@KONFUNK さんの、故・畑中純先生との思い出

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畑中さんが凄い勢いで版木に彫刻刀を入れていくのを横でジッと見ていたこともありました。絵を描くのも速かったし、彫るのも超人的なスピードでした。奥様が作ってくれた料理を食べながら、何時間も仕事場に居座る僕に、畑中さんは手を動かしながらいろんな話をしてくれました。

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多摩川の話、伊藤整の話、ヤクザの勢力図の最新情報、大好きなつげ義春さんの話、「友へ　チング」の話、小林旭と桑田佳祐の歌の話、どの芸能人がゲイか話（この話が大好きだった）、お子さんの話、大学の話、ホントに色んな話を畑中さんはしてくれました。

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作品が大好きで、その作者に会ってさらにもっともっと好きになるという幸運を僕は畑中さんで経験したのです。「まんだら屋の良太」の後期選集を作った時にはつげ義春さんを引っ張り出してくれ、巻末用の対談を取りました。

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５時間近く畑中さんとつげさんが話しているのを聞きながら、これは夢なんじゃないかと思ったのをよく覚えています。差し障りがありすぎる話が多くて８割くらい使えなかったんですが。

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市川準の「トキワ荘の青春」の撮影用のトキワ荘のセットが畑中さんの自宅のすぐ近くの空き地に建てられたときは、そのトキワ荘をのぞきに行って、トキワ荘系漫画家の話をしたのも忘れられない思い出です。

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画集も作らせてもらったのですが、力不足というか浅はかというか、非常に悔いの残る物になってしまいました。いまだに思い出してはのたうちまわるのですが、そんな本でも畑中さんは少なくない冊数を買い取ってくれ個展で並べてくれました。内心は「しょうがねぇ本作りやがって」と思ってたと思います。

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「極道もん」の単行本はなんとか畑中さんに喜んでもらえる本になったんじゃないかと思っています。作品は最高だし、装丁もバッチリ決まったし、作っていて本当に楽しかったんです。ホンモノの極道の方からも愛読しているというお手紙をもらったと言ってました。

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そろそろ回顧録もいいんじゃないですかと、なかば強引にお願いした「1970」でしたが、描き始めたら楽しくなったと言われたのも嬉しい思い出です。畑中さんの若い頃の話は茶飲み話にはもったいない面白さだったので、それが一冊の本にまとまったのは本当に良かったです。

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谷崎潤一郎の「鍵」の主人公みたいな死に方したいねえ、なんて笑いながら言ってたのに。畑中さんには本当にそうして欲しかったなあ。どこかで発表する予定もないのに、次から次へと何百枚も春画を描いていく姿は、カッコよすぎでしたよ。

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大学で漫画を教えることになり、オレなんか一番ふさわしくない作家なのにと言いながら、真剣に生徒の事を考え、悩み、喜んだり心配したりしていました。畑中さん、最近は生徒の話ばっかりですね、と言うと、照れながら可愛くてしかたないんだと笑っていました。

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ほんの三ヶ月前、僕の父親が闘病のすえ死んだことを伝えると、「大変だったね、お疲れ様」と温かく言ってくれた畑中さんを、まさかこんな急に亡くすなんて、正直どう受け止めたらいいのかわかりません。そして、とても仲の良かった奥様やお子さんたちの気持ちを考えたら言葉もありません。

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僕は編集者なので、畑中さんを知らない世代にも畑中作品の魅力を伝えるような本を作るしか、やれる事はありません。不恰好な本を作って、また畑中さんに苦笑いされるかもしれませんけど、やっていくしかないですもんね。

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セレモニアル調布で今日16日の18時からお通夜、明日の10時から告別式です。苦しんで死んだ僕の父の死に顔は穏やかで病気をする前の顔になっていました。畑中さんの顔を見るのは辛いけども、しっかり会ってきます。

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ながながとお目汚しスイマセンでしたー

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@eri1216eri いいえ。絵梨さんこそ少しでも休んで下さいね。

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どーでもいい話なんですが、街中を歩きながらどうにも泣けてきて、そしたら向かい風にビューっとあおられて、まるでジョージ秋山のマンガの登場人物のようだと思ったら笑ってしまった。ジョージ先生ありがとう。

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畑中純さんの通夜に行ってきた。着いた時はサザンが流れていて、僕が献花している時には小林旭が流れていた。祭壇には多くのご友人からの花が並び、棺の横にはご自宅の庭に咲いていたという美しい紫陽花。棺の中で畑中さんは宮沢賢治のような帽子を被っていた。ご家族の愛情に泣けてしかたなかった。

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終わったあと、畑中家でよく開かれていた忘年会の常連の方たちとそのまま調布で飲んだ。そこに畑中さんの笑い声がないのが寂しくてしかたなかった。明日は10時から告別式です。

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畑中さんをお見送りしました。お経の代わりに桑田佳祐の歌が流れる畑中さんらしい素敵な告別式でした。 http://t.co/QgVEtMAg

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