レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト

ウルメちゃんvsクロスさん! 流血MMホリラン第1T一回戦!
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真木ハルコ @homarine

一回戦はクロス姉さんかー。流血少女3でもメアとは敵同士でしたね。デストロイゼムオール!(よろしくお願いしますという意味の英語) pic.twitter.com/vOnbAMuTqJ

2015-07-26 22:32:20
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真木ハルコ @homarine

【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】

2015-07-27 18:43:45
真木ハルコ @homarine

無限の闇を湛え、怖いぐらいに深い藍色をした水平線の上に、無数の星が瞬く。夜空の空気は澄み渡り、都会では見えないような暗い星まで明瞭に見える。だが、星々の配置は我々が見慣れた空とは趣を異にしている。星座の所々が欠けているのだ。だが、その話は今の彼女には関係ないので割愛しよう。1

2015-07-27 18:56:29
真木ハルコ @homarine

(気持ちのいい風……)夜の砂浜に独り佇む少女は、冷たい夜の海風が乱した前髪をかき上げ、整えた。その髪は夜の闇の中にあってなお、星の光を映して桜色の光を放っているようだった。その名も一十(にのまえ・くろす)。一族中の魔人率が99%を超える戦闘破壊家族、一家(にのまえけ)の一員。2

2015-07-27 19:32:56
真木ハルコ @homarine

妃芽薗学園高等部三年に在籍する十は、海の幸が贅沢に使われた夕食を食べた後、宿泊先の『メロウズホテル』を抜け出して浜辺にやって来た。十は、ことさらに孤独を好むような人物ではない。だが、彼女のことを慕ってやって来る友人たち(友人たちです!)を遠ざけて考え事をしたい時もある。3

2015-07-27 19:39:00
真木ハルコ @homarine

十は、何故だか同性に好かれやすい。その理由は百合粒子の存在を仮定すれば説明できることだが、今の人類の科学力は百合粒子の確実な観測に成功してはいない。しかし、十は百合ではない。百合ではないのだ。大事なことなので何度も言うが、百合ではないのである。4

2015-07-27 19:43:58
真木ハルコ @homarine

まあ、十が百合かどうかについても今日の話にとってはあまり本質的でないのでこれぐらいにして、彼女の今の悩みは今日受け取った手紙のことである。差出人不明の手紙。すわ恋文か。残念、そうではなかった。手紙の内容は、不可解で不吉なものだった。それはまるで…… 5

2015-07-27 19:47:19
真木ハルコ @homarine

過去の(普通の意味で過去と言っていいものか疑問だが、ともかく過去の)辛い出来事を思い起こしそうになった十だが、夜の砂浜を踏み締めながら近付いてくる足音を耳にして思索を中断した。(あの子は確か……)大きな眼鏡。普段はくるくると跳ねている髪の毛は、風呂上がりのため幾分か大人しい。6

2015-07-27 19:51:11
真木ハルコ @homarine

「こんばんは、生徒会の一十さん。番長グループの矢達メアです」今は雨竜院愛雨(うりゅういん・めう)と名乗ることの多いウルメだが、今宵は敢えて昔使っていた名前を名乗った。「生徒会って、私はそんなに生徒会に関わっているわけじゃ……」十は、そう言いかけたところで気付いた。7

2015-07-27 19:56:00
真木ハルコ @homarine

「メアさん、もしかしてあなたも『あの』ハルマゲドンを知ってるの?」「やっぱり!」ウルメは瞳をキラキラと輝かせた。「十さんも『転校生』なんですね!」そう。彼女達は魔人を超えた魔人でありまさに魔人そのものの『転校生』なのである。わかりやすく言えばエクス魔人だ(それは違う)。8

2015-07-27 20:00:44
真木ハルコ @homarine

『転校生』と言ってもその実態は様々である。多くの場合、通常の魔人よりも遥かに強大な力を持っているが、そうでない場合もある。一十と雨竜院愛雨は、今の能力ならば普通の魔人と大差なく、むしろやや弱い方かもしれない。だが、彼女達は紛れもなく『転校生』なのである。9

2015-07-27 20:11:13
真木ハルコ @homarine

彼女たちは、久我原史香がリブートをかける前、『一周目』の記憶を持っている。その意味では正しく異世界からの『転校生』である。「敵陣営だったから全然お話できませんでしたが、私、十さんのことを素敵だなって思ってたんですよ」百合粒子に当てられたのか、ウルメは頬を染めながらそう言った。10

2015-07-27 20:15:57
真木ハルコ @homarine

「貴女は、あの頃と比べるとずいぶん変わったように見えます」十は、ウルメのことをそう評した。『一周目』の矢達メアは、厭世的でいつも暗い表情をしていた。「今の方が、ずっと素敵」十は華やかに笑った。「えへへ、ありがとうございます」ウルメは嬉しくて、瞳を潤ませた。波の音が静かに響く。11

2015-07-27 20:20:11
真木ハルコ @homarine

【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】#1 おわり

2015-07-27 20:20:49
真木ハルコ @homarine

@krsr_dng ギャアアーッ! ヤッター! ありがとうございます!! ひゃー、気が強そうな瞳すごくカワイイ! やったぜ……流血少女大勝利だ……!

2015-07-27 23:10:34
真木ハルコ @homarine

【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】#2

2015-07-28 08:02:46
真木ハルコ @homarine

暗く静かな夜の砂浜に、穏やかな波が寄せては返し、返しては寄せる。膝を崩して座っている十の隣に、ウルメも並んで腰をおろした。近い。距離がやたらと近い。十は軽く危機感を覚えた。「私、向こうでは死んじゃったんですよ。知ってますよね」「ええ」「世界が、こんなに綺麗なことも知らずに、ね」1

2015-07-28 08:10:33
真木ハルコ @homarine

ウルメは水平線と、煌めく星を見て瞳に涙を滲ませた。十も、星を見た。今夜の星空はひときわ綺麗だ。十は、星座の中の欠けた星に、『あの』ハルマゲドンに散った妃芽薗の愛すべき仲間たちのことを想った。十の心に隙ができたのを、ウルメは見逃さなかった。2

2015-07-28 08:15:11
真木ハルコ @homarine

ウルメは素早く十に組み付いて唇を奪う。そしてそのまま砂の上に押し倒す。十の唇に伝わる柔らかな感触。眼鏡の奥のウルメの瞳は閉じられ、真意は掴めない。十の視線の先には満天の星空。ウルメの口付けは、不馴れで拙いものだった。(ちょ……積極的すぎ!)十の反撃が始まる! 3

2015-07-28 08:22:26
真木ハルコ @homarine

相手は手練れではない。コンマ5秒でウルメの技量を測りきった十は、余裕を持ってウルメの唇を楽しんだ。「ん……」次第にウルメの吐息に甘い響きが混じりだす。ウルメが眼を細く開くと、満天の星空。十と目が合ってしまい慌てて眼を閉じる。いつの間にか体勢が入れ替わっている! 4

2015-07-28 08:28:13
真木ハルコ @homarine

「ん……、う……」最早、ウルメは十の為すがままだった。十の唇が動く度、ウルメの躯がびくりと固くなる。それが女性同士のものであるならば……十は宇宙一キスが巧い! 念のため。一十は百合ではないので宜しくお願いします。十はウルメの控え目な胸に手を伸ばした。お願いしますよ! 5

2015-07-28 08:35:36
真木ハルコ @homarine

(どういうつもりか知らないけど……貴女の心、見せてもらうよ!)ウルメの胸に当てられた十の手が、何かを掴んだ。百合粒子が収束して実体化してゆく。伝説のアーサー王がそうしたように、十はウルメの胸からひと振りの剣を引き抜いた。その剣は真っ直ぐで瑞々しく、どこか危うさを秘めていた。6

2015-07-28 08:45:33
真木ハルコ @homarine

十は輝く剣を手にして身を起こした。「なるほど……私に特別な想いがあるってわけじゃなくて好奇心なんですね」ウルメは超絶のキスから解放され、肩で息をしながら答えた。「へへ……宇宙一スゴいって聞いたから試してみたくて……」ウルメは、武傘を支えにして立ち上がった。「では、戦いましょう」7

2015-07-28 08:51:34