【自衛隊カンボジア派遣】ジャングルに現れた「幻の邦人救出部隊」

自衛隊初の海外派遣となったカンボジアPKO。 政府と世論、そしてカンボジアの不安定な情勢に挟まれた現場には様々な苦労がありました。 今回は、そんなカンボジアPKOで秘密裏に編成されたとある特別編成チームについてまとめました。
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sakimori @sakimori8821

”PKO協力法では、憲法で禁じている武力の行使に発展しないよう自衛官の武器使用を規定した第ニ四条で「自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員もしくは隊員の生命又は身体を防衛するため、やむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、武器を使用することができる」と規定し、

2015-09-13 09:55:10
sakimori @sakimori8821

”さらに「武器の使用に際しては、刑法の『正当防衛』(第三六条)、『緊急避難』(第三七条)に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない」という手かせ足かせがはめられているのである。”

2015-09-13 09:55:33
sakimori @sakimori8821

”文字通り解釈すれば、<相手が攻撃してきて、それを防ぐ手段がほかにない、というときになって初めて、自分や同じ現場にいる同僚を守るために銃を撃つことが許される>のである。”

2015-09-13 09:55:52
sakimori @sakimori8821

”たとえ投票所にいる選挙監視員が襲撃され、攻撃を受けているからと言っても、自衛隊員が現場に駆けつけることもできなければ、援護射撃をしながら助け出すことも許されない。”

2015-09-13 09:56:44
sakimori @sakimori8821

”「実際の場面で、そんな悠長なことを言っていられるのか」 派遣部隊の幹部たちは深いジレンマに陥った。 救出活動はやらなければならない。けれども、武器の使用は事実上禁じられている…。”

2015-09-13 09:57:06
sakimori @sakimori8821

”・奇天烈な「軍事訓練」 そこで彼らはある決心をする。 さっそく、翌二十一日の晩から、その訓練は極秘裏に始められた。内容は、「軍事訓練」としてまさに前代未聞であった。”

2015-09-13 09:57:28
sakimori @sakimori8821

”それは、「正当防衛」の条件を満たすために、『わざわざ攻撃を受ける状況を作り出して当事者になってしまおう』という、ウルトラC級の奇天烈な作戦を実行するための訓練だったからだ。”

2015-09-13 09:57:58
sakimori @sakimori8821

”その想定によれば、選挙監視の日本人ボランティアが襲撃された場合、駆けつけた隊員たちは、一切発砲しないまま、襲撃する側とされる側の間に突入する。銃弾の飛び交う真っ只中に身を投じるのである。”

2015-09-13 10:01:50
sakimori @sakimori8821

”すると、自然と自分たちもゲリラに攻撃されている状況になる。つまり正当防衛が成立し、法的に「反撃が可能」になるという訳である。たとえ、それが選挙監視員を助ける結果になっても、それは「たまたまそこに彼らがいた」という偶然にしかすぎない、という筋書きだった。”

2015-09-13 10:03:54
sakimori @sakimori8821

”あえて自身が標的になり、盾になろうとする捨て身の戦法である。軍事行動としてこれほど無茶なこともあるまい。”

2015-09-13 10:06:24
sakimori @sakimori8821

”カンボジアPKOに参加していた各国の軍隊には、いずれも自国民の警護という任務が与えられていた。しかも、武力行使に関する制約などもなく、援護射撃しながら助け出そうが、背後から攻撃して相手を殲滅しようが自由だった。”

2015-09-13 10:06:53
sakimori @sakimori8821

”対象的にPKO協力法に縛られ「人間の盾」となることを余儀なくされた自衛隊の救出作戦。”

2015-09-13 10:11:51
sakimori @sakimori8821

”東南アジア特有の湿気と、うだるような暑さのなか、ヘルメットを被り、迷彩服の上から2枚の防弾チョッキを重ね着するという”完全武装”でその奇妙な訓練に加わった隊員の1人は「全くやりきれない思いだった」と語った。”

2015-09-13 10:12:17
sakimori @sakimori8821

”特別任務を帯びた「緊急医療支援チーム」は、以後、二十五日に総選挙が終わるまで、息を潜めて駐屯地内で待機し続けた。 緊迫の数日間が過ぎた後、派遣部隊の指揮官である大隊長の石下義夫二佐(当時)は、重要な判断について現場に下駄を預ける政府の姿勢に対して、次のように語ったという。”

2015-09-13 10:15:17
sakimori @sakimori8821

”「銃撃戦が終わった後で、我々は現場に残った空の薬莢を拾い集めなければいけないのだろうか?」と。”

2015-09-13 10:16:17
sakimori @sakimori8821

”自衛隊は訓練において、使った弾の数と拾った空薬莢の数が合わなければ、一致するまで演習場の中を探し回らなければならない。そうした国内の規則を、海外の事情もわからず当てはめようとするやり方への、見事なまでの皮肉である。”

2015-09-13 10:18:25
sakimori @sakimori8821

以前、誰かが「日本の自衛隊にはブラックジョークみたいなのはないの?」とツイートしてたけど、これなんか最高じゃないかな(暗黒微笑)

2015-09-13 10:19:26
sakimori @sakimori8821

”・改正自衛隊法の武器使用規定 邦人を助けるためにら自衛隊の艦船を使えることにした改正自衛隊法では、武器使用規定も「自己もしくは自己と共に当該輸送の職務に従事する隊員または当該邦人もしくは外国人の生命または身体の防護のため…」に改めた。”

2015-09-13 10:23:04
sakimori @sakimori8821

”場面は違うが、PKOに参加する自衛隊員の武器使用も「自己または自己と共に現場に所在する他の隊員もしくはその職務を行うに自己の管理下に入った者の生命または身体を防護するため…」と改正されている。”

2015-09-13 10:24:56
sakimori @sakimori8821

”「正当防衛」「緊急避難」といった警察官職務執行法に基づく足かせが取れ、いずれも「合理的に必要と判断される限度」での武器使用は認められるようになった。”

2015-09-13 10:29:21
sakimori @sakimori8821

”一歩前進と言えるだろうが、邦人保護にしてもPKOにしても、この国の法律には依然として欠落している課題がある。それは「警護」という任務だ。”

2015-09-13 10:29:37
sakimori @sakimori8821

”九九年三月の北朝鮮工作船事件のとき、工作船に爆弾を投下する海上自衛隊のP-3C哨戒機を警護する役割は誰にも与えられず、同僚機が「おとり」となって飛行した。○一年九月の米国同時多発テロとその後のアフガニスタン空爆以降、緊張が続くペルシャ湾などでも日本のタンカーを守るすべはない。”

2015-09-13 10:32:37
sakimori @sakimori8821

”もちろん、海外における自衛隊の武器使用は抑制的であるべきだか、武器を使用することを、ある意味で前提としなければならない「警護」任務と正面から向き合わない限り、いつまで経っても現場に下駄を預ける政府の姿勢は変わらないだろう。”

2015-09-13 10:35:25
sakimori @sakimori8821

”「邦人救出」を「邦人輸送」と言い換えることに頭を使うのではなく、もっとやるべきことがあるはずなのだが。” ((終))

2015-09-13 10:36:34
sakimori @sakimori8821

以上は2003年3月10日 宝島社文庫 発行「新版・今こそ知りたい!自衛隊の実力」PART4の第3節、仁田貴起『そのとき、自衛隊員は撃たれる覚悟だった!!カンボジアPKO、幻の「邦人救出作戦」』より出典でした pic.twitter.com/UmPohwzHwV

2015-09-13 10:46:58
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