日本人は何故『この世界の片隅に』いながら「あの時代」を追体験しようとするのか

厳しい条件の下で作られた誠実なアニメーションとして絶賛された『この世界の片隅に』についての個人的な違和感を書き留めました。
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ウディすすむ @woody_susumu

日本人の多くは、広島と長崎の原爆投下や東京大空襲を「天災のように」捉えて来た所がある。 そして今、福島原発事故を「天災のように」捉えたがっている人達がいる。 しかし、どちらも天災ではない。だから責任者は明確に存在する。 それから、目を背けるため「天災のように」思おうとする。

2012-11-18 21:15:26
ウディすすむ @woody_susumu

第二次大戦で日本人が受けた被害を「天災のように捉える」(加害者としての側面は意識から捨象する)のは、戦後日本の大衆芸能の一貫したスタンスで、その範囲内での表現は悲惨であるほど大衆から称賛され、それを逸脱して加害者の顔を覗かせた表現は支持されない。この流れはむしろ強くなりつつある。

2016-11-05 10:09:58

「この世界の片隅に」と戦争責任について、片渕須直監督はインタビューに答えています。

ウディすすむ @woody_susumu

「この世界の片隅に」について言えば、日本の戦争責任について触れていないのか、といった質問もありました。ただ、戦争に巻き込まれた庶民にとって戦争責任をという議論は、そのままあてはめるのも一足飛びすぎると思いました。 →ただ、日本の戦争についての商業作品は殆ど全てがそうですからね…。 twitter.com/ignjapan/statu…

2016-11-07 21:23:46
IGN Japan @IGNJapan

いよいよ今週末公開「この世界の片隅に」片渕須直監督インタビュー。ゲーマーも見逃せない「エースコンバット」や「BLACK LAGOON」と本作とのつながりとは? #この世界の片隅に jp.ign.com/konosekainokat…

2016-11-07 15:11:19
ウディすすむ @woody_susumu

『この世界の片隅に』を観た。驚くほど丁寧に作られた誠実な作品だと思うが、余り私の琴線には触れなかった。時代や世界に抵抗せず日々を生きようとする庶民の姿を浮かび上がらせる作品があっても良いと思うが、今の日本で「あの時代」をそのアプローチで描くことを、手放しで称賛したくない気がする。

2016-12-01 19:52:42
ウディすすむ @woody_susumu

『この世界の片隅に』で気になったのは、目を細めた「いかにも善人風」な笑顔が多様されていることで、原作通りなのかもしれないが、マンガとアニメーションの表現は違うと思う。例えば、目を細めて上を向いて料理は出来ない。手元を見るものだろう。細かいと言われるかもしれないが、違和感があった。 pic.twitter.com/hZKNRsw7KH

2016-12-01 20:00:47
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ウディすすむ @woody_susumu

@woody_susumu 実は、この料理をしたりコーヒーを淹れたりするとき「目を細めて、いかにも善人風の表情をする」演技は、ジブリ作品にもよくあって、やはり、気になっていたのだ。正直に言って類型的な表現だし、ジブリの欠点だと思う。この辺り、片渕須直監督は正にジブリ直系と言える。

2016-12-01 20:09:34
ウディすすむ @woody_susumu

@woody_susumu これは、単に絵の描き方の問題ではなくて「人間や世界をどう捉えて、どう表現するのか?」という思想の問題ではないかと思う。だから「真剣に料理を楽しんでいる人間は一心不乱に手元を見つめているのであって、善人風の笑顔で目を細めたりしない」というのは大切なのだ。

2016-12-01 20:28:36
ウディすすむ @woody_susumu

「この世界の片隅に」を観ながら思い出していたのは、ノーベル文学賞作家でジャーナリスト、スベトラーナ・アレクシエービッチの「全体主義の長い文化があった我が国と同じく、日本社会には抵抗という文化がないようにも感じた」という言葉だった。 tokyo-np.co.jp/article/nation…

2016-12-03 22:52:26
ウディすすむ @woody_susumu

私は「この世界の片隅に」が、再び戦争に向かおうとする、今の日本の流れの歯止めになる(そのような意思のある)映画とは思えない。 むしろ逆ではないかな。 皆さんの絶賛が理解できなくて、孤立感を味わうばかりだ。 最近は、Twitterを眺めていても、そんなことが多い。

2017-01-12 07:13:38
ウディすすむ @woody_susumu

「この世界の片隅に」の作者(原作・監督)に感じるのは「あの時代を追体験したい」という欲求であり、しかも「客観性」を盾に、批評的視点を持ち込むことを緩やかに拒絶しているように見える。 あまり健全なこととは思えない。

2017-01-12 08:01:34
ウディすすむ @woody_susumu

問題の本質から目を塞いで日々の日常だけを近視眼的に肯定する、という視点において、「この世界の片隅で」が、私には「がんばれ福島!食べて応援」と同じものに見える。

2017-01-12 08:13:27
ウディすすむ @woody_susumu

『この世界の片隅に』の登場人物が時代に批判的でないのは当然だし、むしろ正しいと思う。当時、戦争に批判的な庶民なんて、殆どいなかったのだから。ただ、作り手は今を生きる現代の人間であるから、作り手の時代に対する視線は、否定であれ肯定であれ、作品から浮かび上がって来るべきだと考える。

2017-01-13 23:20:01
ウディすすむ @woody_susumu

昨年の日本映画に「シン・ゴジラ」と「君の名は。」と「この世界の片隅に」が登場したのは良いことだったと思うが、これらの作品への批判を許さないような、或いは批判を拒絶するような同調圧力がひしひしと感じられて、非常に不気味かつ不快でもあった。

2017-01-14 09:47:05
ウディすすむ @woody_susumu

映画監督の井筒和幸が「シン・ゴジラ」と「君の名は。」を批判したのは、彼の今までのフィルモグラフィーや発言を見れば当然で、むしろ褒めたら驚く。井筒監督からすれば、いつもの毒舌芸を見せたら予想以上の反発が起こった訳だけれど、その反発の仕方に、今までとはどこか違う不気味なものを感じた。

2017-01-14 10:29:05
ウディすすむ @woody_susumu

井筒和幸監督が「この世界の片隅に」について発言しているのどうか知らないのだけれど、これは褒めそうな感じもしますね。 私からすれば、一番やっかいな作品なのだが。 「まぁ、皆さんが素晴らしいとおっしゃるなら、別にいいですけど…」という、心に澱の溜るような、どこか割り切れない作品だ。

2017-01-14 10:35:29
ウディすすむ @woody_susumu

アニメ作家の山本寛氏が「大日本帝国の戦争」を肯定する歴史観を披露して炎上している件と、山本寛氏が『この世界の片隅に』を絶賛している事実は、別に矛盾しないのではないかと思う。 「抵抗」という文化のない国の美しい詩「この世界の片隅に」 woody.south-sign.com/?p=1358

2017-07-18 15:57:30
ウディすすむ @woody_susumu

『この世界の片隅に』の驚異的に細密な日常描写に覆われた中心にあるのは空洞だと思う。この作品には思想的な核がない。だから、左の人も右の人も、勝手に自分の想いを投影して感動できるのだ。 ある意味でクレバーだし、そうした作品があっても良いとは思うが、とりあえず私はあまり興味がない。

2017-07-18 16:15:59
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

最近『この世界の片隅に』という作品に違和感を表明する人が増えて来ているらしい。私は最初から、どうも乗れなくて、絶賛の嵐の中で孤立感を味わっていたから、結構なことだと思う。 (「抵抗」という文化のない国の美しい詩「この世界の片隅に」) woody.south-sign.com/?p=1358

2017-12-04 13:13:40
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『この世界の片隅に』から感じるのは「あの時代と同化したい」という強烈な欲求だ。その情熱の正体は、微細な軍事知識を嬉々として語りながら戦争への批評を忌避するミリオタや、自己と日本を同一視する余り過去の国家犯罪を直視できなくなってしまった歴史修正主義者と同じものなのではないだろうか?

2017-12-04 13:25:59
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

「『抵抗』という文化のない国の美しい詩『この世界の片隅に』」というコラムをアップしました。よろしければご一読ください。 woody.south-sign.com/?p=1358 pic.twitter.com/WkJTxFjQjk

2017-01-14 08:44:47
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