『進撃の巨人』は「特撮で勝って映画で負けた」と言わざるを得ない
- ryomichico
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本日はこれから「ちょっと田んぼの水路の状態を見てくる」的な感じで映画「進撃の巨人 後編」を見てきます。ちなみに前編については先週「屋根の雨漏りを直してくる」的に見に行きましたが、すでに屋根は存在していませんでした。
2015-09-24 18:41:51さて、深夜になったけど「進撃の巨人」前後編の感想。帰宅後に録画しておいたNHK-BSプレミアム「日本特撮ルネサンス~映画「進撃の巨人」の舞台裏~」を見ると樋口真嗣監督が自分のアイデンティティを今も『特撮監督』に置いているのがわかります pic.twitter.com/4Iq7UbLeAl
2015-09-25 01:20:12映画評として袋叩き状態の『進撃の巨人』だけど、樋口真嗣監督から見えている映画と、僕ら一般の観客から見えている映画はまったく別のものなんだと思う。たぶん彼にとっては「特撮のために映画がある」のであって「映画のために特撮がある」のではない pic.twitter.com/F49DoecLuK
2015-09-25 01:24:12今日のNHK特番でも語られたけど、圧倒的な資本力を持つハリウッドのCGに対して、低予算の日本映画が円谷時代からの伝統を持つ特撮技術で対抗した、というのが実写版『進撃の巨人』のスタッフの自負で、ここを共有するかしないかで評価は全く別れる pic.twitter.com/hsesZjMKuI
2015-09-25 01:29:07たぶん樋口監督にとっての『進撃の巨人』は、あの巨大なハリウッドのテクノロジーに対して知恵と工夫と過去の伝統で対抗した日本特撮の金字塔であって、なぜ人間描写がどうの原作がどうのと言ったくだらないことが問題にされるのか理解できないと思う。 pic.twitter.com/Wj10CoeYva
2015-09-25 01:34:25でも当たり前だけど、一般の観客がお金を払うのは「特撮」ではなく映画に対してだ。進撃の巨人は「特撮で勝って映画で負けた」と言わざるを得ない内容だけど、樋口真嗣監督はおそらく「特撮で勝ったんならそれでいいだろ」と思っているのではないかな。 pic.twitter.com/J7QJq5zGz8
2015-09-25 01:42:02念を押しておきたいのは「CGでなく特撮を使ったから映画で負けた」のではないということ。進撃の巨人において「特撮で勝ち、なお映画でも勝つ」可能性はいくらでもあった。往年の円谷作品がそうだったように。単に映画の勝利を放棄しただけだと思う。 pic.twitter.com/IFTqfBjwB2
2015-09-25 01:48:05映画を商品と考え、「物語」をきちんと構築できる人を一人かませることのできるプロデューサーがいれば、「特撮」ももっと生かすことができたのでないか、マニアならずとも絶賛する人が増えたのではないかと思います。 >@C4Dbeginner 「進撃の巨人」
2015-09-25 01:49:18今日の特番でも、それから僕が過去に見てきた樋口真嗣氏の発言でも、彼がどれほど特撮を心から愛し、そしてCGの勃興というほとんど人類史レベルの変革によって特撮が駆逐されていく歴史の中で心を削られてきたかよく分かる。でもだからこそ、特撮だけでなく映画で勝たなくてはいけなかったのだと思う
2015-09-25 01:51:38彼が本当に特撮を愛するのなら、社会に生きる一般の観客に特撮を愛してもらえるような映画を撮るべきだった。シングルマザーは男と金に困っていて自分から覆い被さってくるなんていう馬鹿なシーンをリアリズムのつもりで前編に入れるべきではなかった。 pic.twitter.com/NqsE8KtI7l
2015-09-25 01:58:35シングルマザーの扱いに限らず、海外で評価を受けるほどのアクション能力を持つ武田梨奈という女優に何の見せ場も与えないまま「リア充爆発しろをマジでやってみました」的なくだらない爆発シーンのためにあっさりと死なせるべきではなかった。 pic.twitter.com/r3GcjfdJdq
2015-09-25 02:05:42当たり前だけど「自分の臆病さと未熟さのせいで死なせたと思っていた女性が他の男の恋人として生きていた」と知った時の人間のリアクションって「うぉ~!(絶望)」じゃないだろ普通。そういう人間がいないとは言わないけど、それ主人公じゃないだろ。 pic.twitter.com/TuwZ9l30R6
2015-09-25 02:16:14実写版進撃の巨人の評価がここまで悪くなってしまったのは、観客の大半を占める原作ファンの失望が大きいと思う。ぶっちゃけ原作読んでない人の方が「まあそういうものか」と見られる。単に原作に忠実でないという問題でなく(原作者もそれは求めていない)作品のベクトルが正反対を向いている。
2015-09-25 02:25:22原作の漫画を象徴するのは2巻のエレンがミカサを助ける児童期のシーンで『進撃の巨人』のテーマはあの「大人の暴力に殺されかけた子供が大人を殺し、閉ざされた場所から逃げて生き延びる」というシーンに尽きていると思う。巨人というのは要するに大人のことで、これは壁という箱庭療法の物語だと思う
2015-09-25 02:33:36進撃の巨人という作品の核にあるのはこの「傷つけられた子供から見た世界の感覚」で、それがこの作品が月刊少年誌の連載から始まって誰も予想しないほどの支持を同世代の少年少女から得た理由だと思う。作者は男性で格闘技ファンであるとのことだけど、その痛みの感覚の描き方はある種の少女漫画に近い
2015-09-25 02:44:45ミカサを演じた水原希子の憂いと怒りを帯びた表情は本来ならそういう痛みを表現するのに凄く向いていたはずなんだけど、残念ながら映画そのものがそういう心理描写に対して熱意を持っておらず、エレンがミカサを虐待から救い出すシーンも存在しなかった。別にそれは特撮の問題ではなく、単に映画の問題
2015-09-25 02:52:57おそらくはウルトラセブンにおける脚本家・金城哲夫の役割を期待されたのが町山智浩氏であったのだろうと思うけど、後編の「管理思想(クバル)と無政府主義(シキシマ)の両極を退け、若者が不安定な日常を守るために中道を選ぶ」というプロット自体は今日的で普遍的な王道だと思う。
2015-09-25 03:04:05惜しむらくは樋口真嗣監督がそのプロットの表現や描写に特に熱意を持っていないために(映画を見る限り監督の熱意のすべては特撮シーンに捧げられており、それ以外はもうはっきりと画面から「このへんどうでもいいから早く台詞で説明して」という意志が伝わってくる)映画的に描写されないだけである。
2015-09-25 03:09:49長くなったけど、僕はやはり樋口真嗣氏は日本特撮という文化のバトンを受け継いだ希有な才能だと思うし、ハリウッドの圧倒的なCG技術に対抗する特撮というアナログ技術を日本の映画界が持っていることは多様性という大きな武器だと思う。だからこそそれを映画に敵対させない『総監督』の存在が不可欠
2015-09-25 03:19:08@bogyu 今日のNHK特番で樋口真嗣監督が言っていたんですけど、原作の諫山創氏からは「巨人は恐い感じではなく、『嫌な感じ』にしてほしい」という要望があったとのこと。なぜ巨人は裸なのか、なぜ見る者に恐怖感ではなく嫌悪感を感じさせるのか、など色々と考えてしまいました。
2015-09-25 03:21:24@C4Dbeginner 巨人が大人のことだとすると、彼らが殆ど知性を持たずただフィジカルな力のみで人間つまり子供を圧倒していることは、大人として暗澹たる気持ちがしないでもありません。
2015-09-25 03:18:57@C4Dbeginner なるほど、人は自分より先に生まれた人々が作った制度・文化・法律という鉄の檻の中で生まれますが、進撃の巨人のあの息の詰まる「壁の中」は、それを象徴しているのかもしれませんね。
2015-09-25 03:26:23