『エロゲ業界のはいりかた』に見る『プロとアマの越えられない壁』の話
【承前】具体的なシナリオライティングのテクニックは、涼元さんの本などを読むと良いと思います。→以前書評を書きました。 RT 感動を伝えるための計算【書評】涼元悠一『ノベルゲームのシナリオ作成技法』 http://t.co/w5XdUzVV
2012-05-20 23:17:21【承前】ハリウッド系のシナリオ本も良いですね。それにも増して大事なのは、過去、小説や映画やアニメや漫画など何でも良いのですが、それらをどれだけ感動と共に自分の頭にインプットしてきたのか。物語作りのパターンを頭の無意識領域に詰め込みたいところです。例えば、映画千本は観たいところ。
2012-05-20 23:20:16【承前】ただ数をこなすだけではなく、「自分の興味・関心に従って」社会人になるまでにひたすら観て、読んでおくべきです。無意識の中にそれらが渾然一体となり、いつか新しい「ひらめき」としてアウトプットされるでしょう。インプットが足りないと、アウトプットも貧困になります。
2012-05-20 23:23:14【承前】もちろん、実人生での体験も同様に重要でしょう。小学生の頃の家族とのキャンプや、ほろ苦く失敗に終わった初恋などは、何より貴重なあなたの財産になります。社会に出るまでは、そして社会に出てからも、自分の体験は創作物の視聴体験と同様に重要なインプットです。
2012-05-20 23:26:08【承前】とはいえ情報過多の昨今、深夜アニメからまとめサイトまで参考になりそうな情報の渦に飲み込まれ、インプットばかりしていては何も生み出せません。「インプット・アウトプットバランス」が大事だと思います。僕は何より大事にすべきなのはただ一つ、自分の「興味」だと思っています。
2012-05-20 23:37:47【承前】例えば僕は、小5くらいの時にTVの夏休みスペシャルでビデオ録画した「うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー」を観て、異常に引き込まれました。日常と廃墟が交錯する映像のセンスや、独特のセリフ回し。幻想的な音楽。「なぜこのアニメは他のアニメより面白いのだろう?」
2012-05-20 23:44:07【承前】その理由が簡単にはわからず、何十回も見返して、同じ押井監督の別の作品を観る。スタッフクレジットを見る。アニメの仕組みについて考えていく。富野アニメと比較してもいいし、宮崎アニメや、参考になっていると思われる実写のゴダールやフェリーニ、タルコフスキーに行ってもいいわけです。
2012-05-20 23:47:11【承前】大事なのは、「偉い人が見ろって言ってるから見る」のではなく、あくまで自分の「興味」を大事にするという事。わずかな自分の「興味」から糸をたぐり寄せるように、関連する別の情報にアクセスしていくことです。主体的に情報を摂取していかないと、情報の海に溺れてしまいます。
2012-05-20 23:49:20【承前】若い人はこれにやられていると思う。膨大な歴史のデータベースの前に呆然としてしまうのです。最低限の教養というものはありますが、でもそんなデータベースを全部知る必要はない。わずかな自分の胸に芽生えた興味、「わくわくする気持ち」は、あなたの一番大事な宝物なのです。
2012-05-20 23:52:45【承前】僕は、ライターはできるだけ大学に行くべきだと思っています。そこには自由な時間があり、国語能力も大学受験で鍛えられているはず。映画ばかり観てもいいし、同級生だけでなくOBや教授陣など色んな人を見て、人脈を得る事もできるでしょう。25歳くらいまではインプットを増やすべきです。
2012-05-20 23:58:48【承前】小説やシナリオは、書いている人間の教養が文章にもろに出てしまいます。読者が「このライター、俺よりものを知らないな」とか「先が読めるよ」などと舐められたら、楽しんでもらえなくなります。ライターの力量はその人間の教養力やコミュ力、ひらめき、機転などに依存するのです。
2012-05-21 00:01:32【承前】個人的な考えですが、「十代で作家デビュー」とか、あり得ない感じです…。若造が書いた物語はやはり「若造なり」の若さが出てしまうからです。25歳から30歳くらいまでは、じっくりインプットを増やしていくべきだと個人的には思っています。「急がば回れ」です。反論あるでしょうけど。
2012-05-21 00:04:03【承前】もちろん、若くても書きたいものはSSや同人誌などでどんどん書いていくべきだと思いますよ。僕が初めてシナリオを書いたのは17歳、高校二年時の演劇用のシナリオです。とても読めたものではありませんが…。ただ25くらいまではじっくり腰を据えて勉強してもいいのでは?という事です。
2012-05-21 00:06:14【承前】最後に。ライターもグラフィッカーも、声優も音楽もそうですが、新人さんを起用するには「実績がないと怖いな」というのが、会社側の考える事です。だから、若い人はなんとかして職務経歴書に書けるような実績を積む事を優先的に考えるべきです。最初は同人でも、ニコニコ動画でもいいです。
2012-05-21 00:10:06【承前】経歴はできたら客観的なものがいいです。そしてなんとかコネを作って商業作品への参加経歴を増やしていきましょう。今は即売会やTwitterなど、業界人と仲良くなりやすい時代です。すでにツールは揃っているのです。積極的に声をかければ、何か見えてくるものもあるはずです。(終わり)
2012-05-21 00:15:23ふぅー。終わり……えらく長くなりました。今回は「就職」について絞ったけど、「起業」について書くという考えもありました。でも「就職」の方がみんな聞きたいのかな、と思って。
2012-05-21 00:16:54【承前・補足】一般論として「ライターは大学に行くべき」と書きましたが、高卒のライターさんと仕事もしていますし、別の何かでフォローできないという事はないです。本意は20代前半は地道なインプットなり経験なりを積んで欲しいという事で、学歴差別が本意ではないです。人生それぞれ。
2012-05-21 07:13:57【承前・捕捉2】文筆業や編集職希望なら、大学は行っておいた方がいい、というアドバイスはします。しかし経済的・家庭的な要因もありますので強制はできない。そして学校に関係なく、「一生勉強」が当たり前の時代でもありますね。技術や流行の変化、すごく早いですから。
2012-05-21 06:13:15