神谷純監督の語る『シン・ゴジラ』の魅力

神谷純(@junkamiya)監督が『シン・ゴジラ』について語っていたので勝手にまとめました。
16
神谷純 @junkamiya

シン・ゴジラ観た! 傑作!

2016-07-30 19:04:09
神谷純 @junkamiya

@kiyosimurayama やりきり感が気持ちいくらいでした!

2016-07-30 22:18:15
神谷純 @junkamiya

「シン・ゴジラ」、清々しい傑作だった。特筆すべきはこの映画がいわゆる「ゴジラ映画」ではない点だ。ゴジラ映画とは第1作の「ゴジラ」を起点として「ゴジラがいる世界」の中で展開してきたシリーズ群だ。それらはゴジラという怪獣が「いる」ことを前提として容認した世界だ。

2016-07-31 02:42:28
神谷純 @junkamiya

だから、いわゆる「ゴジラ映画」は、怪獣がいることを、フィクションではなく事実としている。大きな嘘を「前提条件」として思考から外した作品群だ。「シン・ゴジラ」はそこが異なる。ノンフィクションの現実に、突然非現実の権化である「怪獣」が現れたらどうなるかを描いた映画だ。

2016-07-31 02:45:07
神谷純 @junkamiya

これを「ゴジラ」を使って描いた映画は、日本国内では、実は第1作の「ゴジラ」しかない。それ以降のものは「ゴジラ映画」であり、言葉を変えれば「ゴジラシリーズ」だ。 「シン・ゴジラ」は、第1作以降としては実に初めてそれを描いた映画だ。

2016-07-31 02:48:41
神谷純 @junkamiya

本来は、84年版の「ゴジラ」がその任に当たるはずだった。だが、84年版は結果として第1作の続編となった。これ以降のシリーズはこの84年版を起点としているので、自己再生産的な約束事が重層化していって、話作りが袋小路に入りがちだった。

2016-07-31 02:52:07
神谷純 @junkamiya

ミレニアムシリーズも、第1作を起点としたパラレルワールドなので、その息苦しさは変わらなかった。フィクションの上にフィクションを乗せた世界だ。当然受け入れられる層は狭くなりがちだ。唯一ファイナルウォーズのみは、突き抜けた作劇で別次元の面白さを見せつけていた。

2016-07-31 02:57:20
神谷純 @junkamiya

海外の2作は、いずれも新たな「第1作」という立場なので、その面白さは双方にあった。ただ、それでもストーリーの外枠としては、観客に「ゴジラという存在」の理解を期待していた部分は、文法上残っている。今回の「シン・ゴジラ」はそれすらなかった。

2016-07-31 03:01:10
神谷純 @junkamiya

あえて、現代というものを、現代の日本が抱えている問題というものを「ゴジラ」というフィクションを導入することで浮き彫りにしようとした。これは、正しいフィクションの文法だ。

2016-07-31 03:06:41
神谷純 @junkamiya

「シン・ゴジラ」は、日本の「ゴジラ映画」としては、実に29作目にして、ようやく「ゴジラ映画」の呪縛から離れ、怪獣(ゴジラ)という存在の、それが「今」の現実を揺さぶるフィクションの面白さを、原初的魅力で描いた作品だ。実に第一作以来だ。

2016-07-31 03:11:31
神谷純 @junkamiya

これは、庵野監督の覚悟の表れであるが、同時に「シリーズ物」であることの大切さを、あえて捨てることを容認した企画陣にもエールを送りたい。これは、制作会社としては相当にすごいことなのだ。

2016-07-31 03:15:16
神谷純 @junkamiya

さて、「シン・ゴジラ」は非常に面白い「怪獣フィクション映画」だった。 これはこれで「怪獣映画」の魅力だ。 だが「怪獣映画」の魅力は、当然もっといっぱいある。「ゴジラ映画」が開発してきためくるめく楽しさだ。 この調子でまたいろんな魅力の「怪獣映画」がまた作られていくといいなあ。

2016-07-31 03:21:37
神谷純 @junkamiya

ところで「ゴジラ映画」群、いわゆる「ゴジラシリーズ」は、映画制作者の意気と創作へ対しての不屈の努力の賜物である。 「面白い続編を作れ」というミッションは、相当な無理難題なのだ。 それに立ち向かった作品が27作ある。 それぞれ違った面白さに満ちている。

2016-07-31 03:48:50