「ニンジャズ・デン」#1・再放送Ver(実況なし)
ドーモ。本日は、ニンジャスレイヤーについて説明をした後、「ニンジャズ・デン」の再放送連載を開始する進行となっております。なお、ニンジャズ・デンは、短編と言っても全体的にはそれなりに長さがあるので、日にちをわけて行います。それでは、ウォークスルーはじめましょう。
2015-11-27 20:50:54舞台となるネオサイタマは、日本に似ており、ネオン看板が多く、重金属酸性雨が降っています(体に悪い)。また、電子ネットワークや、サイバネ手術(人体の一部を機械に置き換える)が進んでいます。 pic.twitter.com/xSzW0MfDXo
2015-11-27 20:59:06ネオサイタマの闇社会を牛耳っているのが、ニンジャです。平安時代の邪悪な魂が人々の身体に入ると、ニンジャになります。ニンジャは装束を着ており、スリケン(手裏剣)を投げたり、カラテやジツ(術)で戦います。素手で銃火器相手と互角以上に戦えるのがニンジャであり、実際、手がつけられない。
2015-11-27 21:08:25ニンジャスレイヤーはかつて何の落ち度もない妻と子をニンジャに殺され、それがきっかけで、復讐の戦士となりました。自分の妻子にしたような事を平気でしているニンジャが幾らでもネオサイタマに跋扈している事を彼は知ったのです。彼自身もニンジャとなり、カラテを鍛え、戦いを始めたのだ……。
2015-11-27 21:18:22←彼の右目は何故こんな風だ?それは彼の中に入っている恐るべきニンジャソウル、「ナラク・ニンジャ」のせいです。四六時中こうではなく、極限のイクサにおいて、ナラク度が上がるとこんな風になる事があります。
2015-11-27 21:24:35ここまでで、だいぶ理解が進んだ。ネオサイタマを舞台に、ニンジャスレイヤーが、悪のニンジャを倒していく。そういう話が、「ニンジャスレイヤー」だ。
2015-11-27 21:25:34ニンジャスレイヤーはこれまでに数百のニンジャを殺害してきました。その過程で、悪のニンジャ組織「ソウカイヤ」を滅ぼし、キョート共和国の「ザイバツ・シャドーギルド」を滅ぼし、現在は新たな悪のニンジャ組織「アマクダリ・セクト」のニンジャを相手にしています。
2015-11-27 21:29:12だいたいこれくらい知っていれば、「ニンジャズ・デン」も問題なく読めると思います。舞台はネオサイタマをややはずれた郊外都市。何が待ち受けるのか。読んでいこう。
2015-11-27 21:32:25ガミオダ駅の駅前は、華やかなネオン輝くネオサイタマ中心部の装いとは大きく異なる。ロータリーを囲む飲食店群の明かりの奥に広がる闇はどんよりと底無しで、薄ら寒い。ピカピカ光る青い蛍光色「ぎょうざ」看板の店。そこに列を為す、汚れたブルゾンの人々。あるいはその横に座り込む酔漢。1
2015-11-27 21:37:22ここは丁度、ネオサイタマ市街区と郊外のボーダーラインに位置する町だ。リョウゴクやカスガ、センベイに出るには遠く、電車の本数も少ない。濁った夜の闇の先には、全くの等間隔で配置されたショッピングモールを中心にした効率的居住区がぽつりぽつりと配置されている。この町が、際だ。 2
2015-11-27 21:40:51この町は、外側の闇の侵攻に……等間隔ショッピングモールの安寧に対して、抗っているかのようでもある。だがその抵抗は弱々しく、自信がなさげだ。酔漢や失業者が埃っぽい路地をうろつき、偽造電子喫茶カードを配るプッシャーの声も小さく、犬は痩せている。日が落ちれば、闇と短絡犯罪の時間だ。 3
2015-11-27 21:44:10「ぎょうざ」食堂のノレンをかき分け、中からトレンチコートの男が現れた。並んでいた労務者達は彼に対して敵意に満ちた視線を投げる。彼らよりも先に店内にいた客達は、彼らの敵である。先の客が食事をしているから、彼らは外でこうして、飯にありつく事ができないまま、待たされる。余裕なき敵意。4
2015-11-27 21:47:52トレンチコートの男が、それらの敵意に取り合うことはない。彼はしめやかにロータリー沿いを歩き、コンクリート花壇の隣のベンチに腰を下ろす。そして、シワの寄った日刊コレワを開く。「これでお前たち生活ぜんぶおしまいの証拠」「政府がこんなことになる」。恐ろしい黒背景に黃文字。 5
2015-11-27 21:50:44ゴゴゴウ……滑るようにして、白いワゴン車がロータリーに入ってくる。白いワゴン車は、タクシー待ちをしている女性の前で停まった。年の頃カレッジ学生、やや酔った様子の彼女は、腕時計とワゴン車を交互に見た。ワゴン車のスライドドアが開き、爆音の歌謡音楽が外へ溢れ出る。彼女は目を見開く。6
2015-11-27 21:54:01「え?」「ドーモ」車内の闇から、屈強な体躯のタンクトップ男が、ぬう、と身を乗り出した。そして無造作に彼女の腕を掴むと、車内に引きずり込んだ。「アイエエエエエ!」ゲラゲラ笑う声と車内BGMが女の悲鳴をかき消した。「前後ワゴンにようこそ!」「アブナイゼ!」 7
2015-11-27 21:58:43「アイエエエ!アイエエエエ!」「早く車出しちゃえよ?」泣き叫ぶ女を押さえ込みながら、タンクトップ男が陽気に言った。運転席の男が振り返った。「ドア閉めろよ!」「何?」「ドア!閉めろって」「何?」ドンツクドンツクブブンブーン。歌謡ボディミュージックのケミカル爆音が会話を阻害する。 8
2015-11-27 22:02:36「閉め!」「何?」「閉め!閉め!」「ああドアね」「アイエエエ!」タンクトップ男はシートに女を投げ倒し、スライドドアに手をかけた。「……あン?」彼は力を込めた。ドアが閉まらない。「あン?」「ドア!閉めろって!」運転席の男が繰り返した。ドンツクドンツクブブンブーン。9
2015-11-27 22:04:55