モータル・ニンジャ・レジスター #5
(あらすじ:電撃作戦でソウカイヤを滅ぼしキョートへ凱旋したザイバツ・シャドーギルドだったが、成功に影を落とす異常事態が水面下で進行していた。14名のザイバツニンジャ誅殺を予告するビラがガイオン上層の至る所に撒かれているのだ。現に、そこへ名を挙げられたニンジャが次々に死んでゆく)
2011-10-18 11:09:24(暗殺者の名はニンジャスレイヤー。彼は数年前のマルノウチ・スゴイタカイビル抗争の参戦者を狙い撃ちにしていた。四人のニンジャ……サンバーン、センチュリオン、ディヴァーラー、デジタルワスプは、襲撃を待たず、自ら打って出る。チラシ作成者を捕えニンジャスレイヤーをおびき出したのだ)
2011-10-18 11:16:11(だがそれすらも結果的にニンジャスレイヤーの手の内であった。サポート役のデジタルワスプは既に殺されており、のこのこ印刷所へ出向いた残る三人はニンジャスレイヤーのアンブッシュを受け、まずセンチュリオンが何も出来ぬままに死亡。続いてサンバーンが全力で迎え撃つがやはり爆発四散した)
2011-10-18 11:20:09(作戦を立て直すべくその場を逃れたディヴァーラーを今、無慈悲な殺戮のマシーンと化したニンジャスレイヤーが追う!カラダニキヲツケテネ!)
2011-10-18 11:22:54「ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ……」ディヴァーラーは荒い息を吐きながら、賽銭チェストにもたれて死んだボンズを見下ろしていた。このテンプルの主である。殺したのはディヴァーラーだ。無実の市民を殺した事で、彼の恐怖心は驚くほどに中和され、心拍数も平常に戻りつつあった。 2
2011-10-18 11:46:26「フー……こんな時は聖職者を殺すに限るぜ」凶悪なニンジャの顔を取り戻したディヴァーラーは本堂のフスマを蹴って破壊し、闖入した。深夜であるから、他に働いているスタッフの姿は無い。木彫りの巨大なボーディサットヴァ像がアルカイックな笑みで彼を見下ろす。「邪魔するぜ」 3
2011-10-18 11:52:40木彫り像の脇の一段高いスペースはボンズブースとなっており、台座の上にモクギョとUNIXデッキがある。普段は詰めかけた信者相手にこの台座からボンズが説法を行うわけだ。ディヴァーラーは回転ジャンプして台座の向こう側へ着地し、電源が入ったままのUNIXとLAN直結した。 4
2011-10-18 12:24:11彼は素早くキーをパンチし、パーガトリーにノーティスを送る。||デジタルワスプ=サンが殺され、今日の襲撃計画が漏れています。サンバーン=サンとセンチュリオン=サンが実際死にました|| ……リプライが遅い。ディヴァーラーは苛々と、無意味なpingコマンドを繰り返した。 5
2011-10-18 12:35:46(サンバーン=サン、センチュリオン=サン、サラバ)ディヴァーラーは悼んだ。サンバーンから一分ごとに送られてくるべき生体通信信号が途絶えている。つまり、勝てなかったのだ。(こんな事があっていいハズは無い……俺達が侮っていたというのか?あいつはまるでデタラメだ。どうにかせねば) 6
2011-10-18 12:42:23永遠とも思える待機時間は数分程度であった。パーガトリーからのリプライである。||そちらへコンジャラー=サンを送った。必ず仕留めるべし|| ……コンジャラー!そうだ、リストにはまだ奴がいた。ディヴァーラーは大きく息を吐いた。これで勝てるかも知れない。今度はアンブッシュは無い。 7
2011-10-18 12:47:53(ニンジャスレイヤー……まぐれ勝ち続きで調子に乗ってやがる。そうそう奇跡が繰り返されると思うな)ディヴァーラーは暗く思いを巡らす。そして禍々しい鉤トゲで覆われた己のブレーサーに触れた。(コンジャラー=サンとの連携殺法だ。骨の髄までソウルを削り尽くして、ドゲザさせて殺してやる) 8
2011-10-18 13:13:39ディヴァーラーは武者震いした。(これだけ騒ぎになっているんだ。奴を仕留めれば位階昇進の目もある)そこまで考えた彼のニューロンに一筋の違和感が引っかかった。(騒ぎ……騒ぎ。騒ぎになっているか?コンジャラー=サンもあの14人の一人……ザイバツは……ロードはどう判断されているのか) 9
2011-10-18 13:21:00違和感は澱みとなってディヴァーラーの闘争心に影を落とす。(まるであの日のミッション参加者の中で話を完結させているような……ニンジャスレイヤーに対し、グランドマスターはともかくシテンノも出て来ない……ザイバツは何をしている?)ディヴァーラーは首を振る。(いや。何を他力本願な) 10
2011-10-18 13:43:50そうだ。これはパーガトリー=サン、スローハンド=サンの計らいであろう。ザイバツ全体に公になるまえに事態を収拾すべしという事だ。実際このまま事実がロードや円卓全体に伝われば、当事者はまず間違いなくケジメ……セプクまである!それはダメだ。名誉を守らねば!「やるしかない!」 11
2011-10-18 13:48:07ドンツクドン……。ドンツクドン……。石段を昇り「慈悲仏寺」のオフダが掲げられたトリイ・ゲートをくぐると、テンプルの方角から重低音のビートが聴こえてくる。ディヴァーラーのニンジャソウル痕跡もその方角だ。追跡はうまくいっている。テンプルの中か?ニンジャスレイヤーは警戒を強める。 13
2011-10-18 14:35:24ドンツクドン……。ドンツクドン……。ゼン・レイヴめいたビートは、ウシミツアワーを過ぎて無人のテンプルの敷地にあって不気味だった。頭上は息苦しい隔壁。トモエ紋様が凹凸で描かれた白砂を貫く石畳を注意深く踏みしめ、ニンジャスレイヤーは進む。賽銭チェストに血の痕。 14
2011-10-18 14:42:20「……」ニンジャスレイヤーは殺人の痕跡を一瞥すると、開け放たれた本堂の中を睨んだ。ジュー・ジツの構えを取り、摺り足で中へと進んでゆく。ナムアミダブツ!ボーディサットヴァ像の首筋に、死んだボンズが逆さ吊りになっている。なんたる禍々しい犯行の現場か! 15
2011-10-18 14:54:36ニンジャスレイヤーは全方位に警戒の感覚を張り巡らせた。ドンツクドン!ドンツクドン!カカカカカカカカ……イヨォー!ボンズブースのウーハー付きスピーカーシステムから流れる大音量のビートがブレイクに入る……その時!「イヤーッ!」 16
2011-10-18 15:17:35背後のタタミが跳ね上がり、床下から錆色のニンジャが飛び出した!錆色のニンジャすなわちディヴァーラーは空中パンチで襲いかかる!「!……イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはニンジャ反射神経で危うくこのタツジン的なドトン・アンブッシュに反応、チョップを打ち返す! 17
2011-10-18 15:29:50「ハッハー!バカめが!」空中からディヴァーラーは素早いパンチの連撃を繰り出す。ニンジャスレイヤーのチョップが押し返される。いや、どこか様子がおかしい!「ヌウッ……これは」ニンジャスレイヤーはさらなる反撃を断念、ガードしながら後ずさる。「イヤーッ!」ディヴァーラーの回し蹴り! 18
2011-10-18 15:33:27ニンジャスレイヤーはこれをガード!「ヌゥッ!?」ニンジャスレイヤーは呻き、後ずさる。「苦しいか!ニンジャスレイヤー=サン!」ディヴァーラーはさらに踏み込みながらのラッシュを繰り出し、叫んだ。「これが俺のカラテだ。名を『ケズリ』と言う!」両手両足装甲の鉤トゲが貪婪に輝いた! 19
2011-10-18 15:37:53「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ギャリギャリギャリ!ディヴァーラーの格闘装甲がニンジャスレイヤーにぶつかるたびにゼン・ビートを切り裂き轟くグラインド音!「おのれ……これは」「ハッハァー!」なぜだ!なぜ反撃しないニンジャスレイヤー! 20
2011-10-18 15:42:53