社会福祉法人の内部留保批判は見当違い!!向井文雄氏による解説。

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mukaifumio @KitaAlps

春から特別養護老人ホームの施設長になってしまったので、慣れない仕事で忙しくなり、残念ながら余り呟けなくなってしまった。それにしても、この分野に入ってわかったことの第一は、社会福祉法人の『内部留保問題』は、9割方は誤解に基づいた、実態のない問題だということだ。

2016-06-27 21:32:12
mukaifumio @KitaAlps

2 社会福祉法人の『内部留保問題』とは、結局、会計制度の違いを理解しない現実遊離の経済学者たちの議論に過ぎない。問題は、会計制度の違いにある。企業では、内部留保は、(設備投資に使ったりで)資本に組み入れることもできるし、株主に配当したり、自社株を買ったりして、解消できる。

2016-06-27 21:35:33
mukaifumio @KitaAlps

3 だが、社会福祉法人の会計制度は、厚労省の指導監督下にあって、「黒字」になったらそれは必ず内部留保になる。社会福祉法人には資本がないから、資本に組み入れることも、株主がいないから配当することもできない。介護福祉費用に使っても、施設を整備するために使っても内部留保が減ることはない

2016-06-27 21:40:02
mukaifumio @KitaAlps

4 内部留保をどんな用途に使っても、内部留保額が減ることはない。法人が黒字である限り、借方の使途は、貸方の内部留保額に影響しない。これは、社会福祉法人が資本金を持たず株主もいないからだ。企業であれば、内部留保は最終的に株主に帰属すると考えて良い。だが、社会福祉法人にはいない・・・

2016-06-27 21:57:54
mukaifumio @KitaAlps

5 内部留保をため込んでいるという主張は、それで得をする人間がいるという発想のようだが、得をする人とは一体誰のことだろうか?得をする者がいないのに「内部留保」が積み上がるのは理由がある。古い施設を修繕したり、改築したり、増設する際には、一定以上を自己資金でまかなう必要があるからだ

2016-06-27 22:03:38
mukaifumio @KitaAlps

6 古い建物を使えばよい?いや耐震問題もあるし、サービスの効率や居住性の改善なども必要だ。もちろん、巨額の寄付者がいれば自己資金は確保できる。だが、今日では、全国に無数にある社会福祉法人のすべてが、寄付で、必要な自己資金をまかなうことは極めて困難だ。だから「内部留保」は不可欠だ

2016-06-27 22:08:48
mukaifumio @KitaAlps

7 もちろん、内部留保を解消する手段がないわけではない。赤字を長期にわたって続けることだ。それ以外の方法で、内部留保を解消する手段は、現在の社会福祉法人の会計制度にはないと言って良い。しかし、厚労省は、持続的な赤字法人を認めない‥施設や設備に対する補助金の対象とはならないし・・・

2016-06-27 22:11:18
mukaifumio @KitaAlps

8 ‥もちろん、政府系機関の融資対象からも外れる。まして、政府系機関の融資対象にならないのに、民間金融機関が融資することもない。つまり、現実的に内部留保を解消する手段はない。その留保を福祉に有益な使途とやらに使わせても、それは内部留保の使途にすぎず、内部留保の規模には影響しない

2016-06-27 22:25:29
mukaifumio @KitaAlps

9 わかってないのは、社会福祉法人が内部留保を福祉施設の改築に使っても、内部留保は減らないということだ。内部留保は建物という資産として存在する形に変わるだけだからだ。

2016-06-27 22:28:52
mukaifumio @KitaAlps

10 福祉施設を作れば、借方に福祉施設である建物が計上されるが、貸方にある内部留保額は変わらず、内部留保が減少することはない。

2016-06-27 22:38:46
mukaifumio @KitaAlps

11 この実態から乖離した珍妙とも言うべき、社会福祉法人の「内部留保」キャンペーンで、介護報酬の大幅な切り下げや、社会福祉法人改革が実現している。当法人も、昨年度おこわ割れた介護報酬の改訂で、赤字に転落した。30年経った古い施設を改築する時期になっていたのだが・・・

2016-06-27 22:40:59
mukaifumio @KitaAlps

12 こうしたキャンペーンは、財務省が既存の制度に切り込む際の常套手段・パターンである。わたし自身は、地方交付税キャンペーンで、これに直面した。2000年代初頭、財務総合政策研究所をベースに経済学者さんたちを動員した交付税制度批判で、総務省(旧自治省)は押されまくりだった。

2016-06-27 22:47:00
mukaifumio @KitaAlps

13 土居先生など気鋭の経済学者を集めた研究会のメンバーがあちこちの雑誌などに交付税に関する問題の指摘文を次々に発表し、総務省は押され、後退を続け交付税制度は風前の灯火だった(と思う)。それで、一応、その分野ではメジャーとされる『地方財務』という月刊誌の2006年8月号に、・・・

2016-06-27 22:54:00
mukaifumio @KitaAlps

14 (承前)そうした交付税批判派の議論の問題点を取り上げた『一面的な交付税論議の検証と行政のメカニズム』という論考を書いた。これは比較的大きな反響があり、学会での発表の話や大学の先生との共同研究の話などが生じた。これが、私が財政学を通じてマクロ経済学へ入ってくるきっかけになった

2016-06-27 23:01:17
mukaifumio @KitaAlps

15 その次は、消費税増税で、これも(細分化すれば)本当の専門ではない??経済学者さんにかなり雑な議論をさせるというパターンは同じ。これはブログでささやかに bit.ly/18vWmFw を書いたが、私のブログにしては他を圧倒する桁違いのアクセスが持続的にあった

2016-06-27 23:14:57
mukaifumio @KitaAlps

16 そして、今回この社会福祉法人の「内部留保問題」に直面した。尤も、これについては、すでにおかしな議論であることは明白になりつつあり、私ごときの出る幕はなさそうだ。他に、首を突っ込んでいないが、年金問題とかも同様のパターンで、無理な議論のふっかけが行われてきたと思う。・・・

2016-06-27 23:22:03