野口建彦『K・ポラニー 市場自由主義の根源的批判者』2011 の読書メモ
p.2 "博識で傑出した国際経済学者C.キンドルバーガーは・・・K.ポラニー『大転換』の書評を担当し、次のように述べている。「書物の中には、どうしても消え去ろうとしないもの(books which refuse to go away)がある」"
2015-08-31 22:27:03p.2~p.3 『大転換』を高く評価している代表的な識者。(1)1957年のペーパーバック版に格調高い序文を寄せた社会学の権威R.マッキーヴァー(2)ポラニーの古くからの友人で文明論的な経営学の泰斗P.ドラッカー(3)歴史・経済史の大御所E.J.ホプキンス
2015-08-31 22:31:11(4)ロングセラー『入門 経済思想史』の著者で著名な経済思想史家R.L.ハイルブロナー(5)経済史家で1977年にノーベル経済学賞を受賞したD.C.ノース(6)フランスのレギュラシオン学派のリーダーR.ボワイエ(7)卓越した国際金融史の研究者M.フランドリュー
2015-08-31 22:34:03(8)精力的なスウェーデンの経済社会学者R.スヴェイドベリ(9)現在もっとも活動的で影響力を有する経済理論家で2001年ノーベル経済学賞受賞者のJ.スティグリッツ(10)LSEで政治哲学、ヨーロッパ思想史を専攻分野にするJ.グレイ
2015-08-31 22:37:24(11)イタリア生まれでアメリカ在住のメガ・エコノミック・ヒストリー研究者G.アリギ(12)現在ニューヨーク市立大学の名誉教授で経済地理学を専攻するD.ハーヴェイ
2015-08-31 22:38:41p.5 "日本で『大転換』の旧訳版が刊行されたのは1975年4月である。当時ポラニーの名は、日本の経済学研究者の間でまったくといっていいほど知られていなかった。・・・私たち訳者にしてからが、1971年まで、ポラニーの名前など聞いたことがなかった。"
2015-08-31 22:45:37"邦訳の初版3,000部が瞬く間に完売となり刊行後一年もしないうちに重版になったのは信じがたいことであった。それには、経済理論の「若きスター」になりつつあった西部邁氏、西洋経済史研究のリーダー角山栄氏、傑出したドイツ財政史の研究者大島義道氏などが"
2015-08-31 22:49:58p.7 "ちなみに、私たち訳者にポラニー『大転換』の存在を教え、輪読を勧めてくれたのはアメリカ留学から帰国して間もない公文俊平氏であった。"
2015-08-31 22:54:16"「君たちが宇野経済学に変わるパラダイムを模索しているなら、『大転換』から大きなヒントが得られるのではないか。アメリカの大学では若手研究者の間で大変評判に「なっている本だから。君たちに期待しているよ。」というのが、公文氏の『大転換』推薦の言葉であった。"
2015-08-31 22:55:38"私が『大転換』の輪読を始めてから、その邦訳が刊行されるまでの期間、1971-5年までに生じた世界の変化。「パックス・アメリカーナ」も行き詰まり、「世界の警察官」の立ち往生、ベトナム戦争敗北、石油危機、ローマ・クラブ報告書「成長の限界」、ニクソン声明(ドルと金の兌換停止)。"
2015-08-31 23:02:18p.12 "ブレトンウッズ体制が崩壊した1971年から1976年にかけての時期のアメリカは、オーストリアから亡命してきたF.ハイエクを師と仰いだフリードマン率いる「シカゴ学派」の説く市場自由主義経済学の復活の時期であり、"
2015-08-31 23:05:44でも、自己調整的市場理論を具体的な経済政策レベル、例えば貿易・投資の自由化や公共事業の民営化推進など具体的レベルに落とそうとすると、「小さな政府」を唱えながら逆に政府・国家の権限の強大化を招くに至った、と。これがサッチャー及びレーガンの「新自由主義」の実態。
2015-08-31 23:17:08p.15 "アフリカの後進性と従属性から研究をスタートしたウォーラスティンの「世界システム論」は、ポラニーのグローバルな市場自由主義批判と共通する要素が認められる。"
2015-08-31 23:22:00日本ではそーんな論争はなかった。だって1970年代は高度成長のまっ最中。1971.8.15のドル・金兌換停止を受けてヨーロッパ各国の為替市場が閉鎖されたのに対し、東京の為替市場は開かれたままであり、減価したドルが大量に売られるのを放置。日本の金融機関は売られ続けるドルを買い支え。
2015-08-31 23:26:42