大震災と「廃墟」趣味

1990年代から現れた「廃墟」趣味。しかし今回の「東日本大震災」で人命と生活の喪失の果てに生じた「廃墟」を目の当たりにして、それでも今までと同じように「廃墟」を楽しめることが出来るのだろうか。 @katamachi氏のつぶやきを中心にまとめました。
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katamachi とれいん工房 @katamachi

廃虚趣味と震災について考えてみる、なう。

2011-04-06 18:32:01
katamachi とれいん工房 @katamachi

今の廃虚趣味って、始まりはどこだったのかなあ。やっぱり小林伸一郎とかの廃虚写真集とかが書店で並びだした90年代半ばだったのか。

2011-04-06 18:36:13
foxhanger @foxhanger

@katamachi 廃墟趣味を広めたのは、丸田祥三氏の写真だったとわたしは認識しています。丸田氏と小林伸一郎氏は現在裁判でもめていますが……。

2011-04-06 18:38:52
katamachi とれいん工房 @katamachi

もちろん、その前から廃虚系の嗜み方は存在していた。廃虚の写真集はすでに存在していたし、鉄道系の廃線趣味とかは直前に話題になっていた。80年代には赤瀬川たちのやったトマソン、宝島のVOW、タモリ倶楽部の東京トワイライトゾーンなんかがあったわけだ。

2011-04-06 18:39:44
katamachi とれいん工房 @katamachi

初期には、丸田祥三の写真集も重要な役割を果たしました。ジャンルの開拓者と言ってもいい。JTBの「鉄道廃線跡を歩く」シリーズも、第一弾から宮脇俊三のルポと共に、丸田の写真を巻頭で大きく扱ってました。@foxhanger

2011-04-06 18:45:04
katamachi とれいん工房 @katamachi

そのジャンルが万単位で拡散していく過程では、安価な普及書が必要になってくる。値段や敷居の高い写真集ではなく、千円代の入門書が大切。マニュアル的な情報も必要とされた。あの頃、全盛期を迎えたサブカル系の書棚で複数の廃虚本が並べられたことかターニングポイントになったのだろうな

2011-04-06 18:50:55
katamachi とれいん工房 @katamachi

そう。廃虚趣味って、写真集をぼーっと眺めるだけでなく、自分で実際に追体験できるということが重要なんだよね。現地を探せば、もっと新しい何か発見をすることもできる。その可能性が興奮させたのだろうな

2011-04-06 18:58:23
katamachi とれいん工房 @katamachi

ネタがなければ先人の足跡をトレースすればいい。模倣もまた一つの方法論。丸田がそれを「剽窃」と言うのは気分としては分かるけど、無理筋な主張だと僕は思う。

2011-04-06 19:04:54
foxhanger @foxhanger

その指摘は初耳でした。「廃墟趣味」というのは個人的な「孤独感」「疎外感」、もっと言えば「文明批判」という観点から語られるほうが多いように思われるので。@katamachi

2011-04-06 19:07:33
katamachi とれいん工房 @katamachi

鉄道写真のジャンルもそうだけど、この手の撮影をする際には撮影地ガイドが重宝される。そこに立てば、先行者と同じアングルで撮影するのも可能だ。

2011-04-06 19:11:25
katamachi とれいん工房 @katamachi

もちろん、場所が明記してなくても誰もが同じ地点で同じアングルで撮影することは可能だ。そこに先着した権利を唱えるというのはなんだかなあ、と。真似されて腹立つなら、別な素材でもっといい写真を撮ればいい話じゃないのかと、あの騒動を見て感じた

2011-04-06 19:12:44
katamachi とれいん工房 @katamachi

突然、名前を出してすみません。ご指摘のサイトも承知してます。廃線写真を撮ってきた立場から考えれば、同一被写体、同一場所、同一アングルの撮影もありだと思います。プロとしてそれを指摘されるのは恥ずかしいことだと思いますが、それは別の話ですよね。@malta_shozo

2011-04-06 20:52:29
katamachi とれいん工房 @katamachi

廃墟って「疎外感」を投影させる鏡の役割ですよね。山野に突然残る建物の残骸。喪われた人の息づかいと生活。「そこに今は人間が存在しない」というのが前提としてあります。じゃあ、そこに人の影が見え隠れするときどう接すればいいのか、が阪神大震災以来の僕の関心事です。 @foxhanger

2011-04-06 20:56:16
katamachi とれいん工房 @katamachi

えーと、「廃墟写真」の話でした。90年代後半から、廃墟の面白さを学習した人たちが、ホームページという新しい媒体で独自に活動を始めた。そこから出てきたのが栗原亨とかのガイドブック。大きめの本屋のサブカル系の書棚にその手の本がずらーっと並んでいるのを見たときはビックリした記憶がある

2011-04-06 21:05:19
写真家 丸田祥三 @malta_shozo

@katamachi お時間のよろしい折に、こちらをよくお読みください http://blogs.yahoo.co.jp/marumaru1964kikei/22128282.html 貴方が抱いておられる疑問に関しましては、すべてそちらに書いてございます

2011-04-06 21:06:15
katamachi とれいん工房 @katamachi

ゼロ年代の初め、あれだけ廃墟関係のネタが盛り上がったのは、何か被写体となる物件を発見し、それを報告する原初的な喜びが根底にあったと思う。そして、カメラと技術さえあれば、誰でもその発見者となる可能性があった。理屈抜きで、それは楽しかったんだと思う。

2011-04-06 21:15:55
katamachi とれいん工房 @katamachi

ただ、誰もが廃墟カメラマンとなってしまうと、いろいろややこしい問題がでてくる。その廃墟を今でも所有している人たちとの関係だ。廃墟を撮っている人が少なかった時代は、少ないマニアが訪れてもさほど目立たなかった。それが年に数十人、数百人集まってくると事情は変わってしまう。

2011-04-06 21:18:36
katamachi とれいん工房 @katamachi

街中に近いところにある廃墟って、そもそも地元のヤンキー系の人たちの溜まり場だったんだよね。肝試し、霊感スポット的な扱いもあったし、悪さをするときの秘密基地的な存在だった。20年ほど前に、大津市の廃墟ホテルが解体のため爆破されたんだけど、勝手に入る人たちが相次いだからなんだよね

2011-04-06 21:23:31
katamachi とれいん工房 @katamachi

ヤンキーたちにしても、90年代後半以降のブームに参加した人にとっても、「廃墟」というのは魅惑的な遊び場だったんだろう。子どもたちの探検ごっこ的な楽しさに満ちあふれている。誰も人間が存在しない空間だからこその開放性がそこにあった。でも、当事者たちの影が見えてくると話はややこしくなる

2011-04-06 21:26:52
katamachi とれいん工房 @katamachi

たくさんの人の手であらかたの物件が紹介されてしまうと、開拓者としての興味や未知のモノを踏破する喜びも薄れてしまう。ヘタな写真集やガイドブックよりも、無料で出入りできるホームページや掲示板の情報や写真の方が詳しかったりするから、また微妙なことになる。

2011-04-06 21:31:39
katamachi とれいん工房 @katamachi

2006年くらいで廃墟系のブームも終わったのかなあという印象はある。サブカル系の本が売れなくなったのもその頃か。ブームの象徴でもあった「軍艦島」が2009年から船に乗って気軽に訪問できるようになったあたりでトドメがさされたのかな。廃墟的なモノが浸透し、拡散した結果なんだろう

2011-04-06 21:34:52
katamachi とれいん工房 @katamachi

そして、2011年3月、テレビの向こうでたくさんの廃墟を目にすることになる。あれを見て、僕はカメラを触りたいという気持ちが正直失せた。他の人たちはどうなんだろう。すでに現場に行って撮影した人もいるのだろうか。以前、廃線とか廃墟とかに関心があったからこそ、思考回路は停止したままだ

2011-04-06 21:42:31
katamachi とれいん工房 @katamachi

実は1995年1月にも同じ気分を味わった。廃墟趣味なんてものはまだ一般的ではなかったけど、倒壊した近代建築、脱線した電車などを撮影しに行った人たちが何人もいた。被災地で記念撮影する人たちを見たことがある。「記録」することに意義を感じたからこその行為なんだろうけど凄く違和感を覚えた

2011-04-06 21:46:29
katamachi とれいん工房 @katamachi

その違和感をうまく昇華できずに2011年に至ったのだけど、たぶん、被災地の廃墟の向こうに人の息づかいを感じてしまったのだろう、とあの時の気分を思いだす。「直近まで人が存在していた廃墟」と分かったからこそ、ある種のやましさを再認識させられたのだろうと思う。

2011-04-06 21:51:31