「岩波書店・雑誌『科学』2011年9月号 [座談]原発事故後の“日本的対応”をよむ」と「信頼に値する専門知システムはいかにして可能か」の解説

岩波書店・雑誌『科学』2011年9月号予告(Vol.81 No.9) 特集 科学は誰のためのものか 8月25日出庫予定 http://www.iwanami.co.jp/kagaku/yokoku.html ■[座談]原発事故後の“日本的対応”をよむ 押川正毅(@MasakiOshikawa)・藤垣裕子・牧野淳一郎(@jun_makino) ■信頼に値する専門知システムはいかにして可能か 平川秀幸(@hirakawah) ●平川秀幸(@hirakawah)さん anywhere 続きを読む
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Hideyuki Hirakawa @hirakawah

研究者。科学技術社会論専攻。発言は個人のもので所属機関の見解ではありません。Researcher, studying Science & Technology Studies (STS). All views are my own, not on behalf of any organization.

Hideyuki Hirakawa @hirakawah

岩波『科学』9月号での押川(@MasakiOshikawa )・牧野(@jun_makino )・藤垣座談会「原発事故後の“日本的対応”をよむ」は読み応えあり。後半で一つ強調されたトピックが「市民が測って市民が決める」という原則。これはICRPの思想でもあり、色々な意味で重要。

2011-08-27 00:28:31
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)この「市民が・・」の話題で藤垣さんが触れているのがICRP報告書に出てくる長期汚染地域での対策で、市民参加・当事者参加の取り組みが功を奏したノルウェーや英国の事例。詳しくはICRP111の付属書A(仮邦訳p47以降):http://t.co/Jpk06J9

2011-08-27 00:35:08
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)因みに藤垣さんは5月に講演(東大五月祭?)で、終了後に福島のとある町の職員の方から助言を求められ、①町民でICRP111報告の読書会を行い、②市民参加型の対策を学習、③自分たちで線量測定する「自測団」結成して汚染地図を作り、④町としての行動マニュアル作るべしと助言したと。

2011-08-27 00:44:45
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)「自治体と住民が一緒になって測定、汚染地図作成、対策策定が大事!」という話は、おいらもある経路で細野大臣に進言したことではあるのだけど、実際、現地ではどうなんだろう?少なくとも政府レベルでは何の動きも見えないけど。

2011-08-27 00:49:49
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

それらの要件を踏まえてどう実現するかがカギですね。RT @aristotetsu: ボランティアや他自治体からの支援体制の適正な規模とも関連してくると思います。 R @hirakawah: ICRP報告書に出てくる長期汚… (cont) http://t.co/rbDxogJ

2011-08-27 00:50:15
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)因みに市民参加型での測定・対策には少なくとも3つのメリットがある。一つは、当然ながら汚染状況の把握と対策に役立つこと。汚染分布は細かいため、自治体や国による測定だけではリソースの制限でなかなか生活環境のスケールでの実態把握が難しく、そこは住民主体でやらないとならない。

2011-08-27 00:53:28
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)市民参加型の二つめのメリットは、自治体と住民が協働することで、互いの信頼感(住民→自治体/自治体→住民)醸成に役立つこと。測定に関しても住民自らが測定することで、行政発表の結果の裏が取れるし、一緒に作業することは色々な意味で相互信頼を育みやすい。

2011-08-27 00:57:08
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)市民参加型の三つめのメリットは、生活の中での状況に対する「行動能力」(状況を把握し管理できる能力)を回復し、自己効力感を高められること。危機的状況での不安感の源泉の一つは、この行動能力の喪失による無力感。「自分にもできること」が見つかることで、精神衛生的にもよいはず。

2011-08-27 01:00:24
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)ちなみにICRP111は、チェルノブイリ後90年代初期のベラルーシなどの話として、当時の防護対策が、次第に無力感を感じるようになってきた現地の共同体や住民を結集させることに失敗したため、住民間で日常生活の管理の喪失、疎外感・自暴自棄が蔓延したと報告している。

2011-08-27 01:07:18
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)その後、ベラルーシでは、90年代後半以降、住民参加を取り込んだ新しい対策が行われ、放射線の日々の管理に現地のステークホルダーが直接関与できることが実証されていったのだという。

2011-08-27 01:10:57
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

さっき書いた「行動能力・自己効力感の回復」という点でもすごく大事ですね。「不安」とそのコントロール(解消は無理)の問題は単なる知識の有無でなく、行動能力の「エンパワメント」の有無の問題なんですよね。RT @quinoppie: その「自分で」というのが大切ですね。

2011-08-27 01:15:27
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)で、今呟いてきたことに照らして福島やその周りの現状はどうなんでしょう?市民のネットワークは急速にあちこちに立ち上がり、測定や除染の取り組みも広がってるわけですが、自治体がちゃんと連携して、地域一体でやれてるところはどれくらいあるのか。ご存知の方いましたら教えてください。

2011-08-27 01:20:40
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)とりあえず、住民と自治体連携で地域一体で測定・対策やってるとこがありましたら、それを例にしつつ、他の自治体へのアピール(売り込み)のためのマニュアルめいたものや、相談者のネットワーク作りは、藤垣さんはじめ、うちの分野の仲間がやれそうな気がする(てか、やらねばならんね)。

2011-08-27 01:24:01
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

それ、とっても大事ですね。RT @HiroshiFujimura: ベラルーシでは、近くの学校などで自分で持ち込んだ食品の放射能検査ができるようですね。日々自分で確かめて安心を確保できるという点が優れていると思います。RT @hirakawah: (続)その後、ベラルーシでは、

2011-08-27 01:49:58
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

朝生。斎藤健さん、すごくまともなことを言ってる。「科学者の答えが一致しないときは、プロセスが大事。ちゃんと世界的に見て最善の研究を参照してるかとか。」「科学者の意見が分かれたら、政治家は安全サイドで判断すべき。」(自民党なのに・・とい言い方は偏見かなw)

2011-08-27 02:18:25
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)これに対して大塚厚労大臣「安全サイドを選ぶとしたときには、社会的コストがかかることも国民に分かってもらわなくてはいけない。」←それ自体は正しいんだが、だったら、ちゃんと国民(とくに当事者)に聞けよ。聞いたうえで決めろってICRPでさえ言ってるんだから、それ守ろうよ。

2011-08-27 02:21:30
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)「科学と政策決定」の今後のために政府がすべきなのは、国会側のリサーチ能力を高め、政治家が官僚・役所の言うことをチェックできるようにすること。具体的には国会図書館の調査部門を拡大したり、日本学術会議にリサーチ部門を作り、それらをハブに研究者ネットワークを作るとか。

2011-08-27 02:28:41
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)ちなみに国会図書館はすでにそれなりの調査部門があり、色々報告もHPで公開されてる。他方、日本学術会議は、お偉い先生たちは集まるが、独自のリサーチ部門はない。本来はそこに博士号持ちのスタッフを多数揃えるべき。そういう話を岩波『科学』9月号に書いたのだが、現実は財政の厳しい壁。

2011-08-27 02:33:26
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

いや、さっきのとこだけですよー。RT @kashiwanohamama: @yuu2taku1mama @y_ekko 夜更かしトリオですね(^-^)。 朝なまは @hirakawah先生が主要部分をツイしてくださっているので、そろそろ寝ます☆お休みなさい。

2011-08-27 02:34:05
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

「何が良い科学技術として進めるべきか」の基準を社会の側にも求めることがポイントでしょうね。「原子力村」の中にも、「自分は推進支持だが、国民がNOというならそれがいい」という人は結構いたりします。RT @eminem746: @平川 朝生、科学者って生物は必ず科学技術向上に動く

2011-08-27 02:36:52
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

ですねー。まぁ、本来はどちらも普通に、311以前からメディアの常識になっていないといけないことでしたが。RT @tigercatver2: @hirakawah メディアで予防原則と公衆衛生に言及したのは評価したいですね。

2011-08-27 02:38:14
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

さっき書いた「国会側の調査能力を高める」について。科学技術に関しては、欧州では現在14カ国、欧州議会、欧州委員会に「テクノロジーアセスメント(技術の社会的影響評価:TA)」の組織が置かれ、科学技術政策などへの助言を行っている。その原型は1972年に米国議会が設けたOTA。

2011-08-27 02:41:41
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)テクノロジーアセスメント(TA)自体は60年代後半に米国で誕生し、72年にOTA(Office of Technology Assessment)が議会付属機関として設立。行政側が出す科学技術に関する政策案・予算案に対する議会の監査能力を高めることが目的。

2011-08-27 02:44:52
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)なおOTAは1995年、クリントン政権下ながらも共和党が上下院で多数派になって時に廃止。一番の理由は80年代レーガン政権が提案したSDI(戦略防衛構想)に否定的評価をしたのを共和党が恨んでいたこと。またTA的活動自体は連邦政府の色んな機関で分散的にやるようになっていたこと。

2011-08-27 02:47:20