【公式】金魚Twitter小説大賞 物語だけ【①】
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応募作品
祭りですくった金魚、あなたと私二人でわけて、ゆらり揺れる姿をお互いだと思って育てる。赤い尾びれはあなた、黒い尾びれは私。好きな服、似合う色。時々は思い出してね。忘れないでね。離れ離れでもいつも一緒、約束だからね。指で鉢をつつくと鼻先を合わせてなあに?笑うように。 #twnovel
2013-11-17 19:57:03#twnovel 金魚がいなくなったの。夏祭り会場で偶然会ったクラスメートは、自分の浴衣を指差しそう言った。確かに水色の浴衣には金魚がいない。綿菓子、カタヌキ、りんご飴。一緒に逃げた金魚を探す。露店の終わりに金魚すくい。きっとこの子だ。金魚袋を手に俯き笑う君の後ろで花火が咲いた。
2013-07-29 17:50:26「なんで金魚は赤いのに金魚なの?」この疑問に答えるべく、夏の終わりから僕達は考察を重ねた。初めは説話や進化論なんてもっともらしいことを言っていたけど、今では猫や魔女、宇宙人まで登場してる。金魚鉢から飛び出た物語、無事大団円を迎えられるだろうか。卒業まであと3カ月。#twnovel
2013-11-22 19:29:48#twnovel 夏祭り、浴衣姿の彼女。「祖母に貰ったの」くるりと回った。金魚と蓮が、まるで生きてるみたいに思えた。二人で花火のよく見える場所に腰掛け、その時を待つ。空でぱっと花が咲いた。彼女を見ると、浴衣には蓮だけが浮いていた。「金魚も蓮も本物よ」彼女は笑った。 #金魚大賞
2013-11-16 19:39:57金魚の腹に針を刺して、一匹ずつ花壇に植えていきたい。きっと綺麗だわ。びちゃびちゃ悶えて、金魚もゆっくり枯れていくかしら。日差しにあたって、真っ赤なおべべもきらきら輝くんでしょう。ねえお母様、金魚を買いに行きましょう。赤くて太った子じゃなきゃいやよ? #twnovel #金魚大賞
2013-11-26 22:04:59タスケテの声が聞こえたので、すくってみた。お嬢ちゃん上手だねと褒められたけど、そんなことより手の中の小さなあなたが大事だった。それから長い間話し相手になってくれたけど、近頃は元気がないのか返事が少なくなった。あなたがパクパクしているだけでも、私はすくわれたのに。 #twnovel
2013-11-29 22:25:47夏から新しい場所で暮らしているの。どうやらこっちに向かって口をパクパクさせる大きな生き物に拾われたみたい。長い間一人ぼっちだったけど、最近仲間が増えたの。少しづつ話すうちに同じ女の子だとわかったの。友達になりましょうね。良かったわ、夏のような争いは起きなそうね。 #twnovel
2013-12-08 18:36:05金魚すくい #twnovel 女の子が水槽を覗き込む。母親らしき人が「行くよ」と何度も促すが、動かない。それで「一回だけよ」と。 狙いを定めてポイを水中へ。――空振り。紙には穴が。 それでも、まだ掬おうとする。 ……ああ、しょうがないなあ。 ぼくは泳いでいき、ポイの縁をくわえた。
2013-12-07 00:06:02水槽の外 #twnovel 金魚が跳ねた。水槽の外に落ちる。苦しげに藻掻いている。ぼくは手で掬って水槽に戻してやる。 水槽の外でも生きていられると思ったのか。愚かな――いや、違う。それでも知りたかったのだろう。外の世界を。……我々と同じように。 窓から空をみる。そこには青い地球。
2013-12-11 21:26:08まるで夢のような光景だった。傍らでは、愛すべき友人たちが笑顔で泳ぎ、水面では、月光をはじいて赤と黒が煌めく。「金魚と一緒に泳いでみたい」そんな他愛無い夢が、こんな形で叶うなんて! #twnovel 夜の学校で繰り広げられた一夏の冒険。遠く離れても、きっと色褪せたりなんてしないよ。
2013-11-28 01:03:28「女の子は大切にせんと」そう言って祖父は鉢に餌をまく。別嬪さんや可愛娘や、と唄う様に話しかけるが金魚は目もくれず餌を追う。犬か猫なら撫でも出来るのにと言うと、祖父は「気の無い素振りで、実はこっちをよく見とるもんさ」と鉢をつついた。その指先に金魚が小さくキスをした。#twnovel
2013-11-17 18:16:14「掬われずに残った金魚って、そこらに捨てられるのよ。まあ掬われても直ぐに死んでしまうけれど。どちらも同じ結末なのに、後の人には“救ってくれた”と運命を感じるのよね」ねえおにいさん、わたしね、いまときめいてるの。少女が笑うたびに揺れる紅い帯れを、僕はそっと解いた。 #twnovel
2013-11-20 21:25:13夜店で金魚を一匹掬ってきた。埃をかぶっていた金魚鉢を洗い、その中に泳がせた。ゆったりとなんとも優雅に泳ぐ弱々しい姿。「お前はお姫様かよ。自然の中では生きて行けやしないだろ」三年後。その池に生き物を殆ど見なくなった。今では巨大化した、僕が放したあの金魚が食べ尽したようだ。#金魚大賞
2013-11-24 00:52:35#twnovel 金魚と猫を飼う少女。金魚と猫のバトルを見ては、困り笑顔でたしなめる。肉球打突を尾ひれでかわし、朝晩欠かさず喧嘩舞。昼は治療に出かける少女、金魚と猫は一眠り。疲れた少女が戻って来れば、たちまち二匹は目を覚ます。一緒に育った二匹と一人、誰が一番長生きか。
2013-11-14 12:12:05#twnovel 右に左に、奴の動きは予想できないが、私もこの水域随一の狩人として名を馳せた身、諦めるわけにはいかない。奴の透明の身体は水に紛れるが、わずかな揺らぎを捉えれば察知できる。神経を研ぎ澄ませ、奴をこの身に呑み込む瞬間を私はじっと待ち続けた。 #金魚大賞 #うたのべ
2013-12-13 23:10:00くるりくるりと彼女はまわる。赤い目尻とワンピース。 「君がなぁにも知らないように私もなぁにも知らないわ」 くるくるくるくる。彼女はとまる。あごを少しだけくいとあげて高らかに。「それでもあたしここで生きるわ」 蓋をした金魚鉢のような世界で彼女はまわってまわって前をみる。#金魚大賞
2013-12-08 00:32:40@chocolatesity #金魚大賞 宵闇峠をこえて稲荷神社へ。彼女に告げずに祭りに出掛けた。可愛い女子に目移りしながら歩く歩く。金魚すくいの水面から彼女が言った。 「他所なんて見ては駄目よ。私だけみていて頂戴?」 金魚はぱしゃりと水を掻き分けまた水中にもどってしまった。
2013-12-11 23:49:43七歳の頃、縁日ですくった金魚。私がもう高校を卒業する今も元気だ。魚の形の醤油入れほどだったそいつはもはやでっかいフナ。赤い色が足りなくなってか金色になりつつある。いずれ本当の金(色)魚になりそう。今日も水槽の中で鱗を光らせてゆらりと泳いでいる。 #twnovel #金魚大賞
2013-11-20 12:41:22あなたが夏祭りで得意気にすくってくれた金魚が2匹、今でも元気に小さな水槽の中で泳いでいる。そういえば、あなたは何度エサをあげてくれたかしら。浮気症のあなたは、今は別なあの娘にエサをあげてるのね。私もあなたと二人っきりで小さな水槽に閉じ込められていたかった。 #twnovel
2013-11-21 06:55:22浴衣姿のキミを見た時からドキドキしてる。金魚すくいでしゃがんだ時にうなじが見えてもっとドキドキ。キミが欲しいと言った出目金を狙ってもう1500円も使ってるのは、緊張してるからじゃなく、このまま時間が止まって欲しいと思ってるからだって言ったらキミは笑うかな? #twnovel
2013-11-25 00:21:57