あいのかたち

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1 『ねー』 「ん？」 『私のこと、好き？』 みるみるうちに深くなる眉間の皺。 蔑む目。 『好き？』 「…嫌いや」 冷たく放たれる一言。 それに満足して笑う私。 そうだよね。 すばるならそう言うよね。 「…何や」 『いや、だよね～って』 言ってみたかっただけ。

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2 「…気ぃ悪い」 不機嫌に黙り込むすばる。 ごめん、もう言わないって。 この話はお終い、ね。

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3 朝、いつものようにすばるの腕の中で目覚める。 『すばる？』 「…」 背中からまわされた腕の力が強い。 『起きてる？』 肩のとこに埋められた頭がもぞもぞ動く。 腕が益々強くて、苦しいくらい。 『おはよ。すばる？』 返事はない。 でも起きてるよね？

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4 「…」 ？？ 「…ゃう」 『え？何？』 声小さいよ。 「きらい、と、ちゃう」 え？何言ってるの？ 「違う…好き」 『すばる？』 「好き」 『…』 「めっちゃ、好き」 耳元で呟く小さな声。 もしかして、昨日の？ ずっと考えてたの？ 戯れに聞いただけだったのに。

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5 腕を抜け出して、すばるに向き合う。 「見んな」 また腕の中。 胸に顔を埋める。 「俺のこと、好き？」 昨日の私と同じ質問。 『…』 「好きやろ？」 『…嫌い』 「…好きやろ？」 『嫌い』 頭を抱き抱えて、髪に顔を埋めてくる。

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6 「…いやや」 『…』 「好きって、言え」 『…』 泣きそうな声。 「言って。頼む」 子供みたいに、愛をせがむ。 苛めすぎた。 『…好き』 「…」 『好き。大好き』 「…」 『すばるが、大好き』 「…ん」 安堵したように息を吐く。

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7 『すばるは？私のこと好き？』 顔を見て、もう一度投げかける。 「好き」 はっきりと一言。 目を細めて、真っ直ぐ射抜かれる。 『私も、好き』 「好き」 やっと、笑った。 どちらからともなく唇を合わせる。 好き、と言葉で合間を埋めながら、お互いを求め合った。

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8 本当に、ただの戯れだったの。 言われるの嫌ってわかってて。 そう返されるのもわかってて。 だからあれでよかったのに。 ごめんね。 気にしてたんだね。 嫌いなんて思ったこと、一度もないよ。 すばるが私を嫌いになるかもなんて、思ったこともない。

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9 すばるはあるの？ だからあんなに不安そうだったの？ 今度聞かせて。 すばるの全部。 全部聞いて、不安なんて拭い去ってあげる。 そして伝えたい。 大好きだよって。 愛してる。 ずっと一緒にいたい。 欲しいのは、それだけだって。 すばるもそうでしょ？ でも…ごめんね？