死ぬのがこわくなくなる話 第30話

Twitter上で連載中の渡辺浩弐さんの長編小説をまとめました。
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渡辺浩弐 @kozysan

『死ぬのがこわくなくなる話』始めます。一瞬TLお騒がせします。電子メデイア上の執筆の可能性を追求しています。もしご興味感じられたら。途中乗車どうぞ。

2011-09-11 02:05:14
渡辺浩弐 @kozysan

連載を始めてから1ヶ月が経過した。ここでいったん、整理しておこう。まず、確認したい。あなたは、死にたくない。僕も同じだ。そこで、死なない方法を真剣に考えよう、と、いうところからスタートした。

2011-09-11 02:06:01
渡辺浩弐 @kozysan

1.肉体については、人工冬眠という大がかりな方法でなくても、DNAレベルなら簡単に、ほぼ完璧に半永久的に保存できる。修復と再生は、未来に託せばいい。

2011-09-11 02:06:21
渡辺浩弐 @kozysan

2.ただし、あなたをあなたと定義する「記憶」のアーカイブについては、新しいシステムを用意して今、行う必要がある。

2011-09-11 02:06:40
渡辺浩弐 @kozysan

3.肉体、記憶、それぞれの方法をほぼ完成させて、サービスを既に提供している(らしき)団体のサイト「SHINE」を発見した。

2011-09-11 02:07:20
渡辺浩弐 @kozysan

そして僕はこの「SHINE」運営元に問い合わせをして、取材を申し込もうと考えた。しかしこのサイトには連絡先が記されていない。これ以上深く知るためには、登録が必須だ。

2011-09-11 02:07:39
渡辺浩弐 @kozysan

(ここから先には、この連載がなければ進んでなかったと思います。)

2011-09-11 02:09:06
渡辺浩弐 @kozysan

試してみよう。捨てアド・偽名で申し込んでみよう。まずいと思ったら入金段階でキャンセルすればよいのだ。送信ボタンをクリックすると、やがて画面にこのような文章が表示された。

2011-09-11 02:09:40
渡辺浩弐 @kozysan

「自分の金だけではなく他人の金を借りてきても、盗んできても良いとしたらあなたは24時間でいくら集めることができますか」

2011-09-11 02:10:15
渡辺浩弐 @kozysan

返答を書き込む欄が点滅しているせいで、妙にせきたてられるような気持ちになり、あまり考えずに書き込んでしまった。すると次の質問が表示された。

2011-09-11 02:10:38
渡辺浩弐 @kozysan

「自分が死ぬことを免れる代わりなら自分の子供2人、父、母、うち何人までを殺せますか」

2011-09-11 02:13:14
渡辺浩弐 @kozysan

「過去未来問わず希望通りに生まれ変わることができるとしたら、どのような時代どのような場所を選びますか」

2011-09-11 02:14:33
渡辺浩弐 @kozysan

そんな質問が、全部で10問くらい。最後に黒画面に白文字が浮かび上がった。「ログインの申請を受け付けました。審査の上、その結果を24時間以内にお伝えします」

2011-09-11 02:14:51
渡辺浩弐 @kozysan

それだけだった。結果的には一方的に問いただされただけで、やはり何も手がかりは得られなかった。

2011-09-11 02:16:15
渡辺浩弐 @kozysan

それから一夜明けて。差出人「SHINE」からのメールが来た。ロックされていたが、前日に設定した暗証番号を打ち込んだら、開いた。

2011-09-11 02:18:05
渡辺浩弐 @kozysan

>渡辺浩弐様 大変申し訳ございませんが、厳正な審査の結果、貴殿の入会をお断りすることになりました。

2011-09-11 02:18:21
渡辺浩弐 @kozysan

簡素な一文だったが、その時ちょっと心がざわついた。

2011-09-11 02:18:43
渡辺浩弐 @kozysan

違和感の正体に気づくのに時間がかかった。知らせたはずのない僕の名があったことだ。そして返信を受けたのは記入した捨てアドではなく、僕がプライベート用に使っている、非公開のアドレスだったのだ。

2011-09-11 02:19:10
渡辺浩弐 @kozysan

つづきは、明日書きます。

2011-09-11 02:19:28