比較すると驚く古代ローマと中国古代の違いー中国では何故、四輪馬車の普及が数千年も遅れたのか?誤解された言葉「南船北馬」について

講談社選書メチエ『軍人皇帝のローマ』が中国史と古代ローマの比較をしてるのをヒントに、最新の研究成果である「馬車」の起源について、ユーラシア大陸の東西の世界を比較していきます。
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巫俊(ふしゅん) @fushunia

前回つくった記事が、いつの間にか、5万回もアクセスされてました。DNA及び考古学の成果により、青銅器時代のインド・イラン語派の印欧語族(草原地帯で生まれた)が、東方のモンゴル高原に移動してたと確認されましたので、日本への神話の伝播も具体的に語れそうです ↓リンク togetter.com/li/1569059 pic.twitter.com/Ef69wC0UqD

2020-08-31 03:37:52
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巫俊(ふしゅん) @fushunia

古代ゲノムデータに基づくアジア東部における現生人類(Homo sapiens)集団の形成史に関する研究」(Wang et al., 2020) ↓こちらのブログ「雑記帳」様が、英語の論文を読み解き、日本語で紹介してくだっています。 sicambre.at.webry.info/202004/article…

2020-08-30 19:12:54
巫俊(ふしゅん) @fushunia

5年ほど前までは、こんなことを言うと、とても疑われたのですが、現代ヨーロッパ人と同系統の言葉を話す人たちが、紀元前3000年から前1000年にかけて、中国西北部からモンゴル高原に、繰り返し移動してきたことが明らかになりました。

2020-08-30 19:16:44
巫俊(ふしゅん) @fushunia

最初の紀元前3000年は、銅石併用時代で、馬や車とともに移動してきた人たちです。このDNAが歴史時代まで、中国西北部(新疆など)では存続したことから、その地の歴史時代の月氏などと同系の言語「トカラ語」(言語学の分岐年代では、紀元前3810年頃に印欧祖語から分岐した)を話していた可能性が高い

2020-08-30 19:21:29
巫俊(ふしゅん) @fushunia

モンゴル高原の後期青銅器時代の研究も、考古学とDNAの研究成果が一致してるんだな…凄いな。こんなの読めるなんて、生きてて良かった。モンゴル高原では、紀元前16世紀にコーカソイドの集団が「ヘレクスール」という石を積んだり、周りに立てる墓を作り始めた。それはモンゴル西北部を中心に広がる

2020-06-27 03:48:12
巫俊(ふしゅん) @fushunia

その後、モンゴル高原の後期青銅器時代(殷代)のDNAは、同じ西方の草原地帯から来た人たちですが、青銅器段階に入ってからのDNAが検出され、カザフスタンのシンタシュタ遺跡(二輪戦闘馬車が発明された地)周辺からの移住であるため、「インド・イラン語派」の印欧語族だった可能性が出てきました。

2020-08-30 19:25:49
巫俊(ふしゅん) @fushunia

2020年の研究で、後期青銅器時代のモンゴル高原にインド・イラン祖語集団と推測されるアンドロノヴォ文化のDNAが確認されましたが、既に宮本一夫教授は、紀元前16世紀にコーカソイドの石の墓がモンゴルにあり、それがモンゴロイドに受け継がれ、更に遼西北部で農耕民と融合したことを説明してます

2020-08-30 18:59:20
巫俊(ふしゅん) @fushunia

このモンゴル西部の石の墓「ヘレクスール」は、2世紀ほど経って形式が変化した頃に、モンゴロイドの人骨が出土するようになり、モンゴル東部の「板石墓」文化と合流してくそうです。そうすると、DNAから印欧語族と想定できるヘレクスールの創始者の文化は、モンゴル高原全体に波及していったってこと

2020-06-27 04:19:14
巫俊(ふしゅん) @fushunia

紀元前15世紀には、殷の初代湯王が即位したとされ、同じ時期に、山東半島から遼東半島に稲作民が渡っていたことが考古学的に確認されてる(この遼東の稲作民の言語が日本語の起源では無いかとされてる)から、青銅器とともに印欧語族が東アジアに進出してたことは、日本と中国の歴史の起源に関わる

2020-06-27 04:23:00
巫俊(ふしゅん) @fushunia

重要なのは、「青銅器」や「馬を飼う」「車に乗る(荷車段階をふくむ)」という新しい生活スタイルとともに、印欧語族が東方に移動してきたことで、しかも先史時代なので、コーカソイドの文化をモンゴロイドが継承するという動きがあった。

2020-06-27 04:26:06

古代ローマの言語は、西方に展開した印欧語のイタリック語派のラテン語です。このまとめ記事では、講談社選書メチエ『軍人皇帝のローマ』が中国史と古代ローマの比較をしてるのをヒントに、最新の研究成果である「馬車」の起源について、ユーラシア大陸の東西の世界を比較していきます。

巫俊(ふしゅん) @fushunia

軍人皇帝ローマって、三国時代と同時代だったんだと、今更ながらに意識しました。ローマ皇帝の命令で創設された中央機動軍」とか、1個軍団を指揮する「属州総督」に文人貴族たる元老院議員を任命することの弊害に気付いて、はじめて武人を登用したとか、三国志と同時代だけに興味深い話。

2019-10-03 23:48:58
巫俊(ふしゅん) @fushunia

元老院議員出身で、文人貴族だったローマ皇帝も、戦場で病没してることが多いけど、若い頃に軍務をパスして最初から地方官(行政+軍司令)になってることが多いそうです。何か、諸葛亮とかの名士階層に似てるんですよね。

2019-10-01 03:28:30
はるやすみ @dandonban

@fushunia 古代中国とローマって内乱期もだけど、平時も異民族への対応が似ていますよね。長城を築いて常備軍で防衛しつつも、あえて不利な交易(毛皮と金印の交換とか)を行って懐柔するの。

2019-10-03 23:55:38
あさしん @ssassincreedo

@fushunia 後に内紛や辺境の異民族を取り入れたり、侵入されたりで混乱する所も何となく似てますよね

2019-10-04 00:22:47
monster_disorder_もんでぃす @disordermonste7

@fushunia @tsukasafumio 元老院議員が文官ばかりになった弊害ですね 共和国時代は文官兼武官の元老院議員がたくさんいたのに

2019-10-04 01:11:06
巫俊(ふしゅん) @fushunia

2018年刊行『馬が語る古代アジア世界史』、興味深い内容です。紀元前3500年頃に四輪馬車がヨーロッパからオリエントにかけて一斉に広がりはじめるそうですが、その四輪馬車が中国に普及し始めたのは、なんと清代!!!中国史上、四輪馬車の記録は極めて少なく、普及したのは二輪馬車だったという謎

2019-08-17 22:13:19
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「ウクライナとカザフの大草原」と「中国」は、アルタイ山脈西麓の「アルタイ地方」(現ロシア領)を介して交流してました。紀元前数世紀の戦国時代の中国の絹がアルタイで出土し、黒海の遺跡からは漢代の絹が出土してます。このアルタイから四輪馬車が出土してるので、東方に無い訳では無いはずですが

2019-08-17 22:20:16
DD @kimunkamuida262

@fushunia ん〜 なぜなんでしょうね?( ̄  ̄;) 少なくとも戦国期までは戦車(二輪馬車)のための「溝」が道路にあったので、4輪は使いづらいとは思うのですけれども、その後もとは( ̄  ̄;) そういえば日本の牛車も2輪ですよね( ̄  ̄;) もしかしたら安定性や大積載量よりも小回りを重視したとか?

2019-08-17 23:13:18
巫俊(ふしゅん) @fushunia

@kimunkamuida262 古典古代のローマをのぞいて道路環境が劣悪だったヨーロッパでは、馬ごと落っこちるような穴のあいた、ぬかるむ道路も、ひどく難渋しつつ四輪馬車で往来したとありまして、中世ヨーロッパよりも馬車の改良が進んでいた同時期の中国で、転回機能を持つ四輪馬車が製作されなかったのは謎だそうです。

2019-08-17 23:21:47
DD @kimunkamuida262

@fushunia ホォ〜 確かに謎ですね( ̄  ̄;) ご教示感謝ですm(__)m

2019-08-17 23:39:09
巫俊(ふしゅん) @fushunia

カザフスタンのシンタシュタ遺跡で、紀元前2000年の世界最古の「戦闘用二輪馬車」が出土し、ここがインド・イラン祖語集団の源郷で、ここから東方に伝わった戦闘用馬車が、殷代以降清代に至るまで中国で使用された二輪馬車の起源になります。(清代にヨーロッパ列強から四輪馬車が導入された)

2020-06-25 04:52:55
巫俊(ふしゅん) @fushunia

@Historian_nomad @mongkeke_tarikh 2018年刊行『馬が語る古代アジア世界史』に、「中国の四輪馬車」という論文が収録されてまして、中国で四輪馬車が広く普及したのは清代!と遅く、それ以前の史料には極めてわずかにしか四輪馬車が出てこないそうです。

2019-08-25 13:28:18
遊牧民@候選 @Historian_nomad

@fushunia @mongkeke_tarikh それもしかしなくても列強が持ちこんだやつでは?

2019-08-25 13:29:53
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