顔も変えることもあった。私の知らない顔もその中にあったのかもしれない…なぜこうも違うのだろうか?私の中で嫉妬のような物が芽生えつつあった。
2009-12-03 06:12:26#twnovel 「遠慮がちに生きる」遠慮がちに生きてこられたのは、それを許されてきたからか。与えられるものだけで幸せになれる時代は終わったのか。七色の蝶の鱗粉を見ながら考える。そして、はたと気づいた。私は今、ほしがることを欲しているのではないか?私には、愛がわからないのだから。
2009-12-09 12:25:59