「捜査担刀、陸奥守吉行」関連まとめ

喪主加州清光 @Ritz_theatre43

瓦礫の山だ。

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なにかに破壊の限りを尽くされたそこは、深く生い茂る森に細く昇る煙を棚引かせている。高級で僕らには値段の想像もつかない家具は細切れのガラクタになっていたし、その一部はぶすぶすと燻されて跡形もなかった。

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猫足のソファの足の一本が転がっている。彼女のお気に入りだったんだろうなって思ったけれど、彼女はこの森のすべてを一等愛してた。この猫足のソファだけじゃなく。ここに転がっているものは、ひとつひとつが美しいおもいでなのだろう。

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かの女帝が愛し白い花に囲まれて眠る、彼の国有数の美しい楽園は、愛しい彼女のおもいでは、僕の前でみるも無惨に破壊されている。

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その一角。燻されるがれきが降りしきった、元は中庭だろうと思われる場所。全てめちゃくちゃになっていたのに、その木だけはそんなことはしらないと言ってるかのように、傷ひとつなく薄むらさきの華をつけていた。その決して大きくない木の根元には、一対の男女が仲睦まじく絡み合って眠っている。

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その男女に、神と巫女に、ぼくよりも近い距離で青いふたつの神が触れていた。

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大きく色の薄い神は、彼女に巻きついた彼の指をはがそうとしていた。女性らしい外見の中で、唯一いつも目にできる男性らしい箇所だ。刀を握っているときにできるたこが盛り上がった節くれだった指。その指が。濃い色の小さな神はそれをただ見つめている。

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彼らは、密やかに対話をしていた。神と巫女に目を落として。

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「兄さん、」 「駄目です、まだ力が緩んでいませんから、どうしても解けない。なにか案はありますか、小夜。」 「腱を切る？」 「……やめて、おきましょう。遺体をこれ以上壊すのは気が退ける。」 「……早くしなければ、彼女が。」 「ええ。彼女が起きてしまいますね。」

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「見られたくはないでしょう。宗三も。」

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動かないもうひとりの桃色の神は、下顎から上を完全に吹き飛ばして、それでも尚彼女の身体に覆い被さって離さないように、しっかり彼女の背中の衣服を握って息絶えていた。

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森には煙がたなびいている。まるでたくさんのちびた線香の刺さった、仏壇そのものみたいに。

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…………

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扉を、閉じよう。

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……僕がよく見る未来は、これだ。

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僕はね、宗三と仲がいい。お互い別の奴と遊ぶことの方が多いけどね。笑えることに、お互いもしかしてゲイなんじゃないかと思って、裸になって布団に入ってみたことがあるくらいに仲がいい。

喪主加州清光 @Ritz_theatre43

いやあ、無理だったけどねえ。あまりに無理すぎてお互い笑いが止まらないくらい。

喪主加州清光 @Ritz_theatre43

まず、お互い髪も長いしなんとなく女性に見えるしいけるのではって思いっきりヘテロ視点で思うくらいなのに試すのがアホだったんだなあって今なら思うよ。

喪主加州清光 @Ritz_theatre43

赤塚不二夫とタモリの逸話を地でやっちゃったんだよ。馬鹿だよね。

喪主加州清光 @Ritz_theatre43

…だから、この結果には、思うところがないわけじゃない。

喪主加州清光 @Ritz_theatre43

はじめに観たときには思わず吐いた。二度目を観たときには本人に伝えそうになった。三度目にはすぐさま扉を閉めて口を押さえながら金切り声を上げた。僕は動揺した。

喪主加州清光 @Ritz_theatre43

未来なんて、碌なものじゃない。興味に駆られて垣間見ようとした自分の不用意さに、本当に腹がたつ。