オンナトモダチ【あきら編】

白色 @whiteeighter

1 〈お疲れ様です！！〉 『おうお疲れ。えらい早いな』 きみたかに振られたから遅番なのに早く出勤しましたなんて言えへん！ 〈村上さん大丈夫ですか？〉 『…何がや』 〈何がって…ほら〉 『しょーもないこと言うとらんとはよ着替えてこい』 #オンナトモダチ

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2 スタッフルームに追いやられた ノックして小さな部屋に入ると 見慣れない男の子が座ってた 〈、お疲れ様でーす〉 《あ、お疲れ様ですー》 ぺこりと頭を下げられる 着替えるといってもエプロンをつけるだけなので男女兼用 〈新しいバイトの方ですか？〉 #オンナトモダチ

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3 《そうなんすよー！今日からなんで、よろしくお願いします》 笑顔かわいいなぁ 〈はいはーい♪〉 適当に返事をする 2人で店に出ると 村『秋良、お前がとりあえずまずホール教えたってくれへんか？』 〈りょーかいっす〉 バイト君の指導を頼まれた #オンナトモダチ

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4 飲み込みが早くて ほとんどメモを取らずに覚えてる様子 試しに1人で色々させてみても 合格点でソツなくこなす 〈器用やねぇ〉 《んなことないっすよー笑》 こんな日に限ってお客さんが少ない 忙しくしてれば2人のこと考えんで済むのに #オンナトモダチ

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5 『お前初日やしもう上がりやんな？お疲れさん』 バイト君に声をかけ ついでに私の方にもやってきた村上さん 『お前もあがってもええで』 〈へ？〉 『あの大荷物…ヨコのとこ出てきたんやろ？』 なんでもすぐバレるなあ 〈まあそんな感じです〉 #オンナトモダチ

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6 『ほなどっか泊まるとこ探さなあかんやろ。今日は客の入りも少ないし帰ってええぞ』 〈働いてた方が気紛れるんですけども〉 『…それは俺の台詞とちゃうか？ちょっとは忙しくさせてや笑』 ははあ 自分も仕事に集中してちなっちゃんのことから目を背けたいと #オンナトモダチ

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7 男の人は切り替え下手やしねぇ 譲ってあげよう 〈じゃーお言葉に甘えて♡お先デース〉 エプロンを外しながらスタッフルームに入る 《お疲れ様ですー。今日はありがとうございました》 バイト君にお礼を言われた 〈いーよあれも仕事のうちやもん〉 #オンナトモダチ

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8 《実は店長から、後でアキラってやつ来るからそいつに教えてもらえって言われてて。てっきり男の人やと思ってて…笑》 〈あー、よく間違われるんよね〉 話しながらスーツケースを取り出し 少し荷物を整理する 《…どっか旅行とかですか？》 そりゃそう思うよね #オンナトモダチ

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9 〈ちゃうよ。家出つーか引越し？〉 《…へー？》 なんかニヤニヤ笑って感じ悪いな いやかっこいいんだけども 〈じゃーお疲れ様デース〉 出ていこうとする腕を掴まれた 〈ちょっ、何…〉 《男の部屋出てきたんや？》 低い声で耳元で囁かれる #オンナトモダチ

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10 〈そうやけど？！なんかあかんの？〉 睨みつけた そいつはクスクス笑って 《いやそんな怒らんでも笑 …すんません笑》 〈もういいから手ぇ離して？〉 すぐに離される 今朝まで触れていたのはきみたかだったのに 《ネカフェとかにでも泊まるんすか？》 #オンナトモダチ

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11 〈あんたに関係ないやろ〉 《俺んちくる？》 〈そんな軽い女とちゃうねん〉 《あぁ、いやそーゆうんやなくて笑 普通に。困ってるでしょ？》 〈…〉 《まあええやー。ほか頼るとこ無かったらほんまに来ていいですよ》 そう言って住所を書いて渡された #オンナトモダチ

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12 《お疲れっしたー》 私を置いて先に出ていく彼 下心ナシってことなんかなぁ…？ いや、怪しい！ あかんあかん！！ そう決心した数日後 ネカフェは満室 ホテルに泊まるお金も底を尽きて ヤツに渡されたメモを手に取り悩んでいた #オンナトモダチ

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13 〈ヤられてポイやろうなぁ…〉 夜も更けてきて 友達はほぼ彼氏と同棲中とか 実家暮らしとか結婚してるとか 頼られへんし 〈よし、ここまで行ってみて考えよ〉 メモを握りしめて向かった先には 馬鹿でかいタワーマンション 〈え…ほんまにここ？〉 #オンナトモダチ

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14 あいつただの大学生とちゃうん…？ どっかのボンボン？ 余計入りにくくなって 近くのファミレスに入った 《いらっしゃいませー何名様……ってあれ》 目の前には営業スマイルの例のバイト君 〈え？なんでここ…〉 《おひとり様ですね、こちらへどうぞ》 #オンナトモダチ

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15 《俺カケモチしてるんすよ。あの居酒屋とここと。ほかもチョコチョコ》 ふーん？勤労学生？ 意外に苦労人？ 〈スペシャルハンバーグセット、ドリンクバー付きで〉 《かしこまりました笑》 料理持ってきた時に泊めてくれへんか聞きてみよか… #オンナトモダチ

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16 〔お待たせしましたー！〕 待ってたら運んで来たのは女の子で 意外に美味しいハンバーグを頬張る もうこのままここで始発まで過ごそかな なんて思ってた ガシャンッ 私のテーブルに同じハンバーグセットが置かれた 〈…？！〉 目の前には彼が座る #オンナトモダチ

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17 〈…ちょっとあんた店員やろ〉 気にせずハンバーグを口に運ぶ 《もうあがりやもん》 〈ここ私の席やし〉 《腹減ってんもん》 〈答えになってませんけど〉 ガツガツと平らげる 《ぷはー…お腹いっぱい♡》 あ、いま話切り出すチャンス？ #オンナトモダチ

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18 〈…あ、あのさー〉 《ほな行こ》 〈え〉 スタスタと歩き出す 《奢ってな？ここ》 〈は？〉 《ん？俺んち泊まりにきたんちゃうの？》 〈う、まあ…そう〉 《宿代ハンバーグセットで手打ったるわ》 〈ただとちゃうんや〉 お金あんま無いのに泣 #オンナトモダチ

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19 《考えてみ？ただで泊まらしたるわーとか怪しいやろ？》 まあ確かに 払っといた方が気が楽かもしれん レジで会計を済ませて店から出る 〈…さぶっ〉 まだ朝晩は冷え込む 《めっちゃ寒ない？！》 〈やばいね今日〉 《…ちょ、それ貸して》 #オンナトモダチ

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20 首に巻いてたストールを奪われる 〈はあ？なんでよ！普通逆やろ！〉 スースーして更に寒い 《うっさいなー…》 バサッ 顔に何か投げつけられて それはこいつが来てたデニムシャツ 《そんで文句ないやろ？…さっむ》 半袖の腕をさすりながら歩く #オンナトモダチ

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21 冷たいんか優しいんかどっちやねん… マンションに戻る彼の後をついていく 〈なあ、なんでこんなでかいとこ住めるん？〉 《えー内緒》 ガチャリと鍵を開けて中に入ると 広々とした玄関、リビング 大きなソファにシステムキッチン 落ち着いたインテリア #オンナトモダチ

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22 〈あんた…何者？〉 彼は冷蔵庫の中からワインを取り出す 《飲めますよねー？》 質問は無視か！ 〈はあ、まあ…〉 フツーに好きですけどお酒。 《安もんやけど割といけんねんこれ》 そう言われて口にすると 飲みやすくて美味しい #オンナトモダチ

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23 〈あかん飲みすぎてしまう……〉 《えーやん♪どうせ俺ら明日遅番やろー？》 〈酔わせてヤル気ちゃうやろね〉 《して欲しいならしてもええけど？自分前の男に未練タラタラやからめんどくさそー》 〈そこは否定できないっす〉 #オンナトモダチ

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24 《ぷは、おもろい笑 未練あんねや》 〈そこ笑うとこ？〉 《慰めて欲しいん？》 〈結構です〉 二人して酔いがまわってくる 《ちょぉ、それ取ってえー》 〈それ？これ？どれ？〉 《ちゃうって、あんたの横のー》 〈ヨコとか！演技悪いな！〉 #オンナトモダチ

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25 《はあ？》 〈好きやった人のアダ名やねん…ヨコって〉 《横田とか横山とか？》 〈よこやま。〉 《そんなんお前！！あっはっは》 爆笑されてるし 《これから一生横浜いかれへんやん！笑》 〈今朝別れてきたとこやからしゃーないやん！〉 #オンナトモダチ