論理ゲームとミステリとうみねこと
で、「ひぐらし」への言及はあっても、「うみねこ」への言及は当たり前にように存在しないこの流れ。大場つぐみが「ラッキーマン」以前の作品のみについて語られ、「デスノート」「バクマン」がスルーされてるような違和感。
2010-06-27 15:17:24どうも、「ミステリ」というジャンル文脈は、人間が生得的に獲得している普遍的な認識だとみなされているような。バトルものや成長譚と比べて、「ミステリー」って圧倒的に人造的で、チュートリアルがないと理解できない領域だと思うんですが、そういう知識に触れる機会自体が減っているのでは。
2010-06-27 15:24:57島荘とか最大御所の本格作品まで含めて、ミステリに「論理的驚き」を期待することはほとんどないです。自然言語ベースで合理的に厳密な推理を行うのはほとんど不可能というのもあるし、推理小説ジャンルの平均的な論理学的リテラシーがかなりザル、だったりとか。
2010-06-27 15:37:11いま『九マイルは遠すぎる』を読んでます。言うまでもなく、この作品で繰り広げられる推理は「ロジカル」の皮を被ったギャグで、推理小説の論理的ザルさに対する見事に批評的な皮肉になっている。もちろん、これが本当に論理的で合理的な推理だと思うのは、MMRを真に受けることと同程度にはやばい。
2010-06-27 15:43:08@sajiki いえ、論理学的整合性よりも、「解答の驚き」「読んで面白いこと」が優先されるからです。だから、問題と解の組み合わせの可能性が一対一になるまで推理を追求する作品ってなかなか存在しません。そこまで追求しても面白くならない、という話でもありますが。
2010-06-27 15:46:35ミステリっていうジャンルは基本的に「論理的ザルさに目をつぶろう」っていうお約束を形成させる方向に進化しましたよね。「論理的に整合取れてないけど、まあこれがミステリのお約束だから」って流す感じ。そういうジャンルのお約束は勿論あってよくて、時代劇でいちいちお歯黒してないのと同じ。
2010-06-27 15:49:03@valerico つまり、そういう意味では他のジャンルと変わらないということですかね。「この展開はご都合主義的だけど、面白いから許す」みたいな。逆に面白くないとそこに突っ込みが入ったりすると
2010-06-27 15:54:20@valerico 歌舞伎みたいに型があり、そのなかで評価があったり、というのをみた記憶があります。普段意識してませんが、そういうお約束、たくさんあるのでしょうね。ミステリに。
2010-06-27 15:58:23. @Operative486 そういう「ミステリーのお約束」を次代に伝える仕事、いまは何が担ってるのかなーと思いました。コナンくんとか二時間ドラマ……?
2010-06-27 16:06:34論理的に考えてこの解答はおかしい! って指摘することはわりと容易に可能で、ミステリで論理的驚きを追求するならこの方向性。でも「論理的に考えてこの解答しかない!」って言い出すとトンデモになります。ただこういうのも、ジャンルミステリでは普通に容認されている。
2010-06-27 15:51:34@valerico 「うみねこ」はそのどこまで許されるかに、かなり意欲的に挑戦しているというか、ミステリというジャンルをたたき台に新しいとこに連れてってくれそうとぼくは期待しています。
2010-06-27 16:05:35. @sajiki そうです。うみねこのトリックが凡庸なのは分かりきったことで、それより面白いのは、あれが「論理のザルな自然言語メディア」という舞台の上で、あえて論理ゲームを成立させるためにいろいろやってる点。だから「魔女のゲーム」の赤字システムとかはすごい必然的なんです。
2010-06-27 16:08:36探偵と犯人(というと語弊があるけど)が、いつどの推理を指摘するか、またどの情報を提示するか、そのタイミングを虎視眈々と見計らうリアルタイムの駆け引きが『うみねこ』の論理遊びの妙で、この点だけとってもうみねこの中で行われているのは明らかに「ゲーム」です。
2010-06-27 16:15:55論理ゲームという意味では、『うみねこ』と『デスノート』と『ライアーゲーム』は同じ分類に入ります。うみねこを推理小説ジャンルのお約束に位置づけるよりは、実のところよほど適切。ところで今ぐぐったら、うみねこ×ライアーゲームネタのニコニコ動画がありましたね。
2010-06-27 16:13:02だから無闇に「うみねこは新しいんだよ!」とか言おうとすると、「それミステリーではやってないけど、ライアーゲームとかでやってね?」「ウミガメのスープっていうゲームがあって……」と簡単に反論されちゃうので注意ですね。すぐ新しさに結びつけちゃうのは筋が悪い、というのは最近学んだ教訓。
2010-06-27 16:22:28「新しい」ことはそれ単体では何の価値もない。だから、むしろ「この発想自分は初めて見たけど、過去にも同じこと考えた人いなかったの?」という方向に目を向けた方が多分前向き。その上で、過去の例と比べてその作品にどんな差異があるかを検討すれば、はじめて前向きに「新しい」と言えるのかなと。
2010-06-27 16:26:54. @sajiki 誰かにそう言われたわけではなく、「うみねこ凄い! 新しい!」とか息巻いて具体的に考えた結果あれ、同様のエッセンスを含んだ作品って過去にもいろいろ存在してない?」という疑問に行き当たった感じです。それがさっきの発言にも繋がるわけですが。
2010-06-27 16:56:38『うみねこ』には作中ゲーム固有のルールがあって、その中で「勝利条件」を満たすために対戦相手との駆け引きといった「プレイ」をします。探偵側が情報確認のタイミングを伺うのはゲームを有利にするための行動であって、普通の推理小説のように「事件の真相を解明する」ためには不要な手続きです。
2010-06-27 17:02:23またゲームの状況によっては、「事件の真相を解明する」こと自体が目的から外れることすらありえます。誰かの無実を証明するとか、既にフェイクと分かっている情報を根拠に推理を組み立てるとか。さらに拡張パック的な追加ルールがもたらされる状況もあり、その度に戦略が変化します。
2010-06-27 17:05:40ジャンル的なお約束の中で「事件の真相を解明すること」を一度放棄し、作中オリジナルに定義されたゲームルールに基づいて勝利条件を満たすことが最優先される点で、うみねこは「推理もの」として特殊です。でもそういう特徴は『ライアーゲーム』なんかが当たり前に備えている要素だな、っと。
2010-06-27 17:12:36. @sajiki だから勿論『ライアーゲーム』に限る必要はなくて、ルールに基づいて進行する論理ゲーム作品全般? にうみねこも含まれるよねー、という話にまずは落ち着きますね。カイジとかもそうです。あまり指摘されてませんが、雰囲気としてはひぐらしの部活シーンに回帰してる感もある。
2010-06-27 17:17:42