株式会社黒壁　二代目社長笹原さんの講演録

木下斉 / 「まちづくり幻想」日台韓中で発売中! @shoutengai

さて、これから久々に長浜の笹原さんの話をきくので、軽く実況します。

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ご案内のように株式会社黒壁は、我が国における第一次中心市街地活性化法の基礎となったケーススタディです。ご存知で無い方はこの業界ではいないと思いますが、webでも見てください。 http://bit.ly/hnC42q

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その黒壁の二代目社長を務められた笹原さんが登壇されます。個人的には始めた黒壁にお邪魔したのは高校３年の時でした。その頃から笹原さんの歯に衣着せぬスタイル、事業的なアプローチが好きです。今日は大学院時代から関わっていた徳島大の矢部さんも一緒です。

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ちなみに笹原さんは御年70歳。

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[黒壁・笹原さん] 黒壁社長時代の10年前にガンに患ったが、回復し元気になりました。実は東北地方の水沢江刺に、黒壁の水平展開第一号として株式会社黒船を設立したことがあった。(日本のまちづくりケースとしては、かなり先進的かつ野心的な水平展開です。この経緯や資本関係も面白いby木下)

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[黒壁・笹原さん] 私は昭和16年生まれ。3歳の時に疎開した世代です。しかし、戦後は何もなかったが粘り強い日本人の良さがあれば復興はできる。ただ、世知辛い世の中になっており、もっと人の関係を大切にすべき。70年生きていると様々なショックを経験してきた。

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[黒壁・笹原さん] 小さい頃から野球をやっていて関西大学の野球部だった。私がまちづくりに関わる際に、皆さんと違って理論的なよりも体を先に動かす方が基本。黒壁でも誰もいなかったが、試行錯誤を続けて今では毎年200万人がくるようになった。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] なんぼいい理論、実践をしても、「人が集まる」といった「成果」がでないと全く意味が無い。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 長浜は豊臣秀吉がまずは城を構えたところ。今年はNHKドラマの効果もあって、300万人近い来客が予想されています。経済活動が動かないと被災地も潤わないので、関西は明るくやっていきたいと思う。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 430年前後の戦国時代に4つの合戦が滋賀やその周辺。うち3つが長浜周辺に密集。戦国の通り道のように戦があり、非常に要所であった。秀吉は戦ばかりだったので、城にはあまりいなかったので、城下町形成で町人の力をうまいこと利用しようとした。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] そして、秀吉は長浜に楽市楽座を開いた。長浜の商店街は元々がその楽市楽座が残っている形。日本で唯一。しかし、商店街が衰退してしまった。黒壁の取り組みが成立することで、結果的にその歴史的な集積を残すことができた。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 楽市楽座によって全国から商人が集まってきた。商業施策を促進し、商業の富が地域の発展に寄与するという珍しい政策があった。自由資本主義経済の基礎。戦国時代にできたもので、世界を見ても稀有。江戸時代に入っても堺と共に自由経済特区的に明治まで続いた #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 商売を繁盛させて、商店街は400年近く続いていた。私が高校時代まで発展していた。昭和40年代から衰退。600店舗から150店舗程度にまで衰退。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] そんな最中、長浜中心部にある黒い壁の建物(元々は国立第百三十銀行長浜支店、当時はカトリック教会の建物だった)が売りに出された。昭和39年にできた平和堂が拡大し、その後1988年に西友・長浜楽市というSCができた。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 1988年に西友・長浜楽市というSCができたが、これが商店街から店舗を引きぬく形式での展開だった。(大店法の時代だから、その合意形成の意味もあったんだろうby木下)。それで一気に中心部は衰退が加速した。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 昭和62年に先程の黒壁の建物を保存する相談を教育長から受けて活動を開始した。今でこそ観光地であるが、そもそもは文化を守りまちを存続させたいという想いからスタートした。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 建物の買取価格が9000万円。売りに出されていたところを不動産屋に待ってもらって、3-4ヶ月は待つということになった。改修費で4000-5000万円程度かかると予想。つまり1億3000万円程度は出さないといけないと判断。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 市から持ち込まれた相談だったので、最初は1億円くらいだしてもらえる思っていた。しかし、4000万円しか出せなくなった。これは市議会議員の構成が昔は前議員数の半数が中心部選出だったが、人口減少で1/3程度までに落ち込んでいた。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] そのため出資金額は市として4000万円が限界だった。仕方なく、民間出資を集めることにした。しかし商店街は鼻血もでないと言われたので、郊外に立地している地元企業声がけした。しかも出資額は1000万円、法人出資しか認めないということにした。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 私の会社でも当然ながら会社の役員会で議論した。当然財務担当は猛反発。しかしどうにか儲けるからと説得して、出資した。繊維の卸業、機械製造、酒屋、倉庫業などの企業が出資した。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 急速に資金調達。「1000万円程度出せないようでは、お前の会社潰れてしまうぞ」といいながら、一気に集めた。3ヶ月で集めきった。しかし、何も考えずに金集めしてしまった。建物が壊される前にという一心だった。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 役員会を日曜2時から3時で集まった。役員で事業計画がなくて会社つくったと笑っていたが、「なにしようか」と話して終わった。その後に1時程度、黒壁の前に立ち通行量調査を皆でやった。4人と犬1匹しか通らなかった。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 月曜にひとまず残った資本金を定期預金として4000万円預けた。当時は金利もよかったので、ひとまず預金で多少儲けようとした。しかし、市役所が出資した会社が何もしないわけにはいかないという声が。市役所がやってりゃこんなことにならないと反発もした #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] まー赤字になったら市に責任とってもらって売ってしまえ、なんて冗談話を毎晩蕎麦屋で酒のんで話していた。 #kurokabe

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[黒壁・笹原さん] 30年前にあれだけ人がきていた商店街がここまでになぜなったのか、という原因を考えることにした。郊外のSCとの戦いに敗れた。資金競争をすると仮定して試算したら、120億円を調達して再開発しないと勝てないという結論で挫折。 #kurokabe