#この書き出しいかがですか まとめその2(2/27,28)
春は阿部さん。漸う広くなりゆく生え際。少しあかりて白く頭髪のたなびきたる。 #書き出し 「こらそこ、ふざけてないで口語訳する!」「はぁい」「叱られてやんの」「うるせぇ」ええと、夏は阿部さん。月夜の頃はもちろん、闇の中でうろうろしてるのもはんたーぽくてよい、と。「こらそこ!」
2012-02-27 00:07:01僕が知らないのは、空が青いことだけだ。ベッドから見上げる空はきょうも、四角くて茶色い。枕元にふせた百科事典の第五巻は、七度めの通読の途中。すごいね、賢いね、勉強熱心ね、が口癖の看護士に体温計を渡す。このナース服の水色と空の青は、どんなふうにか違うのかなあ。 #書き出し
2012-02-27 15:59:58「頸動脈にね、流れ星が突き刺さる妄想をするの」彼女は言った。ピアノ、きらきら星を弾きながら言う言葉ではなかった。「鋭く熱い流れ星なら血が吹きだす暇もくれないから」固まったそのままに終わるのよ、と。「君の頸動脈はそんなに脆弱なの?」「あら、違うわ。貴方の話よ」 #書き出し
2012-02-27 00:05:56「頸動脈にね、流れ星が突き刺さる妄想をするの」彼女は僕の首筋を撫でた。「刺さったままなら貴方はきっと死なないわ。だから私、星に願うの。どうか砕けて下さいって。そこで初めて貴方は死ぬの。」僕の彼女は面倒臭い。ここまでを訳し答えるとこうだ。「愛してる。」「私も。」ご名答。#書き出し
2012-02-27 16:29:12@null 「頸動脈にね、流れ星が突き刺さる妄想をするの」という彼女の首から血液が噴き出すのを妄想する。赤い血。ああ、暗い色が混じっているね。静脈にも傷がついたのかな。噴出し続けるその血はハレーのしっぽだ。私は自転車のチューブをくわえて、過ぎ去るのを待とう。 #書き出し
2012-02-27 19:19:29@null 「頸動脈にね、流れ星が突き刺さる妄想をするの」と言った彼女の首から血液が噴き出す。赤い血。ああ、暗い色が混じっているね。静脈にも傷がついたのかな。噴出し続けるその血はハレーのしっぽだ。私は自転車のチューブをくわえて、過ぎ去るのを待つ――妄想をする。 #書き出し
2012-02-27 19:29:41「頸動脈にね、流れ星が突き刺さる妄想をするの」 彼女の突発性幻想癖が炸裂するたび僕の脳はじりじりと焼ける。終末を飾るにはあまりにも美しすぎる残酷さに、目眩も否めないよ。まだきみをあいしていたい。 #書き出し
2012-02-28 08:53:50私が立ち上がろうとすると、いつものように地軸が急に傾いて私を押し倒した、私は地球に嫌われている。 #この書き出しいかがですか
2012-02-26 22:00:22私が立ち上がろうとすると、いつものように地軸が急に傾いて私を押し倒した、私は地球に嫌われている。雨降りに傘を買えば晴れて虹が顔を出す。とにかく転ぶ。脱出するぞとロケットに乗ると毎度地球に逆戻り。「好きだから倒すし虹出すし離さないの。転ぶのは知らん。」愛は時々見えにくい。#書き出し
2012-02-27 12:37:23私が立ち上がろうとすると、いつものように地軸が急に傾いて私を押し倒した、私は地球に嫌われている。とんだ恋敵。「よく転ぶよね。それで営業大丈夫なの?」目の前の白い足首の持ち主の笑い声がふる。「ね。日曜、鍾乳洞にしようよ。隣の市の」だめだ。洞窟なんて。おまえ、囚われるぞ。 #書き出し
2012-02-28 21:20:47帰宅して直ぐに鳴り響いた電子音。受話器越しに流れるバッド・ニュース。僕自身の喉は哀しみの代わりに歪んだ笑みを鳴らす。「何笑ってんだ」咎める、怒りの声。分かってる癖に、と漏らす僕の涙は無味。「なら、僕も行かなきゃね」正装に花束抱え、彼女の地平へ。「今生ではお別れだ」 #書き出し
2012-02-27 19:54:52おはようと彼は陽気に声を掛けてきたが、外は既に夜の帳がおりていた。 #この書き出しいかがですか
2012-02-26 22:20:20おはようと彼は陽気に声を掛けてきたが、外は既に夜の帳がおりていた。まあ無理もないか、と鍵に付けた輪を回しながら思う。彼から昼と夜を奪ったのは自分だ。物心の付かぬうちに外界から切り離したおかげで、彼はペットとしての己に疑問を抱かない。首輪から伸びた鎖がちゃり、と鳴った。 #書き出し
2012-02-27 00:20:19どうしてあのとき、きみの手をはなしてしまったんだろう。 #この書き出しいかがですか ありきたりかなあ。これも押入れと化したフォルダから。
2012-02-26 22:21:10ありきたりかなあ。これも押入れと化したフォルダから。昔書いた稚拙な詩をツイッターで呟く。早速リプライが…何と、相手の名は嘗てその詩を送った人。「懐かしくて何だか泣けました。ありがとう」どうしてあのとき、きみの手をはなしてしまったんだろう。 #書き出し @glitter_empty
2012-02-27 08:05:02どうしてあのとき、きみの手をはなしてしまったんだろう。墓前に花を手向けながら、悔いを吐く。真っ青な、母なる海に堕ちていく君が美しくて、ずっと眺めていたくて。僕は君の跡を追えなかった。あのとき、僕も堕ちていれば今こんなに苦しく無かったのかもしれない。君を失い遺るは後悔。 #書き出し
2012-02-27 20:01:09この道を抜ければ海に出る。彼が指差したのは住宅街のただ中だった。「海ですか」「そうです」それはひたすら雑多とした場所でありながら、深く。きっと透明に濁った場所。「僕の海です」きっと君も気に入るから。彼の赤い指先は海には不似合いそうだった。 #書き出し
2012-02-27 00:08:00@null 広大な海を目の前に、僕は立ち尽くしていた。これが今まで焦がれてきた海だとは、俄かに信じられなかった。想像より遥かに大きく、遥かに美しい。鼻孔を掠める潮の香りに胸がいっぱいになった。大きな帆を張った船が悠然と僕の眼前を横切る。 #書き出し
2012-02-27 01:23:29広大な海を目の前に、僕は立ち尽くしていた。水面は輝き美しく誘う。けれど僕は知っている。大勢の仲間がこの海に飲み込まれた事を。息をのむ。臆してはいけない。この先の世界へ旅立つのだ。びしゃ。「長靴だからって水たまり入らないの!」ママ、男には行かなきゃいけない時があるんだぜ。#書き出し
2012-02-27 08:46:41