加藤典洋『戦後的思考』読書メモ集

加藤典洋『戦後的思考』(講談社、1999)の読書メモをまとめました。
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荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

↓丁度一昨日単行本を注文してしまったので絶望した。

2016-07-10 08:54:38
加藤典洋 @ten_kato

その後、帰宅したら、九月くらいに出る『戦後的思考』の講談社文芸文庫のためのゲラが来ている。『敗戦後論』の続編。500頁超になる。どうかなと思って読み出したら、自分の文ながらやめられず。まったく古びていない(かも)。いまならもう少しまともに読んでもらえそう。100頁までの感想。

2016-07-10 00:53:22
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

まず「正解がない」状況に置かれ、しかも、「問題」を解かずには先に進めないこと。それが戦後の思想に遺贈された「ねじれ」の意味、その必要で十分な二つの条件なのである。by加藤典洋『戦後的思考』21p

2016-07-11 15:40:11
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

正しいと思うことを行うことがそのまま「正しさ」だった時代を、思想の牧歌時代と呼ぶことができる。しかしそういう時代は終わっている。そのことをいち早く知らせたのが、この世界戦争における敗戦経験というものだった。by加藤典洋『戦後的思考』75p

2016-07-11 20:18:13
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

転向するとは、余儀なく、「正しさ」を捨てることだが、「余儀なく、『正しさ』を捨てる」とは、「正しさ」を捨てるというより、むしろ「正しさ」に捨てられるということなのだ。転向者とは、あらゆる「正しさ」に見放された存在にほかならない。by加藤典洋『戦後的思考』134p

2016-07-12 12:52:41
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

再び加藤典洋を読み始めたわけだが、やっぱりこの人、世代論好きだよな。いや、私はそういうの全然共感しないのだけども。そういえば、ボンヤリした印象でいえば、ゼロ年代批評(?)も世代論好きだったような気がする。もしかしたら加藤の磁場のなかにあった批評思潮だったのかもな。

2016-07-12 13:26:00
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

加藤典洋。転向問題論のあとにアーレント論を並べるのって構成として中々上手いな。転向を、プライベート/パブリック、レイバー/ワーク/アクションの術語系で考えた人がいるかは知らないが、記述が大局的でありつつ散漫になっていない。

2016-07-12 18:22:50
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「わたし達が一人一人違う、にもかかわらず共通の本性をもっていることが、「複数性」の基礎である」(加藤典洋『戦後的思考』277p)。只、ここは彼女のユニークネスを誤解してると思うが。

2016-07-12 18:24:53
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

ものごとを考えることとは、自分の中に他者を繰り込むことであり、そこで考えられることは、その時分の中の他者を通じて、自分にいい聞かせられる。そして、それは自分にいい聞かせられることを通じて、他者へと向かう。by加藤典洋『戦後的思考』379p

2016-07-13 12:13:29
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

加藤典洋のルソー論ってすごい東浩紀『一般意志2.0』っぽくないか? 一般意志と全体意志は違うのキモも抑えてるし、『告白』へのジョイント(政治的ルソーと文学的ルソー)も指摘しているし。これにニコ生とかTwitterとか加えたらもう2.0じゃん。1.6くらいいってるんじゃね?

2016-07-13 12:24:23
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

考えてみたら、戦後の革新派と保守派は同一人物のジキルとハイドって『敗戦後論』の主張も、浅田彰(アカデミズム)と福田和也(ジャーナリズム)は実は対立してないっていう「棲み分ける批評」っぽいしさ。柄谷行人と加藤典洋を合成したキメラこそ東浩紀だったのだ、とか後年の批評史に書かれてそう。

2016-07-13 12:25:04
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

そういうわけで加藤さんゲンロンカフェに呼んだらいいんじゃないだろうか。

2016-07-13 12:25:33
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

わたし達は、そもそも戦争の死者に対し、彼らが「君国のために身を捧げた」英霊であるとか、「君国のために殺された」犠牲者であるとか、一方的に意味を付与する関係にないのではないだろうか。by加藤典洋『戦後的思考』426p

2016-07-13 13:03:15
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「そこにあるのは「偶有性」であり、その「意味づけられなさ」が、いわばそれまで彼をささえていた彼が彼であることの意味を、根こそぎ、ゼロに更新してしまうのである」(加藤典洋『戦後的思考』455p)。ゼロに更新する、って変な言葉遣いだな。

2016-07-13 13:22:17
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

わたし達の戦前と戦後はつながらない。そのような論理がもはやないこと、論理を用意すれば問題が解決できるのではないこと、そのことの深い了解が、わたし達の第一歩となるべきである。by加藤典洋『戦後的思考』456p

2016-07-13 13:25:46
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

思えば、戦後的思考とは、それが誤りうるものであり、また、人が生きることのうちに論理では解決できないものがあることへの、深い了解に立つ、戦争からの贈り物だった。by加藤典洋『戦後的思考』456p

2016-07-13 13:26:50
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

加藤典洋『戦後的思考』読了。『敗戦後論』の方がスリリングだけど、これはこれで。しかし、意外な人が論争に参加してたんだな、小泉義之とか大澤真幸とか。二つ読むと、内田樹とあんま変わんない気がするけど、あえて差異を見つけようとすればなんだろう。固有名としての他者、とか?

2016-07-13 13:33:26
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

大澤真幸「もうひとつの〈自由〉」『MD現代文・小論文』、朝日出版社、1998は読む…ってこれの七章ってそうか??osawa-masachi.com/?p=271

2016-07-13 13:37:44