- miyumiyu_12412
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オリオン大星雲について (1) クラインマン・ロー星雲 (KL 星雲) はオリオン大星雲 M42 の中心付近にある有名な赤外線星雲で、私たちから 1500 光年の距離にある。
2015-09-30 20:10:01(2)中心には IRc2 と名付けられた「赤外線天体」があるが、この IRc2 が太陽の約 30 倍の質量を持つ原始星であり KL 星雲のエネルギーを担っていると考えられてきた。
2015-09-30 20:12:09(3) 電波観測の結果は、IRc2 ではなく電波源 I こそが真の原始星であることを示していたが、赤外線でそのことを証明できるデータはこれまでなかった。
2015-09-30 20:16:10(4) なぜなら、赤外線で明るく光っているのはあくまでも IRc2 であり、電波源 I の場所には、どんな波長の赤外線でもそれに対応する天体が見えていなかったからだ。
2015-09-30 20:17:09(5) 今回研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された中間赤外線撮像分光装置 COMICS により、中間赤外線の複数の波長で KL 星雲の詳細な画像を取得した 。その結果、研究チームの撮影した中間赤外線画像についても、個々の波長の画像では電波源 I に対応する天体は検出できなかった
2015-09-30 20:18:41(6)異なる波長で撮影した画像どうしを組み合わせて KL 星雲内部の温度分布を調べたところ、IRc2 の位置には温度のピークがなく、一方で電波源 I の位置にピークがあることを発見しました。温度がもっとも高い場所、すなわち電波源 I の位置に原始星があることがこうして確認された。
2015-09-30 20:20:05(8) それでは「赤外線天体」として知られていた IRc2 の正体はいったい何なのか。この謎を解くために研究チームは、 KL 星雲の減光量の分布を調べた 。減光量とは光 (赤外線) を出しているもの「光源」と私たち との間に、光 を遮るような星間物質 がどれだけあるかを示す量だ。
2015-09-30 20:22:28(9)減光量が小さければ私たちは奥まで見通すことが出来ますが、減光量の大きい場所は霧がかかったときのように奥まで見通すことが難しくなります。
2015-09-30 20:22:52(10) 研究チームは、すばる望遠鏡での中間赤外線観測で得られた減光量分布から、IRc2 付近では減光量の最も大きい場所が近〜中間赤外線で最も明るい場所に一致することを突き止めた。
2015-09-30 20:24:03(11)IRc2 の位置に光源となる星が仮にあったとしても私たちはそこから来る赤外線を見ることができないはずであることを意味する。つまりIRc2 として見えている赤外線はその内部にある星からの光ではなく、近くにある他の明るい光源からの光を星間物質が反射しているを見ていることになる
2015-09-30 20:26:34(13) 以上の結果から、研究チームは、 KL 星雲のエネルギー源となる原始星は IRc2 ではなく電波源 I にあること、 IRc2 は電波源 I にある原始星の光を散乱して近赤外線〜中間赤外線で光っていること、 という新たな知見を得ることに成功しました。
2015-09-30 20:27:30(14)KL 星雲をめぐっては、「フィンガー」構造と呼ばれる放射状の不思議な構造 (注) の起源や電波源 I にあると考えられる埋もれた原始星の生い立ちなど、まだまだ謎が多く残されていますが、今回の結果がこれらの謎を解明するためのヒントになるかもしれません。
2015-09-30 20:32:24