はーとらんど

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あみ @ami_qitt25

1 「パーティか何か?」 いつもの店のカウンター 指定席に座りながら 《ああ、誕生日何やって… ごめんな、騒がしくて…》 チラッと人だかりの方を見れば こちらを見てる男と目が合った 「大丈夫…直ぐ帰るし…」 いつものジンバックを 出しながら #はーとらんど

2015-09-16 20:17:26
あみ @ami_qitt25

2 《…なんかあった?》 「別に…」 そう答えてからグラスを 飲み干す 《ペース速ない?》 2杯目のグラスはさっきより ジンが薄い 「…男と別れた」 ぼそっと呟いて… 《あ、… 店閉めたら、家来る?》 #はーとらんど

2015-09-16 20:18:39
あみ @ami_qitt25

3 「うんん、… そんな時ばっか亮ちゃんに 頼りたくない」 《ん?ええやん…っうかさ、 俺にしとけばええんちゃうの?俺、大切にするし》 笑いながら3杯目を差し出して 《真面目に考えといて…》 そう言って奥のパーティの方に呼ばれて行ってしまった #はーとらんど

2015-09-16 20:19:59
あみ @ami_qitt25

4 亮ちゃんが居なくなってから カウンターに肘を付き 軽く酔った頭で考える なんでいつもこうなんだろ 駄目な男ばっかり… 今回は浮気してる所に 偶然出くわした …トラウマになりそう で、ここに逃げ込んだ #はーとらんど

2015-09-16 20:21:47
あみ @ami_qitt25

5 亮ちゃんは大学が一緒で 知りあった時からこの店で バイトしてた 卒業後はそのまま店を任されて 何かある度、亮ちゃんに愚痴を言って一緒に飲んで次に進むのがここ何年かのあたしの サイクル ただ、前回の時は違ってた #はーとらんど

2015-09-16 20:23:28
あみ @ami_qitt25

6 何時ものように店終わりに 亮ちゃんの部屋で飲んでる うちに… 男女の関係になった どっちかがでは無くて自然に お互いが求め合う… そんな感じで その後はあたしが男を作って そんな事は無い… あれ、1度きり #はーとらんど

2015-09-16 20:24:33
あみ @ami_qitt25

7 さっきのあれは何なんだろ? 本気で言ってるんだろうか? 3杯目を空けて 『煩くして、すんません…』 いきなり声を掛けられ 振り返るとさっき目の合った 男が立っていた 「あ、…いいえ、大丈夫です…こちらこそ貸切の所に すいません」 #はーとらんど

2015-09-16 20:25:45
あみ @ami_qitt25

8 頭を下げると、その男が 『良かったら、 一緒にどうですか?』 そんな気分じゃ無い… 「ありがとうございます、 でも…もう帰りますから…」 立ち上がらその男に頭を下げて 店を出る 《待って、…》 #はーとらんど

2015-09-16 20:28:04
あみ @ami_qitt25

9 呼び止められて振り向くと 亮ちゃんが息を切らして 《…はぁ、もう、 帰るなら帰る言うて…これ、鍵、部屋で待っとって》 言いたい事を言うと鍵を押し付け店に走って行く それをぼーっと見送って 手の中の鍵を見つめる #はーとらんど

2015-09-16 20:29:30
あみ @ami_qitt25

10 行かないと亮ちゃん困るよね 溜息を付いて歩き出した 亮ちゃんの部屋に向かって 「おじゃまします」 形だけの挨拶を呟き部屋の中に 相変わらず綺麗にしてる あたしの部屋より綺麗かも ソファにバックを置いて 冷蔵庫からハートランドの ビン取り出す… #はーとらんど

2015-09-16 20:30:44
あみ @ami_qitt25

11 あたし用に置いてくれてる それが分かったのは1年前 その時も男に捨てられ 亮ちゃんに泣き付いた 《泣くなや、 お前の好きなビールあるから 朝まで飲も、付き合うし》 そう言って出てきたのが これだった #はーとらんど

2015-09-16 20:31:52
あみ @ami_qitt25

12 学生時代に1度好きだけど なかなか手に入らなく なったって話はした そんな事覚えてるとは 思わなかった 「亮ちゃん… どう思ってるんだろ… 本気なのかなぁ?」 スマホを取り出し男の名前を 削除してビールを口に含む #はーとらんど

2015-09-16 20:33:22
あみ @ami_qitt25

13 《本気やったら困るん?》 突然の亮ちゃんの声に 危なく吹き出す所だった 「びっくりさせないでよ」 あたしの前に座るとビンを 掴んて喉を鳴らして飲み干すと テーブルにコンと置くと #はーとらんど

2015-09-16 20:35:40
あみ @ami_qitt25

14 《俺は、本気やで… お前が馬鹿な男達と 付き合うのを指咥えて ずっと見てきたねん、 もう、いい加減気付や、 いつからお前だけ見てると 思ってるんよ》 捲し立てられて呆然と聞いてた 亮ちゃんは膨れた様に冷蔵庫に2本目を取りに立ち上がり #はーとらんど

2015-09-16 20:36:59
あみ @ami_qitt25

15 あたしは頭を抱え込んだ 亮ちゃんの気持ちは何となく 解ってた 男女の関係を持った時 余りに優しく抱くから 酔った勢いとか 同情してとかじゃ無い感情 なんじゃ無いかと… だから来たく無かった #はーとらんど

2015-09-16 20:39:03
あみ @ami_qitt25

16 亮ちゃんは嫌いじゃ無いでも 亮ちゃんを失ったら… あたしが逃げ込める場所が 無くなる…ずるいよね ビンを開けて一口飲んで 《どうなん?》 そんな真っ直ぐな目で 見ないでよ 「だめ、 酔ってるからわかんない」 結局、先延ばし… #はーとらんど

2015-09-16 20:40:19
あみ @ami_qitt25

17 いつかは結論を出さなきゃならないけど今夜は嫌… 男と別れて その上亮ちゃんまで… 亮ちゃんの飲んでるビンを奪い取りゴクゴクと飲み干す 亮ちゃんの手があたしのビンを持つ手に重なり ビンを取りテーブルに置くと そのまま床に倒される #はーとらんど

2015-09-16 21:03:21
あみ @ami_qitt25

18 《ここでする? ベッド行く?どっち?》 「それしか選択肢は無いの?」 茶化す様に聞くと 《あらへん… どんだけ焦らすん?》 唇が重なり… テーブルの上のビンの 汗が気になってるあたしは やっぱりどうかしてると思う #はーとらんど

2015-09-16 21:04:30
あみ @ami_qitt25

19 亮ちゃんの腕をすり抜けて ベッドを降りて散らばった服を拾いながら身に着けていく リビングに戻りテーブルの 上の物をキッチンに持って 排水口にビンに残ったビールを 流しながら… こんな勿体ない事しちゃ いけないんだって #はーとらんど

2015-09-16 21:06:07
あみ @ami_qitt25

20 思ってくれるならそれに答えれば幸せになれるんだろうか? 空き瓶をゴミ箱に捨てて 要らなくなったら 捨てられるんだよ バックを取り上げヒール履いて 亮ちゃんの部屋を後にする 夜明けの澄んだ空気を 吸い込んで歩き出した #はーとらんど

2015-09-16 21:07:20
あみ @ami_qitt25

21 その日の夜、昨日の代金を払いにいつもの店に… 《あ、 何も言わんで帰ったん?》 亮ちゃんがムッとした顔で 座る間もなく言ってきた 「仕方ないでしょ 仕事あるんだから…」 黙って出てきたジンバックを 一口飲むと 『隣り、ええですか?』 #はーとらんど

2015-09-16 23:04:17
あみ @ami_qitt25

22 その声に振り向くと 「あ、昨日の…」 そこに居たのは昨日の男で 『昨日はすんませんでした』 そう言って深々と頭を下げた 「そんな、 気にしないで下さい…」 『なんか、 気分悪くしたんや無いかと 思って…気になって…』 #はーとらんど

2015-09-16 23:05:34
あみ @ami_qitt25

23 「違うんです、 タイミングが悪くて…」 『タイミング…ですか?』 「はい、タイミングです」 手で隣の席を指して 座る様に促し 「何飲みますか?」 亮ちゃんを見ると… それは客に対する顔じゃ無いよ #はーとらんど

2015-09-16 23:06:46
あみ @ami_qitt25

24 睨みつけるようにしてるけど 『じゃ、同じ物を…で、どんなタイミングやったんですか?』 「大した話しじゃ無いですよ、男に捨てられただけですから」 笑いながら言うと 『笑い事やない、 こんなええ女捨てるやなんて… ありえへんわ』 #はーとらんど

2015-09-16 23:07:57
あみ @ami_qitt25

25 「へ?… 誰に言ってるんですか? あたしなんて…」 言葉の途中でグラスを ドンと置くと 『…俺、そんな事言う奴 嫌いやわ… 自分で蔑んでどないすんねん』 何だ?この男… いきなり知らない男に 怒られるなんて… なんだか無性に可笑しくて… 笑いながら #はーとらんど

2015-09-16 23:10:10
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