文楽のエンタメとは?

近代的な作品が「作者・演出」→「読者・聴衆」という発信・受け手になっている構造とは全く違うのが日本伝統芸能です。橋下氏が「素朴な感想を続ける」と言っていますが、その「素朴さ」はちっとも素朴ではなく、近代的な歴史の浅い作品観・演出観です。伝統芸能と根本的にあり方が違うのです。
2
映画監督つーじー @tsuji_eiga_ch

#文楽 11】「ラストがアッサリしていてダメ」と切り捨てられた曽根崎心中は受け取る気がある人には涙が止まらないものだ。そして、最高とも言える鶴澤清治さんの三味線でも大阪府知事の気持ちを動かさなかった。音楽をやっている私の友人はこれまで全員、清治さんの三味線を絶賛した。 #橋下

2012-07-31 05:02:50
映画監督つーじー @tsuji_eiga_ch

#文楽 10】知れば知るほど面白いのが文楽である。1回ちょこっとつまみ食いしても受け取る気持ちがある観客には面白い。しかし、2回、10回、100回と観劇しても見飽きないどころか、新しい発見がずっと続くのだ。(続く) #橋下

2012-07-31 04:56:11
映画監督つーじー @tsuji_eiga_ch

#文楽 9】文楽の技芸員は誰ものうのうと生きてなどいないし、こう言って良ければ人生の時間総てで文楽と向き合っているのだ。オリンピック選手が更に上の壁を突破していくように。誰か個人が演出をする文楽や歌舞伎があっても良いが、そうではない伝統芸能の面白さは確実にある。(続) #橋下

2012-07-31 04:56:00
映画監督つーじー @tsuji_eiga_ch

#文楽 8】休演に追い込まれた人間国宝・清治さん(三味線)の代演の清介さん。この人の文楽愛もスゴイ。何演目もの浄瑠璃を床本なしでどこからでも語ってしまう。彼も沢山の若手大夫をそうやって育てつつ、もう一つ向こう側の世界へと飛翔し続ける。型にはまりつつもその先へ。(続く) #橋下

2012-07-31 04:50:07
映画監督つーじー @tsuji_eiga_ch

#文楽 7】近代的な方法と違うメソッドが少なくとも日本の伝統芸能には生きていて、その方法で実は現在でも進化していると言える。例えば、玉男以前、簑助以前にあのような人形はなかったのではないかと思われる。(続く) #橋下

2012-07-31 04:49:14
映画監督つーじー @tsuji_eiga_ch

#文楽 6】誰か個人の考え・主張を「総合演出」の名で作品に託す作品観は西洋が発祥かも知れないが近代に生まれた。日本の伝統芸能では分業による細かい個別の演出の積み重ねとして作品が生み出され、それを聴衆は自分の持っている総ての人間観・人生観・世界観・想像力で受取る。(続) #橋下

2012-07-31 04:48:46
映画監督つーじー @tsuji_eiga_ch

#文楽 5】そのように300年続いた文楽を「演出がないのはダメ」とか、2回しか見ていないのに「ラストがアッサリしすぎだ」と簡単に済ませてはいけない。故玉男師匠が曽根崎心中復活の時に(本来は人形の足を見せない文楽で)足を見せるべきかどうかでどれほど悩んだことか。(続く) #橋下

2012-07-31 04:47:44
映画監督つーじー @tsuji_eiga_ch

#文楽 4】例えば女流義太夫で文楽と同じ演目が語られると同じ床本なのに登場人物の別の感情が立上がって来る。そういう微細な表現は三味線と大夫が稽古で創りあげていく世界とも言える。向こうから結論を言うのではなく聴き手が解釈し受取ることで完成する作品群なのだ。(続く) #橋下

2012-07-31 04:45:59
映画監督つーじー @tsuji_eiga_ch

#文楽 3】1回だけ見て「あ~面白い作品だった」と言って済むものではなく、何度も何度も別の演者によって行われた公演を、例えばオペラのように楽しむものだ。古典の台本は結論を言わない群像劇になっていて、様々な立場の様々な感情が折り込まれている。(続く) #橋下

2012-07-31 04:44:13
映画監督つーじー @tsuji_eiga_ch

#文楽 2】そのように、文楽では大夫・三味線、そして人形遣いが同じ演目を何度も何度も公演したり稽古を重ねることで膨大な時間をかけて「型」を守りながらも独自の世界を創りあげていく。例えば、津大夫と越路大夫の浄瑠璃はビックリする位違う。その違いを楽しむ。(続く) #橋下

2012-07-31 04:43:48
映画監督つーじー @tsuji_eiga_ch

#文楽 1】例えば世界的なバレエダンサーでもバレエミストレスに客観的に修正してもらうように、大夫は稽古の時、三味線に語りを修正して貰う。日本伝統芸能には、演出という総合プロデュースではなく、個別の分業で切磋琢磨できる仕組みがある。(続く) #橋下

2012-07-31 04:43:00