ロリカ・セグメンタータ ~古代ローマのもっとも有名な鎧についての諸々~

ロリカ・セグメンタータ(セグメンタタ)はもっとも知名度が高く、人気のあるローマの鎧であり、一般の人はローマの兵士といえばこれを身に付けたローマ兵を思い浮かべると思います。その利点と実態をダラダラと書いてみました。
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私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

次に挙げられるのが構造の複雑さです。複数の板金を組み合わせたことで機能を発揮するロリカ・セグメンタータですが構造が複雑すぎて板金のパーツ数の増大とそれによる青銅や真鍮のバックル、フック、革紐によって繋ぎとめる部分の数が膨大に成り過ぎました。即座に組みたてられないし着れないのです。

2012-07-31 22:04:58
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

ロリカ・セグメンタータはローマ兵が二人一組になってパーツを組み立て、お互いの繋ぎとめる部分を縛っていくようにしないと中々着れない代物になってしまっていたのでした。(腹や胸部分は一人でなんとかできますが背中部分にも多く、繋ぐ部分が……)

2012-07-31 22:07:48
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

さらに次に挙げられるのが接続部分であるバックルやフックの腐食のしやすさと脆さです。特に青銅製のバックルであったロリカ・セグメンタータは青銅と板金が化学反応を起こしたり、また革紐に汗が沁み込むことで接触部が腐食、脆くなり、簡単に壊れてしまい、ポロポロと板金が落ちてしまうのです。

2012-07-31 22:11:29
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

この脆くなり、壊れ、はがれおちたバックルやフック等の部品は数多く遺跡で発見されております。とにかく日常的に壊れるのでローマ兵からも度々文句が出たようです。

2012-07-31 22:13:34
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

そして、最後にあげられるのが鎧自体のコストです。複雑な構造とパーツ数の多さ、板金自体の質はロリカ・セグメンタータを従来の鎧よりも高コストにし、製造に当たる技術も高いモノが求められました。ローマといえど工場のように高水準の鎧を技術の継承もなく一定品質のまま製造することは困難でした。

2012-07-31 22:18:23
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

折しもロリカ・セグメンタータは姿を消し始めたのは混乱期を通して帝国の衰退が始まり、帝国の財政を圧迫していたローマ軍団の大改革の過渡期です。衰えを見せ始めていたローマにはロリカ・セグメンタータのような高水準の鎧を製造するには財政的にも技術的にも大変だったのでしょう。

2012-07-31 22:20:39

その他の時代のローマ軍団の主な鎧はロリカ・ハマタ(鎖帷子)でした。

私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

ロリカ・セグメンタータを装備していた帝政期(盛期)ローマ軍団から改革された後の後期ローマ軍団はまた従来の安価で簡易なロリカ・ハマタ(鎖帷子)やロリカ・スクマータ(鱗綴じ鎧)を正式に採用し、配備されております。

2012-07-31 22:24:01
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

一時期、ロリカ・セグメンタータもローコスト化を目指したようで構造の簡易化を図った物もいくつか発見されていますがこれも主流とは成りえず、やはり、消えてしまったようです。

2012-07-31 22:25:33
いたう @kazuitou22

@centurio_P 進化して廃れたのではなく、国力が衰退したから廃れたのですか。

2012-07-31 22:30:18
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

@kazuitou22 そこら辺は個々人の解釈によるかもしれません。私は進化し過ぎた結果の問題噴出と国家情勢の事情の相乗効果かなぁと考えています。

2012-07-31 22:31:52
いたう @kazuitou22

@centurio_P なるほど。武器や戦法のトレンドが変化したとかでないところが面白いなあと思いました。すごい高性能な鎧だったんですねー(@_@;) じゃあ、財政等が許せば、使われ続けられたのでしょうか。

2012-07-31 22:38:29
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

@kazuitou22 変化はあまりないと言われてますが帝政期と後期は戦術のトレンドってよくわかってないことが多いんですよw 着心地の悪さや日常的にはがれる部品の多さから情勢が良好であっても長くは使われなかった気がします。簡易化とローコスト化で改良されてなら使われたかもしれません

2012-07-31 22:59:12

画像による帝政期(盛期)ローマ軍団兵と後期ローマ軍団兵の違い。共和制期も挙げた方がよかったかな?

私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

ロリカ・セグメンタータ装備の帝政期(盛期)ローマ軍団重装歩兵。いわゆる一般の人が思い浮かべるローマ兵だと思います。さっきは鎧だけだったので。ガリア型冑とピルム二本、長方形スクトゥム(大盾)にマインツ式グラディウス装備。 http://t.co/qBv6gjV2

2012-07-31 22:45:37
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越智華 彰人 @OtikaAkito

@centurio_P このスクトゥムってどのくらいの大きさなんでしょう? 1mくらいですかね?

2012-07-31 22:48:19
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

@OtikaAkito 概ね1.02m、幅73cm前後です。重量は5.5kg~7.5kgでそれまでの(共和制期)ローマ軍団の楕円形スクトゥムより粘り強さと強度を保ちつつも3kg程軽くなっています。

2012-07-31 23:02:15
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

もうほんとに後期ローマ軍団重装歩兵の良い画像ないのよね…人気ないなぁ…orz というわけでこれの左側が装備のローコスト化と合理化の改革が行われた後の後期ローマ軍団重装歩兵……の親衛軍団兵(パラティーナ)の一種。右は支援兵です。 http://t.co/zzng2hYO

2012-07-31 22:53:58
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私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

ちなみにパラティーナは親衛軍団と書いたが正確には宮廷野戦衛兵と言った方が近い。名前の通り、皇帝の宮殿を守る衛兵なのだが後期ローマ軍団においては各地の機動野戦軍(コミタテンサス)に分遣隊として派遣され、実際の戦場でも精鋭として活躍した。一説には5人に1人は蛮族出身であったとされる。

2012-07-31 23:05:41
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

私は常々言っているが帝政期(盛期)ローマ軍団兵よりも地味で合理的に練り上げられた後期ローマ軍団兵の方が好きです( 百)

2012-07-31 23:10:27