ゲイシャ・カラテ・シンカンセン・アンド・ヘル #6

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「死ね!ゾンビ野郎!死ね!」ホースバックはその目にラオモトへの狂信的な光を灯しながら、ピストルを連射する。絡まった右手の鎖付バズソーを切り離し、銃弾を避けるため座席ぞいに横走りするジェノサイド。座席や壁に並んだグラス、湯呑み、一升瓶、テキーラ瓶などが割れ、乗客の悲鳴と交じり合う。

2011-10-02 20:14:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((アバー、俺……俺は……何なんだ?)))ジェノサイドは座席の陰に隠れ、背を預けるように床に座り込んで銃撃をかわす。ここに身を隠すのは数秒が限界だ。その間に体勢を立て直さねば。左耳がキンキンとする。割れ飛んだサケボトルのせいか。いや、違う。彼の顔を見て隣で叫び声を上げる子供だ。

2011-10-02 20:22:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((昔も聞いたな)))彼がジェノサイドとなる前、プロフェッショナルの殺し屋として身を立てていた頃の、サツバツとした記憶が断片的に蘇る。腐って虫食い状になったニューロンの銀幕の中に、色褪せた白黒無声映画めいて繰り返し映し出される。(((俺が始末した野郎のガキの声だったか?)))

2011-10-02 20:33:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

あの夜彼は、最後の汚れ仕事を終えて完全にヒットマンの仕事から足を洗い、情婦とともにオキナワで静かに余生を過すはずだった。問題は、その情婦がヤクザクランのお偉いさんの所有物だったことだ。ヤクザクランはソウカイヤに彼の殺害を依頼し……ソウカイヤは生け捕りにした彼をリー先生に提供した。

2011-10-02 20:37:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゾンビーニンジャ計画の被験者となって殺され、そして復活した彼の自我と記憶は、腐ったアンコシチューのように混濁している。自分の名前すら忘れた殺し屋時代の記憶、ゼツメツ・ニンジャの記憶、そしてジェノサイドとなってからの記憶が混ざり合い……ニューロンの腐敗とともに欠落し続けているのだ。

2011-10-02 20:43:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((ニンジャでゾンビーか!二重に呪われてやがる!死んだ体で生きながら、朽ち果てるまでインガオホーの苦しみを味わうのか?ブッダよ!あんたは大層残酷な奴だ!てめえのオブツダンに小便をかけてやりたい気分だぜ!!)))ジェノサイドの胸をゼツメツ衝動が満たし、隣の少年を射竦める目で睨む。

2011-10-02 20:50:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((俺は何だっていいんだ、誰だって殺す!女子供も関係無しだ!ニンジャも殺す!それが一番手っ取り早いからな!ゼツメツだ!俺の安寧を邪魔する騒々しい奴らは、ゼツメツしてやる!)))ゼツメツ・ニンジャソウルの力が、左のバズソーを回転させる。少年は歯科医のドリル音を想起し押し黙った。

2011-10-02 20:55:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((まずはこのガキだ。それからこの新幹線の中にいる連中を、全員ゼツメツ…)))ここで不意に、ジェノサイドのニューロン内銀幕にゲイシャの姿が映った。ユリコ。そうだ、彼女もこの列車内にいるのだ。この映像はオスモウバーの記憶か?いや……違う…(((俺は以前にも、ユリコと……?!)))

2011-10-02 21:03:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ジェノサイドは少年の眼前まで近づけていたバズソーを引き、バンザイテキーラで濡れた床を強く蹴って、座席の背もたれ上を飛び渡る。まっしぐらに、ダイミョ車両へと。「てめえの腐った体からは便器の臭いがするぜ!」ホースバックもバリケードから飛び出し、射撃を続けながらジェノサイドを追った。

2011-10-02 21:23:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」振り向きざま、ジェノサイドは左のバズソーを投げ放つ。だが高い!かわすまでもなく、相手の頭上を通過。ナムサン!「どこ狙ってやがる腐れ脳味噌!」嘲笑いながら銃弾を高速手篭めするホースバック。だがその直後、頭上でバズソーが何かを切断する音と、バチバチという嫌な音が鳴った。

2011-10-02 21:35:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ブッダファ…」ホースバックは装填し終えたピストルで頭上のシーリングファンを破壊するか、それとも単純に回避するかで一瞬迷った。その迷いが、ニンジャの戦闘においては致命的であった。素早いサイドステップで回避し、前方に銃口を向けなおした時、すでにジェノサイドが大きく跳躍してきていた。

2011-10-02 21:42:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

跳躍してきたジェノサイドはホースバックを正面から押し倒し、すかさずマウントポジションを奪う!「俺は…」ゾンビーニンジャの怪力がホースバックの手首を掴み、ピストルを持った手を720度回転させてねじ切った。ネクロカラテ!さらに喉元へ爪をめり込ませる!「グワーッ!」「ジェノサイドだ!」

2011-10-02 21:48:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ジェノサイドの濁った目は敵の首に巻かれたウエスタンバンダナを発見し、左手でそれを引きちぎる。それから喉に突き刺していた右手に力を篭め、頭部を切断し放り投げた。「サヨナラ!」爆発四散するホースバック!立ち上がったジェノサイドはバンダナを巻いて口元を隠し、前方のダイミョ車両へと急ぐ!

2011-10-02 21:57:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方その頃、新幹線の屋根の上では。敷き詰められた黒いナノカーボンタタミの上で、別なニンジャたちによるゴジュッポ・ヒャッポめいた戦いが続行していた。

2011-10-02 22:07:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」振り下ろされるニンジャスレイヤーのカラテ!強化ダイヤモンドチタン製のバックラーでこれを受け止めながら、脛部分を横薙ぎに切り払うグラディエイターのグラディウス短剣。ニンジャスレイヤーはこれを紙一重のジャンプで回避し、そのまま腰を捻って蹴りを胸に叩き込む!「グワーッ!」

2011-10-02 22:16:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あれは伝説のカラテ技、ローリングソバット!」キョート城の観戦の間では、パラゴンがその豊富な知識を駆使し、主君の戦闘観戦をサポートしていた「格闘スタイルの一部に、ドラゴンニンジャ・クランのそれが混じっておりますな、マイロード」。「ムフォーフォーフォー」ロードは無表情な笑いを返す。

2011-10-02 22:36:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グラディエイターの実力は低くありませぬ。ソウルはさほど強力ではありませぬが」パラゴンは直結LANケーブル経由でザイバツ機密ファイルにアクセス「ニンジャソウル憑依前から、凶暴なメキシコライオンを剣一本で殺し、シャドー・コンで連続優勝を果たしておりました」。「ムフォーフォーフォー」

2011-10-02 22:47:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ソバットを受け後方に後ずさりするグラディエイター。その首をチョップでへし折るべく、ニンジャスレイヤーが突き進んだ。グラディエイターは舌打しながら高くジャンプし緊急回避。だがそれは悪手!ニンジャスレイヤーは敵が無防備になる着地の隙にカラテを合わせるべく、ジュー・ジツを構えなおした。

2011-10-02 22:55:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だが、真のウカツはどちらだ?「イヤーッ!」ヘッジホッグもまた高く跳躍し、ニンジャ集中力を高めてバイオ無線LANの出力を増大させた。「アバーッ!?」サイバー車掌が遠隔ハッキングを受け、吐血!その直後、ブーストされた新幹線のジェットエンジンから、火竜の舌めいた猛烈な炎が吐き出された!

2011-10-02 23:05:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

普段はエンジン部から数メートルしか噴射していない炎が、一気に数十メートルに達し、新幹線の屋根上に存在する全てを呑みこんだのである。ナムサン!「フォーフォーフォー、やる」ロードは愉快そうにワインで口を潤した。「フォビアも……見えませんが、IRCで連携し回避しているはず」とパラゴン。

2011-10-02 23:14:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは回避を試みるも間に合わず、ジェット噴射に巻き込まれ、火達磨になってカーボンタタミの上を転がる。凄まじいダメージ!だが間一髪ともいえる。ガードが甘ければ、彼は今頃そこかしこにマグロめいて転がっているクローンヤクザと同様の黒焦死体を晒していただろう。

2011-10-02 23:31:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは、カーボンタタミを叩きながら左右に高速で転がる。「あれはチャドーの奥義、ウケミ!」パラゴンが舌を巻いた「物理的ダメージや熱エネルギーをタタミへと逃がすというのか!」ミスティック!見る間に炎が消える!ナラクの力を失ったフジキドは、チャドーの鍛錬を重ねていたのだ!

2011-10-02 23:42:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「チャドー!?ムフォーフォーフォーフォー」ロード・オブ・ザイバツも驚きを隠せない。太古の暗殺拳チャドーは神秘的なワザであり、その存在は数百年以上に渡って謎に包まれてきた。「すでに滅びたものと思われましたが……」パラゴンが繋ぐ「しかし、チャドーは体力と精神力を烈しく消費するはず!」

2011-10-02 23:50:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

実際その通りであった。体を起こしてジュー・ジツを構え直す前に、フジキドはグラディエイターの接近を許してしまったのだ。「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」心臓を狙い、グラディウス短剣が連続でタタミに突き立てられる!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」転がって回避するニンジャスレイヤー!

2011-10-02 23:57:13