大連の老兵は今もなお! ~南満州鉄道デキイ型電気機関車の保存について~
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【南満州鉄道デキイ形とは?】
満州から日本へ石炭などの資源を運ぶため、1926年から1930年にかけて南満州鉄道は大連の甘井子地区に大規模な石炭用貨物ターミナルを建設しました。
その中に敷かれた石炭輸送鉄道に用いられたのが、ターミナルが営業を開始した1930年から導入された「南満州鉄道デキ3000形」、後の「デキイ形」でした。
「デキイ」と言うのは「1番目(いちばんめ)の電気機関車(でんききかんしゃ)」という意味です。
製造は川崎車輛(現:川崎重工業)が手掛けており、当時同社が製造していた多くの電気機関車同様、箱形の車体に丸い窓が特徴でした。
第二次世界大戦で日本が敗れ、南満州鉄道の路線が中国国鉄に引き渡された際、デキイ形も全車とも中国の機関車となりました。
そのうち3両は中国の炭鉱・撫順炭鉱へ移籍した一方、2両は様々な改造を経ながらもそのまま石炭輸送に従事し、2013年に使用が停止されるまで実に83年にも渡り活躍し続けました。
そして…。
#a列車で逝こう 大連甘井子站構内の石炭ヤードには長らく川崎車輌製の電機が使用されていたが再開発により消えて久しいようだ (3000型あるいはデキイ型 呼称については異説あり) pic.twitter.com/gwq0F3HEwQ
2017-03-10 23:15:24撫順の60トン川崎製ELってデキイかも?確かにデキイの廃車体があった。 pic.twitter.com/z4Hqhaxpnf
2018-03-21 23:38:55【そして先日…】
中国の鉄ヲタからもたらされた良い知らせ。 かつて大連甘井子で使用されていた旧満鉄デキイと桟橋電車は、きれいに修復されて保存されたそうです。 mp.weixin.qq.com/s/jBBExrJW6leP…
2019-02-26 00:44:12@houmeisya 中国は国鉄に限らず、鉄道車両の保存に関しては意識高いですね。中には、ほぼスクラップ状態から修復される事例もあって、本当に驚かされます。
2019-02-26 12:32:48これ、少年時代の荻原二郎氏が小田急のデキ1021を見て『造船所生まれのせいか、船室のような円い窓が並ぶ黒光りの車体は、いつか科学画報誌で見つけた大陸の電機機関車の風格であった。』と感銘を受けるシーンの当該車両だ。まさか現存していたとは・・・。 twitter.com/hokuman_hailae…
2019-02-26 07:09:35おお、満鉄向けに川崎車輛が製作した、吉野鉄道51・52や小田原急行鉄道101(のちの小田急デキ1021→岳南鉄道ED28 1)と並ぶ戦前製丸窓電機3兄弟の1つである3000形、まだ現存していたのかぁ…。かなり車体は改造されている様だけど丸窓健在は喜ばしい。 twitter.com/hokuman_hailae…
2019-02-26 08:47:58ちなみに川崎車輛による箱型電機への「丸窓」の意匠は戦前に製作されたこれらの3形式の後、戦後1956年になって造られた国鉄向けDEL(電気式ディーゼル機関車)であるDF40形DF40 1(のちのDF91形DF91 1(II))にも思い出した様に採用されたので、合計4例が存在したことになる。
2019-02-26 08:56:55この保存された満鉄3000→デキイ形、運転台回りの窓が大きく寸法変更された他、鋼体そのものがリベット組み立てから全溶接構造へ変更されたり、ほとんど別物の車体になっているが、5つの丸窓は移設されながらも全て残されており、大連の人々が本当にこの電機を大切にしていたことがうかがえる。
2019-02-26 09:00:34【おわりに】
「南満州鉄道」というとあじあ号ばかりが取り上げられがちですが、このデキニ形を始め多種多様な鉄道車両が日夜走り、中国の鉄道車両となって以降も国の大黒柱として活躍をつづけたことを忘れてはいけないでしょう。
大連を支えたデキニ形、今後もその雄姿が見られるかもしれません。