１９４５年８月１４日、二度目の御聖断、下る

芙蓉録 @Fuyo1945

1945年8月13日08:30 最高戦争指導会議始まる。阿南陸相、梅津参謀総長、豊田軍令部総長は連合国側回答の第二項及び第四項は修正する必要があると訴え、鈴木総理、海軍大臣、東郷外相は前回の御前会議決定を覆すのは不都合だと反論する　#芙蓉録

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1945年8月13日09:00 最高戦争指導会議にて村瀬内閣法制局長官がバーンズ回答は「国体に抵触するものではない」とする外務省の解釈を支持　#芙蓉録

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1945年8月13日10:00 陸海軍両総長に宮中よりお召がかかり会議は一時中断する 昭和天皇「連合国から正式回答があって外交交渉に入っている間は、作戦を手控えた方がよかろう」 梅津参謀総長「主導的な作戦は差し控えております」　#芙蓉録

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1945年8月13日10:30 最高戦争指導会議が再開する。阿南陸相及び梅津参謀総長は自主的武装解除と非占領を主張、豊田軍令部総長は天皇の権威が従属するか否かについて再照会することを主張する　#芙蓉録

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1945年8月13日14:00 東郷外相、天皇に拝謁。最高戦争指導会議が混迷に陥っている事を報告すると共に、天皇より外相案を支持する確約を得る 昭和天皇「外相の主張通りでよい。総理にもその旨を伝えよ」 　#芙蓉録

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1945年8月13日14:55 “大本営午後四時発表、皇軍は新たに勅命を拝し、米英支ソ四か国軍隊に対し、作戦を開始せり”との報道文書が朝日新聞の柴田記者によって迫水書記官の元に届けられる 　#芙蓉録

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迫水書記官長「大本営がいまごろこんな発表をするはずはないじゃないか」 柴田記者「おかしいですね。すでに新聞社や放送局に配られ、ラジオでは午後四時に放送することになっています」 　#芙蓉録

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迫水書記官長「大臣、あなたはこの大本営発表をご存じですか？」 阿南陸相「いや、全然知らない。大本営からの発表は参謀本部所管だから念のため聞いてみたらどうだろう」 　#芙蓉録

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1945年8月13日15:30 池田綜合計画局長官の調査で、先の大本営発表文書は梅津参謀総長も全く知らないと発覚。梅津参謀総長は大本営報道部の独断行動と判断し、報道取り消しを行う 　#芙蓉録

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1945年8月13日16:00 対四国回答閣議始まる 外務大臣「統治権に制限を附したることを意味する故、統治権は天皇に在る事を示すものである。日本の国体の内容の問題は内政問題なる故、日本国民が決定すべきなりとの意と解釈される」 　#芙蓉録

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外務大臣「米が英の支持の下に国内及び重慶並びにソ連の反対的意見を取りまとめたるものなり。依て再交渉すれば敵側の反対論の意見に依りて交渉は断絶す。戦争を覚悟せざるべからず。日本国土焦土化に皇室の護持も出来ず。民族も破滅に陥る」 　#芙蓉録

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司法大臣「皇室の問題を国民の意思により決めると言うことは、臣民の感情として相容れないから承服しがたい。国体の本義の上より受諾することができない。戦争継続を覚悟する外なしと考える」 　#芙蓉録

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外務大臣「八月九日最高戦争指導会議に於て御聖断の際“戦争継続ノ見込ミハナイ、堪ヘ難キヲ堪ヘ宣言ヲ受諾スル”旨の御詞であります」 司法大臣「お思召とあれば是非はありませぬ。御聖断には背きませぬ」 　#芙蓉録

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内務大臣「指導会議云々と度々援用されるが、憲法上の会議にあらず、要は政府の責任であり政府が輔弼の責を果たさねば困る」 外務大臣「聖断となりし事実を申したので、閣員は各自信ずる所により、輔弼の責任上意見を述べるべきである」 　#芙蓉録

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大蔵大臣「受諾の外に道がない。戦争の継続につき考うるに重要生産力は本年四月五月頃より、本年末を予想しても、昭和元年程度に下がり、今後の悪化は何層倍となるや計られない」 農商大臣「国力判断より見て受諾の外なし」 運輸大臣「我が国力及び内外の情勢より見て受諾の外なし」 　#芙蓉録

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陸軍大臣「武装解除と保障占領に交渉の余地なしといわれるが、余地あると存ず。断乎進んで要求すべきである。武装解除となり平和必ずしも来らず」 海軍大臣「遺憾なれど受諾に賛成するの外ないと思う」 　#芙蓉録

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総理大臣「国体護持の上から危険を感じているが、さればとて今どこまでも戦争を継続するかといえば、畏れ多いが大御心はこの際和平停戦せよとの事である。もしこのまま戦えば背水の陣を張っても原子爆弾のできた今日、あまりにも手遅れである。それでは国体護持は絶対にできませぬ」 　#芙蓉録

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総理大臣「かかる危険をも御承知にて聖断を下されるからは、我等はその下に御奉公する外に道なしと信ずる。従って私はこの意味に於て本日の閣議の有りのままを申し上げ重ねて御聖断を仰ぎ奉る所存であります」 　#芙蓉録

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陸軍大臣「武装解除を自主的にさしてくれることが事実、平和を速かにする道である。保障占領も当方は丸裸になった、そちらには船もあり飛行機あり、仮令我等が約束に反しても彼は我を好いたように勝手に出来るはずである。先方は少数の実行監督員にて足りる」 　#芙蓉録

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外務大臣「更に戦う決意なき以上は、機会あるごとに我が意見は必ず申し入れることにしたい」 陸軍大臣「此回答に付け加えたい」 海軍大臣「前回二つの案の中、只今の意見は第二の分であって既に聖断ずみである。既に却下されしことを論議するは適当ならずと考える」 　#芙蓉録

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1945年8月13日17:00 B-29により日米両政府の交渉経緯について書かれた伝単が東京上空で撒かれる 　#芙蓉録

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【日本の皆様】 “私共は本日皆様に爆弾を投下するために来たのではありません。” “お国の政府が申し込んだ降伏条件を、アメリカ、イギリス、支那並びにソビエット連邦を代表してアメリカ政府が送りました回答を皆様にお知らせするために、このビラを投下します。” 　#芙蓉録

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“戦争を直ちにやめるか否かは、かかってお国の政府にあります。” “皆様は次の二通の公式通告をお読みになれば、どうすれば戦争をやめる事が出来るかがお判りになります。” （日本政府回答“三国宣言受諾ニ関スル件”　連合国側回答文“バーンズ回答全文”） 　#芙蓉録

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1945年8月13日18:30 閣議は交渉継続派と即時受諾派の議論が平行線のまま進み、有効な結論が出ず散会となる　#芙蓉録