映画・音楽評〈映像の海、音楽の雨〉 塚本晋也監督映画『野火』
index17:映画・音楽評〈映像の海、音楽の雨〉 「塚本晋也監督映画『野火』で、『戦場の時間』とは溶解した時間感覚なのだということを体験する」(2015年) bit.ly/1IrpT2Y #twnovel
2015-07-29 17:54:12@tsukamoto_shiny 『野火』観ました。たとえば『シン・レッド・ライン』が叙情的だとすると、『野火』で描かれる美しい自然は、凄惨な戦場の風景と同じ主人公の「心象風景」の一部であるかのようで、ある意味叙事的です。生理的嫌悪感を惹起する狂おしい映画でした。
2015-07-26 01:05:47本文
サルバドール・ダリの代表作『記憶の固執』の有名なモチーフは、ぐにゃりと溶けたような時計だ。塚本晋也監督『悪夢探偵』('06)では、眠ると悪夢の世界に引き込まれるため、必死に眠気と闘う女刑事が、不覚にも眠ってしまったことを表す記号がぐにゃりと溶けたような時計だった。
2015-07-29 17:17:13テレンス・マリック監督『シン・レッド・ライン』('98)では、兵士たちの「戦場の時間」とともに、それとは無関連に流れるガダルカナル島の自然の時間や、原住民たちの生活の時間が示される。そうした戦争を相対化しようとする引いた視線が、
2015-07-29 17:18:36塚本晋也監督『野火』('14)においては、レイテ島の美しい自然やジャングルの風景は、戦場の凄惨な風景とともに、田村一等兵の内面の一部であるかのようだ。まさに「風景に浸透された内面であり、内面に浸透された風景」が広がる。
2015-07-29 17:19:58風景は、現実なのか妄想なのか判然としない。ゾンビのような兵士たちとすれ違い、蛆がたかった死体が声を上げ、「猿の肉」と称して人肉が食されている。
2015-07-29 17:21:25アリ・フォルマン監督のドキュメンタリー・アニメ映画『戦場でワルツを』(’08)では、アリ・フォルマン監督自身が、欠落したレバノン内戦での記憶を求めて、兵役時代の仲間やジャーナリストと対話していく。そして、最後には、サブラ・シャティーラの虐殺の夜の記憶を取り戻す。
2015-07-29 17:22:40アリ・フォルマン監督は、抑圧した凄惨な記憶を取り戻し、回復への道を歩み出したのだろう。一方、田村一等兵は「戦場の時間」を、あの風景を生き続ける。記憶を抑圧することもできず、記憶に浸食されて。
2015-07-29 17:23:19参考
MIYADAI.com Blog「新作映画『野火』は、塚本晋也監督の25年に及ぶ進化の最終地点を示唆する」 bit.ly/1IpQzg2
2015-07-29 13:25:42