右翼は南朝に惹かれる。何故なら右翼的心性というのは、システムに回収しきれない天皇の聖性に恋焦がれるものだから。後醍醐天皇という、権門体制というシステムに反逆して専制君主となろうとした王に惹かれるのは当然ではある。
2011-03-02 23:23:45むしろ後醍醐天皇の聖なるセックス術に… RT @denzirou: 右翼は南朝に惹かれる。何故なら右翼的心性というのは、システムに回収しきれない天皇の聖性に恋焦がれるものだから。後醍醐天皇という、権門体制というシステムに反逆して専制君主となろうとした王に惹かれるのは当然ではある。
2011-03-02 23:25:29その意味では、近代日本史上最大の右翼とも言うべき保田與重郎が、後醍醐と同じくシステムに反逆して専制君主を目指した後鳥羽を重要視しているのも、同じ心性に由来しているものなのかもしれない。
2011-03-02 23:30:04後醍醐も後鳥羽も本来味方のはずの貴族社会からはっきり嫌われている。後鳥羽に関して言えば、その行動を慈円は「愚管抄」で論難しているし、承久の乱時も、少数の側近以外は極めて非協力的だった。そして鎌倉時代後期には「主上御謀反」という考え方が出てくる。
2011-03-02 23:37:37つまりいくら天皇といえども、貴族社会、大寺社、武家の三者によって構成されるシステムに反抗するようであれば反逆者としてしか見做されないということ。そして事実後醍醐はそのようにみなされた。鎌倉幕府の矛盾が臨界点に達していたため一時的な成功を収めはしたが。
2011-03-02 23:45:15北畠親房のようなその生涯を南朝に捧げた、the南朝といってもいい人物すら後醍醐の独断性を厳しく批判しているのはその証左でもある。親房の息子で南朝の東北経営を担った顕家、後醍醐の側近中の側近万里小路藤房も同じように後醍醐を批判している。
2011-03-02 23:52:07しかしそうであるがゆえに彼ら専制君主を目指す王は魅力的でありうる。特権階級に独占されてきた天皇の聖性を民草へと伝達しうる可能性を開くから。だから、後の草の根右翼(草莽の志士と言い換えてもいい)は南朝に惹かれてきた。典型的なのが高山彦九郎か
2011-03-02 23:59:33しかし、それは究極的には挫折しかもたらさない。何故なら、天皇制というのは古来よりシステムに適合することで生き残ってきたシステムだから。それが律令国家であれ、摂関政治であれ、権門体制であれ、幕藩体制であれ、近代国民国家であれ。
2011-03-03 00:07:02だから、天皇をシステムから開放して民衆の手に取り戻そうとする右翼の恋闕の情は、永遠に報われることのない哀しい片想いたらざるを得ない。2・26の磯部浅一のように。
2011-03-03 00:12:15流石に北一輝みたいな人間はベタにシステムから天皇を解放しようとしてもやられるだけだと分かっていたから、天皇をネタとして利用して新たなシステムを構築しようとしたけど、それも結局は挫折した
2011-03-03 00:17:53戦後にghqが天皇制の存続を認めたのは、天皇制を廃止して、その結果熊沢天皇的存在が跋扈して聖性に対するコントロールが効かなくなるよりも、システムに聖性を一元的に管理してもらったほうが都合が良かったから
2011-03-03 00:21:24俺が保守(笑)の人間が好きになれないのは、自分が保守したいと思っているものなんて元々無かったんじゃないか、あるいはあったとしてもとっくに失われているんじゃないか、という可能性に対する真摯な思考が感じられないから。そこに無自覚な自称保守派ははっきり言って知的な誠実性を欠いている
2011-03-04 23:37:56少なくとも三島や江藤淳はそこにはっきり自覚的だったよ。だからこそああいう悲しい最後を辿らざるを得なかったわけだけど。三島はないと分かっているからこそ天皇にかけ、江藤はなくなっていても「あえて」あるとする態度を保ち続け、そして最後に糸がぴんと切れた。
2011-03-04 23:44:45やっぱ右翼というからにはそれなりの服で身を固めて行きつけのオーセンティックバーなんかもあって、美味い洋食屋とか蕎麦屋天麩羅屋なんかも知っていて・・・ってなんか池波正太郎みたいになってきたけどw
2011-03-07 23:11:55「からごころ」を徹底的に学んだ上でいかにして「やまとごころ」を守り得るかという問題意識ーつまり荻生徂徠の儒学から徹底的に学んだ上でそれを批判して国学の道を切り開いた本居宣長的な心持ちに日本の近代右翼はよって立っているわけだから。
2011-03-07 23:22:54もっと言えば、日本の近代はある意味福沢諭吉と共に始まったと言っても過言ではないけど、その福沢は学問のススメの中でこう言っているよね「古文や和歌なんて学んでもあんま意味ねーから実用的な西洋学問を優先しようぜ」でも本当にそれでいいの?というのが近代右翼の問題意識
2011-03-07 23:42:18その意味で、戦後左翼の最大の大物というべき丸山眞男(あんなの左翼じゃねーよっていうツッコミはなしね)が徂徠と福沢の二人を近代日本思想のキーマンとしたのは当然ではある。近代という「からごころ」を日本に根づかせようとした時に参考になり得る人物だったから。恣意的になったのは否めないが
2011-03-07 23:51:52福沢のアジアや皇室に対する態度から帝国主義的だの国家主義的だの批判する向きもあるけど、ぶっちゃけ左翼であることと帝国主義者や国家主義者であることは矛盾しないで両立しうるからね。
2011-03-07 23:57:48例えばマルクスなんかは、心の底では西洋列強の帝国主義支配をアジアを専制や遅れから解放するための必要悪として考えていたと思うよ。あの人根底にヘーゲルがあるから。
2011-03-08 00:01:47右翼に話を戻すと、岡倉天心は非常に英語が堪能だったし、保田與重郎も豊富な西洋的教養の持ち主だった。そしてその上で自分たちが守らなければいけないものについて必死で考えた
2011-03-08 00:09:06右翼っていうのとはちょっと違うけど清沢満之なんかもこの系列か。東大で西洋哲学の洗礼を受けて、骨抜き状態の日本仏教が哲学として存立しえる可能性を必死に探ったわけだから
2011-03-08 00:15:22しかし右翼が知的に誠実であろうとすると、「そもそも「守るべきもの」なんて本当にあるのか?あるいはあったとしてももう失われているんじゃないか?」という疑問にぶち当たらざるをえない。戦後の右翼は特に。だから良心的な右翼であればあるほど悲劇的存在になってしまう
2011-03-08 00:21:39