「ユーレイ・ダンシング・オン・コンクリート・ハカバ」#3・再放送2回目Ver(実況なし)

ツイッター連載小説"ニンジャスレイヤー 第1部 「ネオサイタマ炎上/Neo-Saitama in Flames」"より @njslyrによる再放送「ユーレイ・ダンシング・オン・コンクリート・ハカバ」2回目#3のまとめ(実況なし) 公式Twitterアカウント"NINJASLAYER/@njslyr" https://twitter.com/NJSLYR 公式Twitter再放送アカウント"NJSLYR SAYHOSO/@njslyr_r"(今後の使用はなさそう) 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ノープロブレッモ!」スコルピオンは両手にナイフを持ち直して床下から飛び出すと、サソリの構えでニンジャスレイヤーに迫った。サソリ・ファイティング・スタイルは無敵だ。カラテだろうがニンジャだろうが、オレのナイフで滅茶苦茶にしてやる。スコルピオンには、慢心にも似た自信があった。 47

2015-09-10 16:27:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはテーブルの上に片膝を付き、バズーカを撃つような姿勢を取る。それから両腕を素早く回転させ、ピッチングマシーンのようにスリケンを高速連射した。スコルピオンの弱点が飛び道具であると、一瞬にして見抜いたのだ。「イヤーッ!」 48

2015-09-10 16:31:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」スコルピオンの両目にスリケンが突き刺さり、壊れたトマトジュース・ディスペンサーのように血が飛び散った。スコルピオンはメキシコ語で罵詈雑言を吐きながら、闇雲にナイフを振り回す。ユーレイ・ゴスたちが十人ほど巻き添えを喰って血祭りに上げられた。 49

2015-09-10 16:34:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは高く飛び上がり、空中でしなやかに身をひねって上下を入れ替える。頭が下に、脚が上に。それからジンジャ・カテドラルの天井を蹴って、自由落下速度にニンジャの脚力を加え、恐るべきスピードでスコルピオンめがけ急降下した。 50

2015-09-10 16:40:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

死のドリルがスコルピオンに直撃する。「グワーッ!」スコルピオンは腹に巨大な穴を穿たれ、その場に呆然と立ち尽くす。 ニンジャスレイヤーはスコルピオンの腹を正面から突き破り、相手の背後に着地していた。床のヒノキ材は真っ黒に焦げ、その周囲にはスコルピオンの臓物が散らばっている。 51

2015-09-10 16:44:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ようやく、キモンを覆っていた煙が晴れ始める。乱れていた音響システムが復旧を開始し、VJカンヌシの声とともにサイバービートがジンジャに戻ってきた。大燭台の落下からここまで、わずか十数秒の出来事だったのだ。ニンジャスレイヤーは、その場に立ち尽くすスコルピオンの傍へと歩いてゆく。 52

2015-09-10 16:47:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「貴様はソウカイヤのニンジャだな。オムラ・インダストリに雇われた、そうだろう?そしてオムラ社は、ヨロシサン製薬と組み、ここで違法麻薬を売買している。さあ、洗いざらい喋るがいい。さすればカイシャクしてやる」鋼鉄メンポを通して、ユーレイですら恐怖に慄くほどの無慈悲な声が漏れた。 53

2015-09-10 16:55:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だがスコルピオンは笑った「オレはな、看守を三十人叩っ殺し、メキシコ重犯罪刑務所を脱走したんだ。そして殺人マグロの海を泳ぎきって密入国し、スラムでラオモト=サンに拾われ、ここまで上り詰めた。ラオモト=サンのためにも、お前には何も答えてやらねえよ。それに、お前はここで死ぬんだ」 54

2015-09-10 17:04:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アディオス!」不意にスコルピオンの体が爆発し、ジンジャ・カテドラルのホールを真昼のように照らした。異常を察したニンジャスレイヤーは、スコルピオンの体が破裂する1秒前に、素早く5回バク転を決めて爆発を逃れていた。不運なユーレイ・ゴスたちが、数十人ほど巻き添えを喰ったようだ。 55

2015-09-10 17:08:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スコルピオンが放った最期のカトン・ジツは、ヒノキ材で作られたジンジャ・カテドラルをたちまち火の海に変えてゆく。数百名近いユーレイ・ゴスたちは、太陽の光を浴びたユーレイのように慌てふためき、ホールの四方にあるショウジ戸を突き破りながら逃げていった。 56

2015-09-10 17:16:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

半裸のまま床に倒れたナンシー・リーの姿を認めると、ニンジャスレイヤーは風のように駆け寄り、彼女を抱え上げた。ニューロンに損傷を負ったのか?爆風の衝撃を受けたのか?それとも極度の恐怖で失神したのか?いずれにせよ、彼女にはまだ息がある。それだけが、フジキドにとっては救いだった。 57

2015-09-10 17:31:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

外からは、数十台のパトカーのサイレン音が聞こえる。ネオサイタマ市警に、ナンシー・リーを渡すわけにはいかない。ニンジャスレイヤーは彼女をかき抱えたまま高く跳躍し、ステンドグラスを割ってジンジャ・カテドラルを脱出すると、そのまま重金属酸性雨に紛れて夜の闇へと消えた。 58

2015-09-10 17:31:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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2015-09-10 17:33:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

三十分後。オムラ・インダストリ製のフラッシュアウト・ボムによって全酸素を失い、強制鎮火させられた「ヤバイ・オオキイ」のホール内へと、ネオサイタマ市警のマッポが調査のために乗り込んでくる。逃げ遅れた数十人のユーレイ・ゴスとVJカンヌシが、イワシの群れの如く重なって死んでいた。 60

2015-09-10 17:37:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

先程までのテクノビートが嘘のように、ジンジャ・カテドラルは厳粛な静けさを取り戻していた。天井は一部が焼け落ち、重金属酸性雨が淋しげにシトシトと降り注いでくる。濁った目を持つネオサイタマ市警のマッポたちが、死体の数を指差確認して数え、その声だけが静かに反響している。 61

2015-09-10 17:40:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

モンの一角はバイオハザード・テープとコケシ・ポールで囲われ、ネオサイタマ・シティコップのマッポですら進入できない状態になっている。そこでは、明らかに異質な白衣姿の三人組が、ピンセットやシャーレを用いて実に興味深いサンプルの収集にあたっていた。 62

2015-09-10 17:59:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼らの白衣の右肩には、ヨロシ・サン製薬から派遣されていることを示す黄色と黒の腕章が。そしてその胸元には、ソウカイヤのエージェントであることを示す……そしてソウカイヤの構成員だけしか知らない……交差する二本の刀と「キリステ」の文字を象った小さな金属製のバッジがあった。 63

2015-09-10 17:59:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼らのリーダーと思しき長身痩躯の男は、胸に「いつもお世話になっております」「リー・アラキ先生」と書かれた、灰色のネームカードを吊るしていた。リー先生は焼け焦げたスコルピオンのものと思しき肉片を、何個かピンセットでつまんで培養シャーレに乗せ、何個かを自分の舌の上に乗せた。 64

2015-09-10 18:03:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スコルピオン君は、いい被検体だったのだがネェ……」リー先生は、一切の感情のこもらない甲高い声で言った。「感謝したいネェ……。メキシコ人に対しても、ニンジャ・ソウルのアンセレクテッド・レザレクションは起こりうることを、彼は自らの肉体で証明してくれたのだからネェ……」 65

2015-09-10 18:09:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ああン、まったくですわ、リー先生」オレンジ色のボブカットに黒ブチのセルメガネをかけた女助手が、豊満な胸をリー先生の腕にさりげなく押し付けながら、手に持つ小型携帯扇風機を先生の手元に向けた。シャーレへの雑菌の混入と、それによるニンジャ・コンタミネーションを防いでいるのだ。 66

2015-09-10 18:11:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フブキ・ナハタ君、シャーレはもういい。サンプルの回収は終わったよ」「あらそうですか」ナハタと呼ばれた女助手は、再びさりげなく両胸をリー先生の背中に押し当てた。「先生、あちらのテーブルの上にある焼死体は、どうしましょう?」 67

2015-09-10 18:13:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ただの死体だろう? 私の時間を無駄に浪費させないでくれよ、フブキ・ナハタ君。私はニンジャ以外に何の興味も無いネェ……」リー先生はハンカチで鼻をかみながら言った。「あんなマケグミども、何千人集まろうと、1つのニンジャソウルの価値も持たないのだ……ン? ンン?!」 68

2015-09-10 18:18:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その時だ。おお、ナムアミダブツ! 何たる恐ろしい光景か! どう見ても完全な焼死体と思われていた、キモン・テーブルの上の死体が、突如立ち上がり、地獄の底から聞こえてくるような、怨念に満ちた禍々しい声で咆哮したのだ! 「ノロイ」と! 69

2015-09-10 18:21:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

白衣姿の三人組は、恐怖に凍りついた。ホール内のマッポたちも、その場で金縛りになった。……だが、立ち上がった真黒の焼死体は前のめりに倒れ、テーブルから落ちて呆気なくバラバラに砕け散ったのである。 70

2015-09-10 18:23:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

恐怖を科学的好奇心で克服したリー先生が、ゆっくりと這い寄ってその死体をくまなく調査するが、心音、体温、その他あらゆる生物学的条件に照らし合わせても、数秒前まで生きていたとは考えられない状況だった。では何故? 71

2015-09-10 18:30:22