大辻隆弘 @otsuji28 短歌と自己表現　【未来シンポジウム寸感】

大辻隆弘 @otsuji28

【未来シンポジウム寸感】詩人の方々から「短歌=自己表現」「短歌の「私」=生身の作者」というような理解が示されて、残念、と思う同時に、ああやっぱりなあ、そんな風に思われているんだなあ、と思う。作っている人間からの実感からすれば、短歌は生身の自分の自己表現などでは全然ない。→

大辻隆弘 @otsuji28

【未来シンポジウム寸感２】短歌は「自己表現の器」であり、「生身の自分」の表現であるという言説は、むしろ、近代短歌を仮想敵とする前衛短歌サイドが意図的に流した俗耳に入りやすい批判言説で、「鬼畜米英」といったスローガンに過ぎない。→

大辻隆弘 @otsuji28

【未来シンポジウム寸感３】このような図式は、あくまでも単純化されたものである。たしかに斎藤茂吉や土屋文明などは、この図式を方便として利用しては来た。が、彼らは本当はこの図式に対してきわめて自由に振る舞ってきたのである。そのことを私は「子規への溯行」以来、短歌評論で縷々述べてきた→

大辻隆弘 @otsuji28

【未来シンポジウム寸感４】詩人の人は、短歌の門外漢だから、そのような世間の常識を信じこみ「短歌=自己表現」という図式で発言してしまうのは仕方がない。でも、残念だったのは、シンポジウムに参加した歌人の方の側から、そのことに対するはっきりした異議提出がなかった事だ。→

大辻隆弘 @otsuji28

【未来シンポジウム寸感５】歌人にとっての短歌定型とは、既知の自分を表現する器ではない。シンポジウムの最後で詩人の川口晴美さんが「詩というものは、自分でもわからないもやもやしているなにかを、書くことで顕在化する行為」という趣旨のことを言っていたが、すくなくとも私にとって短歌とは→

大辻隆弘 @otsuji28

【未来シンポジウム寸感５】「（短歌は）自分でもわからないもやもやしているなにかを書くことで顕在化する行為」である。あらかじめ分かっているセルフイメージを他人に押し付けて「俺はこんな人間だ！」と叫ぶような中二病的短歌観で短歌を語られてしまってはたまったものではない。→

大辻隆弘 @otsuji28

【未来シンポジウム寸感７】外部の人が「短歌=自己表現」「短歌の「私」=生身の作者」と考えてしまうのは仕方がない。部外者なのだから。でも、もし歌人と詩人が対話をするのなら、歌人の側はしっかりと自分の詩形に対する見識を持ち、部外者の誤解を少しでも解消する努力が必要だったのではないか。

大辻隆弘 @otsuji28

多分、私も世間一般の常識で現代詩の世界を見ているのだろう。そのことは、このシンポジウムの野村・加藤対談で学べたことのひとつ。吉岡実の短歌がダメダメで、俳句がいい、というのも大納得。

大辻隆弘 @otsuji28

短歌は「キャラ立てをする詩形」ではない。また「コスプレをする詩形」でもない。

大辻隆弘 @otsuji28

短歌の批評で、「この歌はキャラが立っていない」などという言葉を聞くと、私はゾッとする。

大辻隆弘 @otsuji28

確かにそうかもしれませんね。 twitter.com/hasnan_mhd/sta…

魚住蓮奈 @hasnan_mhd

大辻さんの寸感に目を通して思うのだけれど、現在の短歌であるTwitter発、あるいはひょっとしたら新鋭シリーズなどに焦点をあてて勉強された詩人の方なら、そういう感想を持たれるのはむしろ当然なのではないかな。

2016-08-22 11:50:53

大辻隆弘 @otsuji28

「つまり主体の存在が……」だと？　馬鹿らしい。ただ歌がわれといふ場でそよぐ

大辻隆弘 @otsuji28

土曜のシンポでは、「短歌の私」をほぼ「私③」だと、として論じられていたように思う。でも今、短歌の読者論で語られる短歌の「私」は、基本的には「私②」。そこがうまく整理できなかったように感じた。 twitter.com/akita_rinai/st…

shuma @akita_rinai

短歌の「私性」について考えるときは、この三つの「私」の区別をしっかり頭に入れておきたい。 twitter.com/otsuji28/statu…

2016-08-22 17:54:06