「アフリカの天井」と呼ばれるエチオピアの世界遺産「シミエン国立公園」の存続の危機について。三浦英之記者の呟き (2015/8/22)
①今日はアフリカの読み物を少し。4千メートル級の山々が連なり、「アフリカの天井」と呼ばれるエチオピアの世界遺産「シミエン国立公園」が、周辺人口や家畜の増加で存続の危機にさらされている pic.twitter.com/dw7JEl5ORv
2015-08-22 21:55:10②公園の入り口にあたるデバーク村(標高約2600メートル)から四輪駆動車で約2時間半。標高約3600メートルのチェネック地区に到着すると、高低差数百メートルの断崖絶壁が足元に広がった。吹き上げてくる風に、思わず足がすくむ pic.twitter.com/DllJITb3C3
2015-08-22 21:56:52③崖の上の草原ではエチオピア周辺の高地だけに生息するゲラダヒヒが草をはんでいる。彼らは夜は絶壁のくぼ地で眠り、朝になると崖をよじ登って崖の上の草を食べる。ガイドは「彼らは大昔にここに逃れてきた。切り立った崖が外敵から彼らを守ってきた」 pic.twitter.com/fkRXNOpbj7
2015-08-22 21:58:57④そんな「楽園」が今、危機に直面している。原因は公園内の農牧地化だ。90年代前半まで続いたエリトリア独立戦争などの影響で公園の周辺地域に多くの人が流入し、公園内で草地に馬や羊を放牧したり、畑を作ったりするようになった pic.twitter.com/s6XdoIWxub
2015-08-22 22:02:38⑤公園内で暮らす人の数は70年代の推定約10倍。放牧などで公園内の森の約8割が失われた。地元ガイドは「現状が改善されなければ、あと数十年のうちに、貴重な自然が消えてしまうだろう」と警笛を鳴らす pic.twitter.com/DSTyNnbbT9
2015-08-22 22:04:42⑥一方で周辺住民たちは2千年以上前からこの地で放牧を営んできた。近くで羊の放牧をしている男性は「世界遺産だと言って土地の利用を制限し始めたのは、後から来た白人や都会の役人たちだ」と不満を漏らす pic.twitter.com/Y7pgu3zVad
2015-08-22 22:05:48⑦そこでエチオピア政府が今力を入れているのが観光業の育成だ。公園内で農牧する人たちを観光の仕事に誘導することで、自然破壊を少しでも食い止めようというのが狙いだ。 pic.twitter.com/i2SYQxBK6T
2015-08-22 22:08:07⑧近く村に寄ると女性たちが民家でコーヒーの準備をしていた。客人を迎える際に行われる「コーヒー・セレモニー」。長老が集落の歴史や文化について語るなか、日本の茶道のように鉄器を使って豆を煎り、抽出した濃厚なコーヒーを客人に振る舞っていく pic.twitter.com/tE35brsKm6
2015-08-22 22:11:15⑨国際社会も支援に動く。オーストリアは公園内にキャンプ場などを建設。2013年には観光客がは約1万6千人に増えた。地域への収益も10年の約2千万円に。確かに地元住民が観光業に魅力を感じやすい環境が生まれつつある pic.twitter.com/r7D78B3Fnl
2015-08-22 22:14:03⑩ただこれらの取り組みが成功するかどうかはわからない。観光は両刃の剣だ。手つかずの大自然が、東南アジアのビーチのように欧米資本主義によって汚されてほしくない。地元の人々はそこを懸念している pic.twitter.com/F7YG8f3oS5
2015-08-22 22:19:37⑪エチオピアに行く機会があったら是非訪れてみてほしい。人生観が変わる絶景だ。世界中を旅してきたが「人生観が変わった」と思えるのはボリビアのウユニ塩湖とこのシミエン公園、あと1カ所だけ。今後、アフリカでどんな風景に出会えるだろうか(終) pic.twitter.com/z8WBgiNP1l
2015-08-22 22:23:40