ヨグヤカルタ・ナイトレイド #1

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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リンク note(ノート) 第4話【ヨグヤカルタ・ナイトレイド】 | ダイハードテイルズ | note ダイハードテイルズの限定公開ノート | 2016-11-08 00:22:20 +0900
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆「人間なんだな。お前」「違うかもしれんぞ」◆「奴らはニンジャの戦士だ」「おれはニンジャを殺す力を得た」◆「見苦しいわ、下郎ども」◆(御名前を)(サツガイ)◆「ニンジャ同士の戦闘です! 本物なんですか?」◆ 「貴様に用はない。ソウカイ・シンジケート」◆

2016-11-07 21:52:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆(((今のオヌシはサンシタ一匹殺せぬか!)))◆「黙れ……ナラク……!」◆「ふざけるな……オレにどうしろッてんだ。ファックしていいか?」「自我があるのでダメです」◆「ボロブドゥール……」◆ 「フジキド・ケンジだ」◆

2016-11-07 21:54:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スウーッ……ハアーッ……」エンドロという名の少年が去った後も、粗末な寝床に身を起こした状態で、フジキド・ケンジは深く深く呼吸をつづけていた。彼の表情は険しかった。焼けるような痛みを堪えながら、苛む力に打ち克とうと、持てるカラテを血中に循環させ続けていた。 1

2016-11-07 22:01:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼の苦しみの源、それは、その脇腹から背中にかけて浮かび上がった奇怪な青い染みだ。染み……刺青……アザ……刻印……得体のしれぬそれが祝福であろう筈もない。身体に絡みつく巨大なムカデの絵を上半身に焼き付けたようであった。それが・ロー・ワンの呪いだった。 2

2016-11-07 22:07:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スウーッ……」呼吸に伴い、彼の赤い目が明滅する。目を閉じ、なおも呼吸を深める。呼吸を崩してはならない。チャドーの呼吸を崩してはならない。次の機会を……のがしてはならない……。 3

2016-11-07 22:09:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴーン……ガゴーン……ゴーン……ガゴーン……巨人が打ち付けるハンマーの響きめいて、曇天のネオサイタマに、巨大重機の立てるくぐもったサウンドが規則正しく響いていた。ネオサイタマの新陳代謝の速度は極めて速い。建物も、人の記憶も、すぐに風化し、新たな混沌に置き換わってしまう。 4

2016-11-07 22:17:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

作業着姿の人々が行きかい、カンヌシとスモトリが地鎮の儀式を執り行い、安全メットを被ったスーツ姿のサラリマン達が建物の骨組みを指さして手元の資料と見比べている。そこかしこ、「お曲」と書かれたノボリ旗は、ここがオマカリ・レキシ・ファウンドリー社の私有地である事を示す。 5

2016-11-07 22:23:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヨオーッ!」カンヌシが錫杖を振ると、スモトリ二人がドヒョー上で同時に力強い四股を踏んだ。「ドッソイ!」作業員達は思わず手を止め、そのスピリチュアルな儀式に拍手を送った。そこからやや遠巻き、急拵えのプレハブ倉庫のショウジ戸が開き、安全メットを被ったニンジャスレイヤーが現れた。6

2016-11-07 22:27:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは腰を落とし、作業員らに気づかれぬよう進んでいった。この私有地は警備もそれなりに手厚い。武装作業員の巡回には、逆関節オムラロボ、モーターガシラも随行している。ニンジャスレイヤーは土砂山の陰に隠れた。「厳重ですね」背中越しに声がした。彼は眉根を寄せ、振り向いた。7

2016-11-07 22:30:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そこには安全メットを被った作業着姿の女がいた。コトブキだ。「タキ=サンの情報が確かならば、既に"ウキハシ"の設置作業は終わっている筈ですね」「……ああ」ニンジャスレイヤーはコトブキの手元にあるスーツケースを見咎めた。「それは?」「なんでもありません」「お前は帰るんだ」8

2016-11-07 22:36:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(シーッ!)コトブキはサイレント・サインを出し、注意した。土砂山の反対側を巡回警備員が通過していった。(こんなところで押し問答をしていれば、計画がご破算になりますよ。大胆かつ精密な動きが不可欠です)ニンジャスレイヤーは無言で首を振り、やや遠くのフォークリフトの陰へ走った。9

2016-11-07 22:40:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

人を避け、ロボを避け、物陰から物陰、奥へと移動する事、約10分。当初の建設現場はまるで入り口をカモフラージュするかのようだった。ネオサイタマの北の端、オマカリ社の私有地には相当な広さがある。ビヨンボめいた高いフェンスが敷地を囲み、遠くの高層ビルはまるで都市の断面めいて見える。10

2016-11-07 22:48:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

塹壕めいた窪みに滑り込み、二人は目的地方向を遠く見た。幾つかの黒い影を。「ワザダイイチ8号、自走式の迎撃システムですね」コトブキが説明した。「詳しいな」「予習してきました」コトブキは頷いた。「対立メガコーポの侵入を防ぐ防衛システムです。危険ですよ」 11

2016-11-07 22:53:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おれは問題ない」ニンジャスレイヤーは頷いた。それから何か言おうとして、やめた。ここで来た道を帰らせれば、よほど面倒だ。「お前は走れるのか。あそこまで」目当てのものを指さす。コトブキは頷く。「足手まといにはなりません。やる気ですよ」 12

2016-11-07 22:57:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「ボロブドゥール」それは24時間前、ピザ・タキの地下四階、データ収集を終えたタキは、マスラダにしかめ面でUNIXモニタを見せた。「当然オレは行った事ねえが、色々キナくせえ事は聞こえてくるぜ。せいぜい気をつけるこった。オレは知らねえ」「……で、移動手段はどうだ」「三つある」13

2016-11-07 23:02:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「三つもあるんですね」戸口に立つコトブキが感心した。タキは無視し「長期、短期、瞬間コースだ。長期はタンカー密航だ。よくわからんがそれなりに日数はかかる。短期コースは空の旅。チケットなんて無え。貨物室に忍び込んで密航だ。寒くて凍えるぜ」「瞬間コース」「企業のポータルを使う」14

2016-11-07 23:05:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「それは何だ」「知らねえだろうな。エメツのテクノロジー。正式名称、カイソク級ウキハシ・ポータルだ」タキは指で輪を作った。「輪っかをくぐると、向こう側に瞬間移動する。夢の移動手段だが、開発途上で、企業CEOやらヤクザ・オヤブンが使えるか使えねえかッて代物だ。厳重に守られてンだ」15

2016-11-07 23:12:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「わかった。そこを突破してポータルを使う」ニンジャスレイヤーは頷いた。「どこにある」「ポータルは座標設定にまとまった時間が必要。コロコロ変更する事もできねえ。……それでだ。今現在でボロブドゥールを向いてるポータルを、オレは調べあげた」「プロ意識ですね」「ちょっと黙っててな」16

2016-11-07 23:17:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……かくして、タキが示したオマカリ社の私有地に、ニンジャスレイヤーは忍び込んだ。ニンジャスレイヤーが睨む先、それらしきものが遠く見える。巨大な八角形のコンクリートの柱である。警備は厳重だが、「どうという事はない」ニンジャスレイヤーは塹壕から這い出し、走り出した。 17

2016-11-07 23:23:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

櫓めいた監視台は赤いサーチライトをぐるぐると回転させ、無人機が要所を浮遊していたが、赤黒の風と化したニンジャには、その手の防衛システムは障害の役目を果たさない。そしてそのやや後方、驚くべき脚力で追いかけるのはコトブキ。付近の無人機がその姿を捉えるが、スリケンを受けて墜落した。18

2016-11-07 23:27:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは連続側転で八角柱状のコンクリート建造物に到達した。建造物にはアーチ状の門があり、武装警備員が二人、防衛に立っていた。ニンジャスレイヤーは右の一人に肘を食らわせて倒し、二人目に襲い掛かろうとすると、コトブキがその者を体当たりで打ち倒した。 19

2016-11-07 23:30:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「到着した」ニンジャスレイヤーがタキを呼んだ。『本当にやっちまうとは。ニンジャってのはスゲエな』タキが応答した。『じゃあとっとと中に入れ。ケチくせえポータルがある筈だ』「ポータルを動かすのにハッキングは必要無いのか」『無い。動かすつうか、ONもOFFも自由にはできねえ代物だ』20

2016-11-07 23:34:05