もう息が続かないよ、そんなことを恥ずかしそうに君は言った。ご、ごめん……。若い僕もおくれて恥ずかしくなって顔をそむけた。慣れないキスなんてするもんじゃない。そんな風に思ったはずなのに。ファーストキスの思い出ばかりが頭を巡る。最後にまた君にキスができて良かった。 #書き出し
2012-04-14 19:15:22もう息が続かないの? そんなからかう声が隣から聞こえた。仕方ないじゃないか、僕は君みたいなエラ呼吸じゃなくて肺呼吸なんだから。そういいかえしてやりたいのに口から出てくるのはブクブクと泡ばかり。クスクスと可愛く笑う彼女をしり目に、僕は空に向かって水を蹴った。 #書き出し
2012-04-14 19:19:18もう息が続かない。鼻孔から入り込んだ毒素がじりじりと肺を焼いていく感覚に、空気清浄装置の故障を知ったのはずっと前だ。機器不足は端から分かってこの任務を選んだ。けれど、未知の敵に銃弾を撃ち込みながら、最後に胸いっぱい綺麗な空気を吸いたかったと、そう願うのは罪だろうか。 #書き出し
2012-04-14 19:24:55もう息が続かない。首の骨のきしむ音と血の激しく流れる音ばかりが耳の奥で聞こえて、目の前の友人が何を言っているのかなんてさっぱりわからない。首を絞められてて酸素が足りないせいでもある。もしかして、彼女を盗ってしまったことがバレたのかな、なんて他人事みたいに考えたりして。 #書き出し
2012-04-14 19:57:57尊敬と侮蔑を一言に詰めた。伝わると思った。胸の高鳴りも虚しく彼は笑う。切実な感情のどちらを読み取られたとしても、この無難な微笑は凍てついたままだろう。 「 」 記憶に新しい言葉が突き返される。詰め込んだ期待は全て抜け切り、無様に潰れていた。 #書き出し
2012-04-15 17:29:36友達ごっこも大変ね。裏切って、疑って、嫌って、拒絶して、見捨てて、嘘で固めて、騙して、…そんな事ばかりじゃない。もう疲れたから、ごっこを終わらせようと思うよ。--僕と(ボクと)友達になってよ。彼は、まどろっこしい言い方すんな、と嬉しそうに笑った。--笑って、くれた。#書き出し
2012-04-14 14:56:28なんでそんな目で僕を見るの。僕は、僕を見てほしいのに。いつもいつも君の目は、僕を通り過ぎて後ろに父を透かし見ている。君が求めているのは父の影で背中で、もういないひとで、だったら僕はもう、どうしたってそれを越えることはないじゃないか。僕は僕を、君だけに見てほしいのに。 #書き出し
2012-04-14 16:07:16@sousakuTL キミの声は忘れない。だから、キミも僕の声を忘れないで欲しい。…もうすぐ僕の命の灯が消える。目の前には大鎌を持った堕天使がいた。「…もういいのか?」僕はうなずいた。「…わかった」大鎌を持ち上げ、堕天使はそれを振り下ろした。 #書き出し
2012-04-14 23:52:08僕の体で君が咲けるなら、いくらでも栄養になってあげる。これが、君に捧ぐ愛。蟷螂の愛にも似ていた。君は僕の体を全て喰らい尽くす。無論、心も…君が身体で生きていくよ。君は、美しく咲き誇っていたね…もう見守れないけど。血染めの口元が僕の在った証。 #書き出し
2012-04-14 20:50:07灰が、今日も僕を白く埋め尽くしてく。風上に背を向けて目元を拭い、同じく白に塗りつぶされた街を眺める。世界が色を失って、もう何日経っただろう。ごう、と一際強い風が、僕の背を殴り付けて街を襲う。舞い上がった灰が陽の光に輝いて、僕の目を潰した。 #書き出し
2012-04-14 15:58:44「桜が咲いたら目を覚ましてあげる」… そう聞こえた気がした。俺が歩いてきた道に桜の樹すらないはずなのに。だがしかし、そんなことは俺が目を開けない限りわからない。桜の樹があるのかも、この声の主も。 @ayakashi_bot #書き出し
2012-04-15 11:40:24