- sosikore_bot
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「? ……ああ、阪田くんに借りて掛けたままだったね。似合う?」「似合ってるよ。これが所謂ネコにコバンってヤツだな!」「招き猫だね!」
2016-11-01 00:05:08「そうだドクター、トリックオアトリート!」「? ……ああ、ハロウィンか? キミが知ってるとは思わなかったな! ボクですら大して馴染みがないものを……悪いけど、今は持ち合わせが無くてね。大体キミ、お菓子なんて昔から特段好きでもないだろう」
2016-11-01 00:24:35「? 甘いものは嫌いではないよ、塩辛いものもね。お菓子だけじゃない、野菜も肉も。それ以外も、全部同じくらい好きだ」「『同じくらい好き』っていうのは、『同じくらい好きではない』と一緒さ」
2016-11-01 00:32:10「余計なことを言った」「? ……あなたの話は面白いけれど、時々意味がよくわからないな」「ハハ。わからなくていいんじゃないか、キミはね」
2016-11-01 00:37:54「よく分からないけれど、結局お菓子は貰えないってことかな?」「その通り! いいだろ別に? それにどうせ……」「?」「マアいいさ。明日も任務だ、早く帰って寝た方がいい」
2016-11-01 00:44:27言われた通り、研究室を通り抜けて居住スペースに戻る。途中でドクターに悪戯をし忘れたことに気がついたので、代わりに近くにあった司令室のドアを抉じ開けて半開きの状態で固定しておいた。あの部屋の空気はいつも篭っている気がするから、こうしてたまに換気するぐらいで丁度良いだろう。
2016-11-01 00:50:52エレベーターを降りて扉を開けると、共有スペースには誰の姿もなかった。皆自室にいるか外出しているようだ。私も自分の部屋に戻ることにしよう。
2016-11-01 00:54:49見ると、自室のドアノブに見覚えのないビニールの袋が引っ掛かっている。取り外して中を覗くと、底の方に丁度掌と同じくらいの大きさの缶が一つ入っていた。手に取って上下に振ってみるとカラカラと音が鳴る。
2016-11-01 01:04:30昔、何度か家で食べたことがあるような気がする。何種類かのフルーツの味の飴が入った缶だった。最後の最後に思いがけない収穫ではあるけれど、贈り主の名前やメモの類はどこにも入っていない。阪田君が搔き集めてきてくれたんだろうか?
2016-11-01 01:11:29彼なら何か書き残しておきそうなものだけれど……もし他の人間の仕業だったとしても、然程問題は発生しないかもしれない。この缶の贈り主が誰であろうとーーこの部屋のドアノブに掛かっていたということは、宛先は私に決まっているのだから。
2016-11-01 01:20:14